ブックカバー

早くに寝たので早くに起きた。
母が送ってくれた瑞々しいトマトときゅうりをたらふく食べた。それから、久しぶりにおめかしをして、大学へ向かった。

今日は2限だけで、映画学の期末テストがあった。ノート持ち込み可だったので難なく解き終えられた。おそらく一番早く提出し、退席したのは私である。
2年前に私は同じ講義を履修していたが、単に出席しなかったというだけで落としてしまった。それを勿体無いと悔やんでいたものの、映画への興味がより強くなった今年に受けられて良かったなあと、結果的には肯定している。今回は真面目に参加したので、先生はA評価をくださると信じたい。

一旦家に帰ってお昼を食べてから、好きな喫茶店である、月と六ペンスへ行った。そこでアイスコーヒーを飲みながら、月曜の試験に向けて勉強した。
集中が途切れると机上の本たちを眺めた。それらはカバーがかかっておらず、色褪せた裸の状態で、いい味を出していた。ふと、これこそが本の本体であり、普段手にする本は既にカバーがつけられた状態だと気がついた。つまり、私が思っていた後付けの「ブックカバー」はじつは、ブックカバーカバーなのではないか、そしてその「ブックカバー」のついた本は、守られすぎではなかろうか?そんなくだらないことをつらつら考えた。
だからなのか思うように捗らず、1時間半でお店をあとにした。

南下してすぐ、角打ち(酒屋で呑む)ができるというお店に遭遇した。すぎだまさけのみせ、という店名はなんだか俳優の名が表れてきそうだが、切る部分は、すぎだま さけのみせ、らしい。システムを調べるとかなりわくわくする内容だったので、いつか友人と来たい。

外はうんざりする暑さで、日の照り様はとどまることがなかった。手首だけでも焼けぬように隠しながら歩いた。低温な音楽しか受け付けなかったので、betcover!!の曲をずっとイヤホンに流していた。はまりたいバンドである。

三条あたりをぶらぶらして、古着屋さんを何軒かめぐった。夏に着るワンピースがずっと欲しかったのだけれど、値段も考えるとピンとくるものは無かった。それで、自分の感受性が落ちているのかもしれないと危機感をおぼえた。
最近はこれといった予定がないのでめったにおしゃれをしていないし、インスタを消してしまったことで、かわいいもの/人へのセンサーはきっと停止してしまっているだろう。早く夏休みモードに入って気持ちを解放し、感受性を取り戻さねばならない。

ワンピースをあきらめて、アンダーウェアを買うことにした。訪れた店舗では時間をかけて悩み、ようやく白の綺麗なブラジャーとショーツを購入した。合計6,300円だったので、ワンピース買えてしまう値段じゃないか、と痛手に思ったけれど、アンダーウェアも大事だしすてきなデザインだし仕方ないよな、と自分を納得させた。

その後コスメストアでハイライターも買ってしまった。着飾ろうとすると、お金はどんどん、どんどん溶けてゆく。

今日の買い物はこれで終わらないのが怖いところで、家に帰ってからZOZOTOWNでニューバランスの黒のスニーカーまで購入してしまった。こうして見ると浪費感が凄い。
ただ、どれも私にとって必要だったものというか、いつかは手にしたかったものたちなので、まるで後悔していない。新しいブラジャーを見に纏うこと(それを恋人に見てもらうのも含め)、新しいハイライトを付けること、新しいスニーカーで軽快に歩くことすべてが、楽しみで仕方ないのである。こういう我慢のない幸せはけっこう重要で、それらをたまに味わって、生きていきたいと思っている。

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