平和

一度も聴いたことのない歌が脳内再生されながら目を覚ました。9時半。2限は10時45分からにもかかわらず、その後しっかり朝ごはんを食べたためにまったく時間がなくなった。ろくにメイクもせずに家を出て、講義には滑り込みで間に合った。

昼休みにカップ式自販機でアイスコーヒーを買い、背もたれのないベンチでドイツ語の予習をしながら飲んで首を痛めた。値上げしたのに反して量が少なくなった気がする。
い・ろ・は・すの塩とれもんを購入した。甘くて渇いた喉にしみた。私はなるべく物を正式名称で記したいのだけれど、こう見るとさすがに間抜けすぎるないろはす。

4限も5限もいつもに比べて全然やる気が出なくてだるかった。糖分過多なのかもしれないと、い・ろ・は・すのせいにした。

大学寮に帰って食堂に行くと、まもなく同郷の友人がやってきた。ご飯を食べながら一緒に女子バレーの試合を観た。彼女はスポーツに疎い私に、何点で終わりかとか、リベロの役割とかを教えてくれた。得点の度におお〜と低い声を出す私を見て、彼女はけらけら笑っていた。スポーツをすすんで観戦しようという気にはならないが、観たら絶対おもしろいんだよな、と毎回思う。

廊下のホワイトボードにある絵しりとりの続きを彼女に頼んでみた。ルビーの次だ。快諾した彼女は笑みを浮かべながらボトル状のものを描き始め、絵しりとりを終わらせにかかっていた。慌てた私が止めるとそれを消して、代わりにビールにしてくれた。

だる着かつほぼノーメイクのため別の日にしようかとかなり迷っていたのだが、元気を取り戻したので『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』を結局観に行った。間に合わないと思って小走りだったが余裕だった。

デデデデは、端的に言って大好きな映画だった。前章も今回の後章もどちらも、これまで観たアニメ映画の中で上位に食い込む。まさに超絶エンタテインメントという言葉で表したい感じだ。おもしろい!
過去の伏線回収的要素もあって胸が躍ったし、独特な文字が出てくるなど、作品の雰囲気に合っている演出が多かったし、何よりもおんたんが可愛すぎた。退廃的・依存的で、でもすごく魅力的。甘ったるい声で小難しい単語をぶつぶつ呟く様は、飽きずにずっと見ていたくなった。

人間を超える知能を持つ侵略者がばかでかいUFOで上空にやってくるような可能性は低いにしろ、程度は違えど現実世界でも悲惨な状況は起こっているし、国家対立や環境悪化などで地球がくそヤバいことになる将来も遠くないはずなのだ。対して私は平和ボケしているし危機感がなさすぎるよなあと、終盤はずっと考えた。

外に出ると雨が降っていたが、私は傘を持っていなかった。映画の世界観から完全に抜け出さず、今にも地球が崩壊するかも!などと厨二思考を詰め込んだまま、家まで走って帰った。
まだ興奮が冷めやらぬ状態で、恋人からのラインに感嘆符をたくさんつけて返した。

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