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好きな人は『インフラ化』してほしいから。

どうやら私はみんなが選ばない人ばかり好きになる傾向があるようだ、と気づいたのは大学生の頃だった。

ジャニオタを経てK-POPにハマり、高校野球からプロ野球へと興味が移っていた私は、それぞれのクラスタで自分の推しの話をするたびに『え、そこ!?笑』と言われることが多かった。

思い返してみれば、これまでいわゆる『センター』の人を好きになったことがない。

もちろんグループ全員のことが大好きだし、センターになるようなメンバーが人気になる理由もよくわかる。

しかしなぜか毎回巧妙に王道を避けて、世間一般にはあまり知られていないメンバーを好きになってしまうのだ。

そしてそれはきっと、私が見た目の華やかさやパフォーマンス力以上に個人的なエピソードやちょっとした振る舞いに惹かれる傾向があるからなのだろうと思う。

今でも覚えているのが、韓国のアイドルグループSHINeeのメンバーにハマったときのことだ。

このときまではSHINeeというグループの音楽が好きで、メンバーもそれぞれに好きだったので『強いて言えばミノが好きかなあ』と思っていた程度だった。

でもちょっとしたきっかけであっというまにハマっていき、今でもことあるごとに動きを追っているアイドルのひとりでもある。

アイドルの世界には『同担拒否』と呼ばれる文化があり、同じアイドルのファンとは接触したくないという層が一定数存在する。
実生活に当てはめてみれば、憧れの先輩に同じように片想いしている子と仲良くなれるかといわれたらなかなか難しい人の方が多いように、アイドルファンの中でも同担拒否を表明する人たちがいるのだ。
それはアイドルへの関わり方の違いでしかなく、優劣があるものではない。ただの『違い』だ。

しかし自分のオタク人生を振り返ってみれば、私は同担拒否に近い感情を抱いたことが一切ないと気づいた。

むしろ同担の人を見つけると『おおお…!同じく魅力をわかってくださる方がこんなところに…!』と砂漠でオアシスを見つけたかのような気持ちにすらなっていた。

それはひとえに私がファン人口の少ない人を好きになりがちだったからであり、同担拒否を掲げなければならないほど同担に出会うことがなかったからである。

では何かのきっかけで同担が増えた場合はどうかというと、『この素晴らしい水脈を掘り当ててくださりありがとうございます!!!!!!』以外の気持ちを持ったことがない。

まさに今年福ちゃんがフィーバーした年だったこともあり、球場で福ちゃんタオルを掲げる人が急増した。
打席に立った際の応援歌も、だんだんとその声量が大きくなっていった。

さらにFAの目玉としてあちこちで報道されたことでホークスファンからも認知され、何も説明せずとも『福ちゃん』だけで通じるようになったし、『ホークスの福田っていいよね』と言われることも増えた。

10年近く応援してきた古参ファンとしては感無量も感無量、『我々の沼へようこそ!』と両手を広げてお迎えする気持ちである。

まだファンになって日が浅い人には(マウンティングにならないように注意しつつ)過去の福ちゃんの素敵エピソードをめいっぱい聞かせたいし、1人でも福ちゃんのよさを知る人が増えて欲しい。

そう思うのはきっと、私がアイドルやプロスポーツ選手に対して願っているのは『自分のものになること』ではなく『みんなのものになること』だからなのだと思う。

一番の理想をいえば、だれもがそのよさをわかっていて『◯◯っていいよね』を前提にしてすべての話を進めたい。

例えるなら、イチローや大谷はその領域になりつつあるように思う。

彼らの素晴らしい哲学や努力、生き様を自分たちだけのものとして消費するのではなく、もっと世に広めてまなびを得たり生きる気力を取り戻す人がもっともっと増えて欲しい。

自分の好きな人たちが、そんな風にインフラ化していくことこそがオタクとして推しを推していくことの楽しみなのではないかと私は思っている。

もちろん好きな対象を独り占めしたいとか特別扱いしてもらいたいという感情は人間として自然なものだ。
ただ私の場合は何の因果かそうした感情と無縁のままオタク活動を続けてきて、これが私にとって一番幸せなオタクとしてのあり方だなと思っている。

私はよく『好きな人には会いたくない』と言っているのだけど、それはきっとインフラとしての彼らを愛ているから個としての彼らにそんなに興味がないのだろうなと思う(文字にするとなんかすごいこと言ってるな私)。

好きな人には、『みんなのもの』であってほしい。
そしてその『みんな』の範囲が広がっていくことが、オタクとしての私の楽しみなのだ。

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Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!