肯定

平気で三度寝くらいした。アイラインを長く引きすぎる夢を見た気がする。

12時半に我に返った。あー、13時からのTOEICには間に合わないな。本気を出せば、いけないこともないのだけれど、本気を出すほど私はTOEICに対して本気ではなかった。

受験料4,800円は無駄になった。これで自由時間を買ったのだと正当化することにし、部屋でだらけた。

寝坊した失敗した、と恋人にラインを送ると、「失敗かどうかは、一日が終わるまでわからんよ」と返されたので笑った。名言じゃんと思った。

寮の食堂に行って、他の住人が昨夜取り忘れたシチューをもすもす食べた。盗人のように聞こえるが、寮食は次の日のお昼になると誰が食べてもよいというルールなので無問題である。

インターンだるいなー、といつものように沈みながら準備した。最近はインターンが負担すぎて、相対的にバイトが楽しみになっている。多分私のストレスのベースは「わからないこと」なので、間違えるかも、迷惑をかけるかも、という「わからない」ゆえのもやもやで胸が満たされることが、もっとも耐えがたいのだと思う。

逆に、慣れてきて「わからない」が減ったバイトは、いろいろなことに予測がつくからストレスになりえない。それは社員さんや同僚とのやりとりも含めてである。言うなればルーティンを脳死でするみたいな。

オフィスに向かう道中、No Buses の Cup of Coffeeを聴いて、うわあええやんと感じた。タイトルで惹かれる曲には、はまることが多い。

やりたかった作業は、パソコンの原因不明エラーを解消できなかったために終わらなかった。システムにあかるい人になりたい。天才エンジニアになりたい。いや、べつになりたくない。

スタッフさん同士の交流会が開催されて、それを手伝った。窓の外を眺めると公園が見えた。小学生たちがバレーをしていた。え、うま、と感心した。絶対に私より上手い。
自分にも全身をめいっぱい動かすことに喜びを感じられた頃があったかな。今もやらないだけで、やってみたら楽しいのかもしれないな。

交流会に参加者されたみなさんの自己紹介を掘っていくと、おもしろい経歴やご意見を持つ方ばかりで、興味深かった。なるべく早くそんな大人になりたい。

閉会後は21時半まで、人事担当の人と2人でオフィスに残った。雑談の中で、興味のある仕事とない仕事のどちらを志望すればいいのでしょうか、と尋ねると、興味よりも向いている仕事を考える方がいい、と彼女はおっしゃった。人によって向き不向きはあって、カバーし合っている。だから苦手なことを無理して頑張るよりも、少しでも得意なことを突き詰めるべきらしい。その言葉で、気持ちはすこし軽くなった。

寮に帰り、食堂に行くと、まもなく同級生がきた。彼女は話の最中に、今の恋人Kくんと前の恋人Yくんの名前をよく混同していたので笑った。絶対Kくんの前では間違えんなよ!


「失敗かどうかは、一日が終わるまでわからんよ」

恋人のそんなメッセージに、おおむね肯定的な一日だったよ、と返信した。

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