見出し画像

自己責任のキャリア形成

いまや終身雇用は過去のものとなり、ひとつの企業に定年まで勤め上げる前提でキャリアを考えている人の方が少数派だろう。昔は入社後3年以内に辞める若者が話題になったものだが、新卒で入社した企業を3年も経たないうちに辞めるのはそう珍しいことではなくなった。

かくいう私も、3年経たずに辞めた若者の一人である。その後も3年以内に転職したり独立したりを繰り返してきたので、ひとつの組織にじっくり腰を据えたことがない。両親の世代から見ると不安なことこの上ない生き方のようだが、東京のIT業界ならばそう珍しくもないだろう。大企業のような配置位替えや昇進が少ない分、自ら動いてキャリアチェンジやキャリアアップを目指していくほかないからだ。

昔は自分にあわないと気付いても定年までの40年間我慢するしかなかったことを考えれば、キャリアの軌道修正が容易になった現代はずいぶん生きやすい時代になった。会社都合ではなく自分の意思でキャリア形成ができる時代である。
私自身も転職のたびに待遇はよくなったし、最終的に独立して自分の力で仕事ができるだけの技能を身につけることができた。

しかし30歳を超えて自分のキャリアを振り返ってみて思うのは、ほとんどの人にとって本当の意味での「キャリア形成」を計画的に考えるのは難しいということだ。
私自身、数年で転職を繰り返してきたからこそ今になってキャリア形成の難しさに直面している。

ここから先は

1,588字

余談的小売文化論

¥800 / 月 初月無料

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手…

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!