高校生への読書録④

「だれが修復腎移植をつぶすのか」高橋幸春 東洋経済新報社
陰謀論って聞くことがあると思う。やたら批判する意見を聞くこともあると思う。最近であれば、コロナワクチンで必要ない、権威がある人が言っていることは正しくない、とSNSや地上波中心にそのような言説が溢れかえった。
こんな感じのことの是非について判断するのは大変難しい。とくに、この国は、(TVや新聞を中心として)なにかが起こった時に、深く考えることをせずに袋叩きにすることを目にする。やたらと、問題だ、問題だと騒ぎ立て問題にする。僕たちもあまり知らない分野のことについては、そうかもなぁ、って思ってしまうよね。2006年頃におこった、宇和島徳洲会病院などに所属していた医師によって行われていた修復腎移植もそうだった。
 当時、僕も、何となくメディアの報道を目にしていて、「そりゃそうだよなぁ、病気の腎臓を移植してたらダメそうだよなぁ。移植学会の偉い人もそう言っているし。やりすぎはやっぱり良くないのかなぁ」ってぼんやりと思っていた。
 この本を読むとそうしたことがただの印象と思い込みであることがよくわかる。この本に書いていることが100%正しいとは限らないけれど、おそらく、論旨の大きな部分は正しいと思われる。だって、その後の経過を見れば明らか。世界中でも同様のことが行われており、市民権を得つつあるし、日本でだって、先進医療として、現在は認められた。
 それにしても、このような状態であっても、修復腎を行っていたグループを守り続けている、徳洲会グループには組織としてとても尊敬に値する。やはり、バッシングされている時に守り続けてくれる、人や組織は、大事にしたいし、自分も、もし周りの人がそのような立場になった時には、そうありたいと思う。

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