必要になってから、焦ればいいこと。
東京在住、アラサー女性、独身。
最近は仕事相手か結婚への意識が先進的な人たちとばかり一緒にいるから忘れがちだけれども、そうだ、私もアラサー独身というステータスだった。
本来なら『彼氏がなかなか結婚を切り出しれくれない』とか『いい出会いがない』とかを嘆いたり悩んだりする年頃である。
私は気づけばいつのまにかそういう『普通は通るべき悩み』から解脱してしまったので、プライベートにおける悩みはほぼゼロといっても過言ではない。
(ちなみに私の最近の悩みは『組織における自由と規律の最適バランス』と『長期的視点でKGIをみるためのKPIの立て方』について。)
思ってみれば昔から特に悩んでいなかったはずなのに、周りから『そうやって仕事ばっかりしてるとあとで後悔するよ』と脅されて、『そうか、今のうちから悩んでいないといけないのか』と思ってトンチンカンな悩み方をしていたような気がする。
23、4歳頃の私に伝えてあげたい。
実際に脅された頃の年齢になったら、むしろ未来のお前は悩みから解脱してるぞ、と。
もちろんこのままいくと、アラフォーとかアラフィフになってから悩むのかもしれない。
でもそれはそのときの悩みであって、今から悩みの前借りをしておく必要なんてない。
人生で大切なことほど、思いつめて消極的な選択をするよりも『絶対にこれだ、これしかない』という明快な決断をしたい。
悩みが煮詰まると何がいけないのかというと、焦りによって無理やり選択肢を作り出してしまうことだ。
例えば、『安定か、ときめきか』はいつの時代も議題に上がる不変のテーマだ。
真面目でいい人だけどなんとなく距離をおいてしまうAさんと、どんなに好きでも幸せになる未来が見えないBさん。
2人の間で揺れるのは、漫画でもドラマでも王道すぎるほど王道のエピソードだ。
そんな話をしていたとき、友人がこんなことを言っていた。
『そもそもさ、それって対立概念じゃないよね。両方満たす人に出会うまで待てばいいだけじゃない?』
そしてこうも言っていた。
『頭で好きって思い込んだ先に、真のときめきはない思う』と。
条件で選ぶのなら、もう自分は恋愛というときめきの麻薬からは降りるのだと明確に決める必要がある。
でも、多くの人、いやほとんどの人は、そこまで割り切れるほど合理的ではないはずだ。
だからこそ『人としては好きだけど…』というフレーズをよく耳にするのだろう。
そしてそのフレーズは、年を重ねて焦りを感じ始める頃によく耳にするようになる。
『いい人なんだけど』
『人としては好きなんだけど』
の後に本来続く言葉はいつだって同じ。
『でも、なんか、ちがう。』
違うものは違うのだ。
もうこの人を逃したら後がないとか、ここまできたからにはとか、そういう消極的な理由で迷っているうちに、本当に掴むべきだった幸せを逃していることだってあるかもしれない。
シェリル・サンドバーグは、一斉を風靡したTED TALKの中で
「結婚はおろか、パートナーもいない頃から将来の子供のことを考えて仕事をセーブする必要はない」
と力強く語っていた。
世の中には、今から心配してもどうしようもないこと、後から振り返れば迷う必要なんてなかったと思うことがたくさんある。
そう、大抵のことは『必要になってから焦ればいい』のだ。
もちろん、投資や貯金が必要なように、恋愛や結婚だっていろんな人がいる場所に顔を出すとか、周りに『いい人がいたら紹介してね』と伝えておくとか、種まきや準備は必要だ。
むしろ準備さえしていれば、本番への不安と焦りだけを抱えてうろうろするだけ、なんてことはなくなるだろう。
私たちにとって必要なのは『あと◯年』と勝手に制限をかけ、条件によって人を選別しては落胆して焦ることではなく、いつ本番がきてもいいように淡々と準備を進めておくことなのだと思う。
ちなみに前述の友人が、とある友人を引き合いに出してこんなことを言っていた。
『条件にぴったり合うはずなのにと思いながらもなんとなく好きになりきれずにいた人と別れた途端、本当に大事な人はずっと自分の側にいてくれたと気づくっていうことも、よくあるよね』
本当に大切なものに気づくには、後からなんて遠回りしたんだろうと思うような道のりが必要なこともある。
だから私たちは、焦ったりせず必要なときに必要なものがやってくる瞬間を、ゆったり待ち構えていればいいだけなのだ。
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