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次世代レンディングサービス:Eulerの概説

web:https://www.euler.finance/
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今回は次のバブル相場でも注目されるであろう次世代型レンティングサービスの一つであるEuler Financeについて説明します。これまでのレンディングサービスとの違いや実際に使用する上でわかりにくい部分についても説明できればと思います。


Eulerは現在Main net上で運用されているレンディングサービスです。この分野ではAAVEやCompoundなどが有名ですが、これらとの大きな違いはどんなアセットでも貸し借りできることにあります。EulerではUniswap V3にETHとのペアがあるアセットならなんでもリストすることができます。

しかし、なんでもかんでもリストできては危ないためそれらは以下の3つに分類されます。
- Isolation tier
- Cross tier
- Collateral tier

Isolation tier  ハイリスク
ここに分類されるアセットを借りる場合にはそのEulerアカウント内では、他のアセットは借りられなくなります。例えば1000 USDCを担保に $FTTを借りようとすると、そのアカウントでは$FTT以外のアセットを借りることはできなくなります。Euler内では複数のアカウントを持つことができるため、他のアカウントを使えば問題はありませんが、これにより連鎖的なデフォルトを防ぐことができます。

Cross tier 中リスク
ここに分類されるアセットは担保として使用できませんが、他の資産と同じアカウント内でも借りることができます。
1000 USDCを持っていてMATICとOSQETHを借りたい時一つのEulerアカウント内で借りることができます。

Collateral tier 低リスク
ここに分類されるものは担保として使用でき、また他の資産と同じアカウント内で借りることができます。
500 USDCと500DAIを担保として持っていてUNIとLINKを借りたい時一つのEulerアカウント内で借りることができます。

アセットの格付けはガバナンスによって変更可能です。資産の格付けを上げることで資本効率を上げることができますがその分リスクも高くなるため注意深く話し合いが行われています。

https://docs.euler.finance/governance/governance/voting

Eulerアカウントについて詳しく説明したいと思います。Eulerでは最大で256個までサブアカウントを作成することができます。これによりハイリスクなアセットでも安心して借りることができます。またEulerアカウントを一度Approveすればいいためガス代を節約することができます。

担保の保護
Eulerではデポジットした担保をレンディングに出さないようにプロテクトすることができます。もちろん金利は得られませんが借りてのデフォルトから資産を守ることができます。

担保係数と借入係数
Eulerでは各資産のリスクに貸し借りできる割合が設定されています。
以下の場合では1000 USDCに対してUSDCの担保係数0.9をかけた900USDCが実際の担保となります。
UNIを借りたい時、借入係数が0.7であるため900USDCに0.7をかけた630ドルが最大借入金額になります。清算価格は900ドルであるためUNIが値上がりして900ドルを上回れば清算されることになります。

TWAPについて
EulerはUniswap V3のTWAP(分散型時間加重平均価格)をオラクルとして使用しています。TWAPについての詳細はこちらを参照ください。
なぜChainLinkではなくTWAPを採用しているのかというと以下のような点で優れているためです。
・価格操作攻撃に強い
・急激な価格変動による不利益を防げる
・TWAPは毎秒おきに更新されるため、清算プロセスが滞りなく実行される
TWAPは過去のデータを用いて価格を決定するため価格を操作されるリスクが低くなります。なぜかというと一定期間以上に渡って価格を大きく動かす必要があり、アービトラージボットに争いながらこれを行う経済的合理性に欠けるからです。

清算について
Eulerでは有効な担保水準を下回った際にダッチオークションにかけられます。自動的には生産されませんが、リスクが上がるほどにディスカウントされた価格でオークションにかけられるため注意深くアカウントを管理する必要があります。

まとめ
以上のようにEulerではAAVEやCompoundでリストされていないアセットを自由に貸し借りできるようになっています。今後ETH マージなど大型イベントが控えていますので、ETH担保にstETHを借りてショートするなどの使い道などがあるかと思います。仕組み的にも面白いので是非とも触ってみてはいかがでしょうか。