思考のOS
沢木耕太郎が、影響を受けた人物として小林秀雄をあげていて驚いた。同じ物書きとはいえ、「深夜特急」のような紀行文やルポルタージュと小林秀雄の批評・評論のあいだには、ジャンルとして大きな隔たりがある。特に沢木耕太郎は旅人のイメージが強かったので、旅人ではなくあえて小林秀雄だったことに意外な思いがした。
もちろんその前段で、小田実の「何でもみてやろう」や壇一雄の「風浪の旅」といった紀行文に強く影響を受けたとも記している。では彼が小林秀雄から受けた影響とは何か。
それは文章の書き方や旅の仕方といったテクニックではなく、もっと根源的な「ものごとを捉える姿勢」だったと彼は説明している。
この箇所を読みながら、「たしかに私も小林秀雄を"インストール"しているな」と思った。しかもソフトウェアではなく、OSとして。
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