比喩

意図的寝落ちをした次の日、からだはカーペットのうえにあった。

インターン関連のメールを送るのが憂鬱すぎて起きたくなかった。最近、インターンが心理的負担となっている。アラームをかけ直しては寝て、を繰り返し、やっと11時前に立ち上がった。

お風呂に入った。ささっと乾かした髪は浅倉南のごとく膨らんでしまった。

その後10分朝ごはん、10分メール、10分メイク、という当初の計画は案の定ずれ、結局メイクをする時間はなくなった。そのままバイトに行った。
寝落ちをして得られるものは皆無である。そのため、まずはちゃんと夜にお風呂に入る習慣を30日間続けてみようと決心した。

バイト先で差し入れのお弁当をいただき、かなりテンションが上がった。そこらで買える某弁当チェーンのものだけれど、差し入れということが価値を上げている気がする。人からいただく食べものは総じてありがたい。

今日は特別なイベントがあり、ゲストの方がふたりいらっしゃった。たまに、ゲストと同業者のあいだで交わされている談笑を盗み聞きした。

彼らは、せんべいの薄さをサガミオリジナルと言い表したり、オールバックかつ短パンのいかつめな風貌の知り合いに対して、死体処理してきた後か、と形容したりしていた。うわあ表現が巧みだなあ…とひそかに感心した。
それは中学生時代、ふだん関わりのないクラスメイト数人が教室の隅でしていた俊逸な会話が聞こえ、笑いがこらえられなかったときの感覚に近い。言い得て妙な比喩を瞬時に生み出せる人は尊敬に値する。そこに笑いを組み込むならば尚更。

イベントは20時過ぎに終了したはずなのに、3人で細々と後片付けをしていると22時になっていた。家に帰ってから、ゲストの方がくださった大量のせんべいを無心で食べた。

きのう恋人が、(私)はパーマも似合いそう、とラインを送ってきた。4回生になったらやってみたいと私が返すと、楽しみにしてると言われた。
彼の来年に、私が当たり前のように登場したらいいなと、思った。

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