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雑誌と百貨店の決定的違い

私はこれまでずっと雑誌を百貨店のライバルとして捉えてきた。

百貨店に限らず、店舗は「モノを売買する」機能の占有者ではなくなった。いまだに買い物の8割以上は実店舗で発生しているとはいえ、ファッションや生活雑貨などにカテゴリーを絞ればECでの購入比率は格段に上がっているはずだ。

「モノの売買」が実店舗の専売特許ではなくなった今、求められる役割とは何だろうか。その役割の一つが「提案」であり、新しいモノとの出会いや生活をよりよくする情報・知識の提供であると考えている。

この観点から見ると、過去のnoteでも何度も書いてきた通り雑誌と百貨店はとても近い存在である。よいモノを見つけ、見せ方や組み合わせを変え、顧客(読者)に提案する。その結果として購入につなげたり、顧客(読者)がほしいものを自分たちで作る流れは、小売業界だけでなく雑誌でもすでに起きていることである。現在刊行されている雑誌のほとんどが、オンラインに通販機能を持ち、セレクト商品だけでなく雑誌限定の別注品やオリジナルコラボアイテムを販売している。

百貨店は売り場をメディアとして捉えて雑誌化していくし、雑誌は新たなマネタイズ手法として百貨店化していく。この流れは変わらないだろうと私は考えている。

一方で、百貨店と雑誌には決定的な違いがあることにも気づいた。

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