グランタ文字による日本語表記
2021年におけるサンスクリット語の日は8月22日で、サンスクリット語の日は8月不定期―22年度は8月12日―であることから、昨年は紀元前4世紀にサンスクリット語文法をまとめた文法学者パーニニ師の日本語による語呂合わせになる記念日となりました。
今回は南インドでサンスクリット表記に用いられるタミル・ブラーフミー文字の派生であるグランタ文字による日本語表記を取り上げます。
デーヴァナーガリー表記に近い表記
母音ア《𑌅》は母音のみの場合、語頭では子音字の次に続く場合は短母音になりますが、語中・語末あるいは語頭で母音字が続く場合は長母音字アー《𑌆》で表示され、子音字とア段の組み合わせは常に長母音記号が付加されます(※タミル語では子音字の前の語頭母音は短母音)。
イ段・ウ段は、語末では原則的に長母音記号を伴います。
タミル文字と異なり、エ段・オ段の長短の区別はされないのですが、エイ・エーは語頭・語中ではEI《एइ➡𑌏𑌇》[エーイ], 語末ではEĪ《एई➡𑌏𑌈》[エーイー]と表記される場合があり、平成は〈हेईसेई➡𑌹𑍇𑌈𑌸𑍇𑌈〉[ヘーイーセーイー], 令和は〈रेइवा➡𑌰𑍇𑌇𑌵𑌾〉[レーイヴァー]と表記されます。オウ・オオ・オーは《ओह्➡𑌓𑌹𑍍》[オー]と表記される場合があり、能は〈नोह्➡𑌨𑍋𑌹𑍍〉[ノー]と表記されます
・A【𑌅《अ》/𑌇《इ》/𑌉《उ》/𑌏《ए》/𑀑《ओ》】ア/イ/ウ/エ/オ - タミル文字ではエ《எ》とオ《ஒ》。
・Ā【𑌆《आ》/𑌈《ई》/𑌊《ऊ》/𑌏《ए》/𑀑《ओ》】アー/イー/ウー/エー/オー - タミル文字ではエー《ஏ》とオー《ஓ》。
・AI・AU【𑌆𑌇, 𑌆𑌈《आइ, आई》/𑌆𑌉, 𑌆𑌊《आउ, आऊ》】アイ/アウ
・AṂ【𑌅𑌂《अं》/𑌇𑌂《इं》/𑌉𑌂《उं》/𑌏𑌂《एं》/𑌓𑌂《ओं》】アン/イン/ウン/エン/オン - 演歌の〈𑌏𑌂𑌕𑌾〉[エーンカー]のように鼻音を含む重子音を表記するために用いる。
・ĀṂ【𑌆𑌂《आं》/𑌈𑌂《ईं》/𑌊𑌂《ऊं》/𑌏𑌂《एं》/𑌓𑌂《ओं》】アーン/イーン/ウーン/エーン/オーン
促音・撥音・拗音・合拗音を表す子音字結合は、フォントによっては変化しない場合があります。
語中のン音は“関東”を〈कांतो➡𑌕𑌾𑌂𑌤𑍋〉[カーントー]のように次の子音の前にある字の後に鼻母音記号アヌスヴァーラを付加して示す方式と〈कान्तो➡𑌕𑌾𑌨𑍍𑌤𑍋〉[カーントー]のように合成子音字を音節の後に付加する方式があります。
・K【𑌕𑌾《का》/𑌕𑌿《कि》/𑌕𑍀《की》/𑌕𑍁《कु》/𑌕𑍂《कू》/𑌕𑍇《के》/𑌕𑍋《को》/𑌕𑍍《क्》/𑌕𑍍𑌕《क्का》】カ/キ/キー/ク/クー/ケ/コ/ㇰ/ッカ
・KAṂ【𑌕𑌾𑌂《कां》/𑌕𑌿𑌂《किं》/𑌕𑍀𑌂《कीं》/𑌕𑍁𑌂《कुं》/𑌕𑍂𑌂《कूं》/𑌕𑍇𑌂《कें》/𑌕𑍋𑌂《कों》/𑌕𑍍𑌕𑌾𑌂《क्कां》/𑌕𑍍𑌯𑌾𑌂《क्यां》/𑌕𑍍𑌯𑍁𑌂《क्युं》/𑌕𑍍𑌯𑍂𑌂《क्यूं》/𑌕𑍍𑌯𑍋𑌂《क्यों》/𑌕𑍍𑌵𑌾𑌂《क्वां》】カン/キン/キーン/クン/クーン/ケン/コン/ッカン/キャン/キュン/キューン/キョン/クァン - 語末のカン・カーンは〈𑌕𑌾𑌨𑍍〉となる。
・KY【𑌕𑍍𑌯𑍁《क्या》/𑌕𑍍𑌯𑌿《क्यि》/𑌕𑍍𑌯𑍀《क्यी》/𑌕𑍍𑌯𑍁《क्यु》/𑌕𑍍𑌯𑍂《क्यू》/𑌕𑍍𑌯𑍇《क्ये》/𑌕𑍍𑌯𑍋《क्यो》/𑌕𑍍𑌕𑍍𑌯𑍁《क्क्या》】キャ/キィ/キィー/キュ/キュー/キェ/キョ/キョー/ッキャ
・KV【𑌕𑍍𑌵𑌾《क्वा》/𑌕𑍍𑌵𑌿《क्वि》/𑌕𑍍𑌵𑍀《क्वी》/𑌕𑍍𑌵𑍁《क्वु》/𑌕𑍍𑌵𑍂《क्वू》/𑌕𑍍𑌵𑍇《क्वे》/𑌕𑍍𑌵𑍋《क्वो》/𑌕𑍍𑌕𑍍𑌵𑍁《क्क्वा》】クァ・クヮ/クィ/クィー/クゥ/クゥー/クェ/クォ/ックァ
・G【𑌗𑌾《गा》/𑌗𑌿《गि》/𑌗𑍀《गी》/𑌗𑍁《गु》/𑌗𑍂《गू》/𑌗𑍇《गे》/𑌗𑍋《गो》/𑌗𑍍《ग्》/𑌗𑍍𑌗《ग्गा》】ガ/ギ/ギー/グ/グー/ゲ/ゴ/グ/ッガ
・GY【𑌗𑍍𑌯𑍁《ग्या》/𑌗𑍍𑌯𑌿《ग्यि》/𑌗𑍍𑌯𑍀《ग्यी》/𑌗𑍍𑌯𑍁《ग्यु》/𑌗𑍍𑌯𑍂《ग्यू》/𑌗𑍍𑌯𑍇《ग्ये》/𑌗𑍍𑌯𑍋《ग्यो》/𑌗𑍍𑌗𑍍𑌯𑌾《ग्ग्या》】ギャ/ギィ/ギィー/ギュ/ギュー/ギェ/ギョ/ギョー/ッギャ
・GV【𑌗𑍍𑌵𑌾《ग्वा》/𑌗𑍍𑌵𑌿《ग्वि》/𑌗𑍍𑌵𑍀《ग्वी》/𑌗𑍍𑌵𑍁《ग्वु》/𑌗𑍍𑌵𑍂《ग्वू》/𑌗𑍍𑌵𑍇《ग्वे》/𑌗𑍍𑌵𑍋《ग्वो》/𑌗𑍍𑌗𑍍𑌵𑌾《ग्ग्वा》】グァ・グヮ/グィ/グィー/グゥ/グゥー/グェ/グォ/ッグァ
・S【𑌸𑌾《सा》/𑌸𑌿《सि》/𑌸𑍀《सी》/𑌸𑍁《सु》/𑌸𑍂《सू》/𑌸𑍇《से》/𑌸𑍋《सो》/𑌸𑍍《स्》/𑌸𑍍𑌸《स्सा》】サ/スィ/スィー/ス/スー/セ/ソ/ㇲ/ッサ
・Ś【𑌶𑌾《शा》/𑌶𑌿《शि》/𑌶𑍀《शी》/𑌶𑍁《शु》/𑌶𑍂《शू》/𑌶𑍇《शे》/𑌶𑍋《शो》/𑌶𑍍《श्》/𑌶𑍍𑌶《श्शा》】シャ/シ/シー/シュ/シュー/シェ/ショ/ㇱ/ッシャ
・J【𑌜𑌾《ज़ा➡जा》/𑌜𑌿《ज़ि➡जि》/𑌜𑍀《ज़ी➡जी》/𑌜𑍁《ज़ु➡जु》/𑌜𑍂《ज़ू➡जू》/𑌜𑍇《ज़े➡जे》/𑌜𑍋《ज़ो➡जो》/𑌜𑍍《ज़्➡ज्》/𑌜𑍍𑌜𑌾《ज़्ज़ा➡ज्जा》】ザ=ジャ/ズィ=ジ・ヂ/ズィー=ジー/ズ=ジュ・ヅ/ズー=ジュー/ゼ=ジェ/ゾ=ジョ/ズ=ジ・ヂ/ッザ=ッジャ -サンスクリット語デーヴァナーガリー文字では、ヒンディー語の影響により現代語表記でジャ行のJA《ज》とザ行のZA《ज़》の区別が存在するが、グランタ文字ではザ行はJA《𑌜》とヌクタ記号との合成で《𑌜𑌼》と示す。
・T【𑌤𑌾《ता》/𑌤𑌿《ति》/𑌤𑍀《ती》/𑌤𑍁《तु》/𑌤𑍂《तू》/𑌤𑍇《ते》/𑌤𑍋《तो》/𑌤𑍍《त्》/𑌤𑍍𑌤《त्ता》/𑌤𑍍𑌯𑍁《त्यु》/𑌤𑍍𑌯𑍂《त्यू》】タ/ティ/ティー/トゥ/トゥー/テ/ト/ッ・ㇳ/ッタ/テュ/テュー
・C【𑌚𑌾《चा》/𑌚𑌿《चि》/𑌚𑍀《ची》/𑌚𑍁《चु》/𑌚𑍂《चू》/𑌚𑍇《चे》/𑌚𑍋《चो》/𑌚𑍍《च्》/𑌚𑍍𑌚𑌾《च्चा》】チャ/チ/チー/チュ/チュー/チェ/チョ/チ/ッチャ
・TS【𑌤𑍍𑌸𑌾《त्सा》/𑌤𑍍𑌸𑌿《त्सि》/𑌤𑍍𑌸𑍀《त्सी》/𑌤𑍍𑌸𑍁《त्सु》/𑌤𑍍𑌸𑍂《त्सू》/𑌤𑍍𑌸𑍇《त्से》/𑌤𑍍𑌸𑍋《त्सो》/𑌤𑍍𑌸𑍍《त्स्》/𑌤𑍍𑌤𑍍𑌸𑌾《त्त्सा》】ツァ/ツィ/ツィー/ツ/ツー/ツェ/ツォ/ッ/ッツァ - 合成子音字TSA《त्स➡𑌤𑍍𑌸》[ツァ]は、英語経由の借用語の場合に“そり舌音”の《ट्स➡𑌟𑍍𑌸》[ツァ]に置き換わる場合がある。
・D【𑌦𑌾《दा》/𑌦𑌿《दि》/𑌦𑍀《दी》/𑌦𑍁《दु》/𑌦𑍂《दू》/𑌦𑍇《दे》/𑌦𑍋《दो》/𑌦𑍍《द्》/𑌦𑍍𑌦《द्दा》/𑌦𑍍𑌯𑍁《द्यु》/𑌦𑍍𑌯𑍂《द्यू》】ダ/ディ/ディー/ドゥ/ドゥー/デ/ド/ド/ッダ/デュ/デュー
・N【𑌨𑌾《ना》/𑌨𑌿《नि》/𑌨𑍀《नी》/𑌨𑍁《नु》/𑌨𑍂《नू》/𑌨𑍇《ने》/𑌨𑍋《नो》/𑌨𑍍《न्》/𑌨𑍍𑌨𑌾《न्ना》】ナ/ニ/ニー/ヌ/ヌー/ネ/ノ/ン・ㇴ/ンナ
・-N-【𑌨𑍍𑌆《न्आ》/𑌨𑍍𑌇《न्इ》/𑌨𑍍𑌈《न्ई》/𑌨𑍍𑌉《न्उ》/𑌨𑍍𑌊《न्ऊ》/𑌨𑍍𑌏《न्ए》/𑌨𑍍𑌓《न्ओ》/𑌨𑍍𑌸𑌾《न्सा》/𑌨𑍍𑌶𑌾《न्शा》/𑌨𑍍𑌜𑌾《न्जा》/𑌨𑍍𑌤𑌾《न्ता》/𑌨𑍍𑌸𑍍𑌤𑍁《न्त्सु》/𑌨𑍍𑌦𑌾《न्दा》/𑌨𑍍𑌹𑌾《न्हा》/𑌨𑍍𑌫𑍁《न्फु》/𑌨𑍍𑌯𑌾《न्या》/𑌨𑍍𑌯𑍁《न्यु》/𑌨𑍍𑌯𑍂《न्यू》/𑌨𑍍𑌯𑍋《न्यो》/𑌨𑍍𑌰𑌾《न्रा》/𑌨𑍍𑌵𑌾《न्वा》/𑌨𑍍𑌵𑌿《न्वि》/𑌨𑍍𑌵𑍀《न्वी》/𑌨𑍍𑌵𑍇《न्वे》】ンア/ンイ/ンイー/ンウ/ンウー/ンエ/ンオ/ンサ/ンシャ/ンザ/ンタ/ンツ/ンダ/ンハ/ンフ/ンヤ/ンユ/ンユー/ンヨ/ンラ/ンワ/ンウィ/ンウィー/ンウェ - 日本語の〈ンヤ〉行を示す場合はヴィラーマの後にゼロ幅非接合子[ZWNJ]を加え、金曜を〈किन्यो➡𑌕𑌿𑌨𑍍𑌯𑍋〉[キンヨー]のように示す。
・Ñ➡NY【𑌞𑌾《ञा》➡𑌨𑍍𑌯𑌾《न्या》/𑌞𑌿《ञि》➡𑌨𑍍𑌯𑌿《न्यि》/𑌞𑍀《ञी》➡𑌨𑍍𑌯𑌿《न्यी》/𑌞𑍁《ञु》➡𑌨𑍍𑌯𑍁《न्यु》/𑌞𑍂《ञू》➡𑌨𑍍𑌯𑍂《न्यू》/𑌞𑍇《ञे》➡𑌨𑍍𑌯𑍇《न्ये》/𑌞𑍋《ञो》➡𑌨𑍍𑌯𑍋《न्यो》/𑌞𑍍《ञ्》➡𑌨𑍍𑌯𑍍《न्य्》/𑌞𑍍𑌞𑌾《ञ्ञा》➡𑌨𑍍𑌨𑍍𑌯𑌾《न्न्या》】ニャ/ニ/ニー/ニュ/ニュー/ニェ/ニョ/ニュ・ン/ンニャ - ヒンディー語日本語表記ではNYA《न्य》[ニャ]に置き換えられ、その場合に対応するグランタ表記は《𑌨𑍍𑌯》となる。
・-Ñ-【𑌞𑍍𑌚𑌾《ञ्चा》➡𑌨𑍍𑌚𑌾《न्चा》/𑌞𑍍𑌜𑌾《ञ्जा》➡𑌨𑍍𑌜𑌾《न्जा》】ンチャ/ンジャ - グランタ文字本来のチャ行・ジャ行の前のンはNYA《𑌞》を用いてÑCA《ञ्च➡𑌞𑍍𑌚》[ンチャ]とÑJA《ञ्ज➡𑌞𑍍𑌜》[ンジャ]のように用い、日本語翻字の場合は、ンジャメナが〈ञ्जामेना➡𑌞𑍍𑌜𑌾𑌮𑍇𑌨𑌾〉[ンジャーメーナー]のように語頭形となる。
・H【𑌹𑌾《हा》/𑌹𑌿《हि》/𑌹𑍀《ही》/𑌹𑍁《हु》/𑌹𑍂《हू》/𑌹𑍇《हे》/𑌹𑍋《हो》/𑌹𑍍《ह्》/𑌹𑍍𑌹𑌾《ह्हा》/𑌹𑍍𑌯𑌾《ह्या》/𑌹𑍍𑌵𑌾《ह्वा》】ハ/ヒ/ヒー/フ/フー/ヘ/ホ/ㇵ・ㇶ・ㇷ・ㇸ・ㇹ/ッハ/ヒャ/ファ - ファ行のHVA《ह्व➡𑌹𑍍𑌵》[フヴァ]は沖縄語など琉球諸語表記に用いる。
・PH【𑌫𑌾《फ़ा➡फा》/𑌫𑌿《फ़ि➡फि》/𑌫𑍀《फ़ी➡फी》/𑌫𑍁《फ़ु➡फु》/𑌫𑍂《फ़ू➡फू》/𑌫𑍇《फ़े➡फे》/𑌫𑍋《फ़ो➡फो》/𑌫𑍍《फ़्➡फ्》/𑌫𑍍𑌫𑌾《फ़्फ़ा➡फ्फा》/𑌫𑍍𑌯𑍁《फ़्यु➡फ्यु》/𑌫𑍍𑌯𑍂《फ़्यू➡फ्यू》/𑌫𑍍𑌯𑍋《फ़्यो➡फ्यो》】ファ/フィ/フィー/フ/フー/フェ/フォ/ㇷ/ッファ/フュ/フュー/フョー - ファ行音[f]は、本来無声有気音のパ行を示すPHA《फ➡𑌫》で示すが、ヌクタ記号を加えたFA《फ़➡𑌫𑌼》が用いられる場合がある。
・B【𑌬𑌾《बा》/𑌬𑌿《बि》/𑌬𑍀《बी》/𑌬𑍁《बु》/𑌬𑍂《बू》/𑌬𑍇《बे》/𑌬𑍋《बो》/𑌬𑍍《ब्》/𑌬𑍍𑌬𑌾《ब्बा》/𑌬𑍍𑌯𑌾《ब्या》】バ/ビ/ビー/ブ/ブー/ベ/ボ/ブ/ッバ/ビャ
・P【𑌪𑌾《पा》/𑌪𑌿《पि》/𑌪𑍀《पी》/𑌪𑍁《पु》/𑌪𑍂《पू》/𑌪𑍇《पे》/𑌪𑍋《पो》/𑌪𑍍《प्》/𑌪𑍍𑌪𑌾《प्पा》/𑌪𑍍𑌯𑌾《प्या》】パ/ピ/ピー/プ/プー/ペ/ポ/ㇷ゚/ッパ/ピャ
・M【𑌮𑌾《मा》/𑌮𑌿《मि》/𑌮𑍀《मी》/𑌮𑍁《मु》/𑌮𑍂《मू》/𑌮𑍇《मे》/𑌮𑍋《मो》/𑌮𑍍《म्》/𑌮𑍍𑌮𑌾, 𑌨𑍍𑌮𑌾《म्मा, न्मा》/𑌮𑍍𑌯𑌾《म्या》】マ/マー/ミ/ミー/ム/ムー/メ/モ/ㇺ・ン/ンマ/ミャ - 語中のMMA《म्म➡𑌮𑍍𑌮》[ンマ]は、例外的に群馬の〈गुन्मा➡𑌗𑍁𑌨𑍍𑌮𑌾〉[グンマー]のようにNMA《न्म➡𑌨𑍍𑌮》[ンマ]と表記される場合がある。
・-M-【𑌮𑍍𑌪𑌾《म्पा》/𑌮𑍍𑌫𑌾《म्फा》/𑌮𑍍𑌬𑌾《म्बा》/𑌮𑍍𑌵𑌾《म्वा》】ンパ/ンファ/ンバ/ンヴァ - ンワはNVA《न्व➡𑌨𑍍𑌵𑌾》, ンヴァはMVA《म्व➡𑌮𑍍𑌵𑌾》と書き分ける。
・Y【𑌯𑌾《या》/𑌯𑌿《यि》/𑌯𑍀《यी》/𑌯𑍁《यु》/𑌯𑍂《यू》/𑌯𑍇《ये》/𑌯𑍋《यो》/𑌯𑍍《य्》/𑌯𑍍𑌯𑌾《य्या》】ヤ/イィ/イィー/ユ/ユー/イェ/ヨ/ィ/イヤ - 拗音を示す場合は、原則的にYA《य➡𑌯》の前の子音字にヴィラーマ記号を付加して合成子音字を作成する。
・R【𑌰𑌾《रा》/𑌰𑌿《रि》/𑌰𑍀《री》/𑌰𑍁《रु》/𑌰𑍂《रू》/𑌰𑍇《रे》/𑌰𑍋《रो》/𑌰𑍍《र्》/𑌰𑍍𑌰𑌾《र्रा》】ラ/リ/リー/ル/ルー/レ/ロ/ㇽ/ッラ
・RY【𑌰𑍍𑌯𑌾, 𑌰𑍍𑌯𑌾《र्या, र्या》/𑌰𑍍𑌯𑌿, 𑌰𑍍𑌯𑌿《र्यि, र्यि》/𑌰𑍍𑌯𑍀, 𑌰𑍍𑌯𑍀《र्यी, र्यी》/𑌰𑍍𑌯𑍁, 𑌰𑍍𑌯𑍁《र्यु, र्यु》/𑌰𑍍𑌯𑍂, 𑌰𑍍𑌯𑍂《र्यू, र्यू》/𑌰𑍍𑌯𑍇, 𑌰𑍍𑌯𑍇《र्ये, र्ये》/𑌰𑍍𑌯𑍋, 𑌰𑍍𑌯𑍋《र्यो, र्यो》】リャ/リュ/リュー/リェ/リョ - 語頭形は日本語デーヴァーナーガリー表記のRʼYA《र्य》[リャ]に合わせて《𑌰𑍍𑌯》となり、ZWNJ合成が必須となる。語中形は通常形のRYA《र्य》[ルヤ]に合わせて《𑌰𑍍𑌯》となる。
・V【𑌵𑌾《वा》/𑌵𑌿《वि》/𑌵𑍀《वी》/𑌵𑍁《वु》/𑌵𑍂《वू》/𑌵𑍇《वे》/𑌵𑍋《वो》/𑌵𑍍《व्》/𑌵𑍍𑌵𑌾《व्वा》】ワ・ヴァ/ウィ・ヴィ/ウィー・ヴィー/ウゥ・ヴ/ウゥー・ヴー/ウェ・ヴェ/ウォ・ヴォ/ゥ・ヴ/ウワ・ッヴァ - 合拗音を示す場合は、原則的にVA《व➡𑌵》の前の子音字にヴィラーマ記号を付加して合成子音字を作成する。
・Ṅ【𑌙𑌾《ङा》/𑌙𑌿《ङि》/𑌙𑍀《ङी》/𑌙𑍁《ङु》/𑌙𑍂《ङू》/𑌙𑍇《ङे》/𑌙𑍋《ङो》/𑌙𑍍《ङ्》/𑌙𑍍𑌙𑌾《ङ्ङा》】カ゚/キ゚/キ゚ー/ク゚/ク゚ー/ケ゚/コ゚/ング/ンカ゚ - 鼻濁音。単子音の場合は通常のGA《ग➡𑌗》に置き換えられる。
・-Ṅ-【𑌙𑍍𑌕𑌾➡𑌨𑍍𑌕𑌾《ङ्का➡न्का》/𑌙𑍍𑌕𑍍𑌯𑌾➡𑌨𑍍𑌕𑍍𑌯𑌾《ङ्क्या➡न्क्या》/𑌙𑍍𑌕𑍍𑌵𑌾➡𑌨𑍍𑌕𑍍𑌵𑌾《ङ्क्या➡न्क्वा》/𑌙𑍍𑌗𑌾➡𑌨𑍍𑌗𑌾《ङ्गा➡न्गा》/𑌙𑍍𑌗𑍍𑌯𑌾➡𑌨𑍍𑌗𑍍𑌯𑌾《ङ्ग्या➡न्ग्या》/𑌙𑍍𑌗𑍍𑌵𑌾➡𑌨𑍍𑌗𑍍𑌵𑌾《ङ्ग्वा➡न्ग्वा》】ンカ/ンキャ/ンクァ/ンガ/ンギャ/ングァ - ブラーフミー文字本来のカ行・ガ行の前のンはNGA《𑌙》[ンガ]を用いてṄKA《ङ्क➡𑌙𑍍𑌕》[ンカ]とṄGA《ङ्ग➡𑌙𑍍𑌗》[ンガ]のように用いる。ヒンディー語に合わせた方式では、NKA《न्क➡𑌨𑍍𑌕》[ンカ]とNGA《न्ग➡𑌨𑍍𑌗》[ンガ]に置き換えられる。
特殊表記
インド系文字を使用する言語では、発音に当てはめる表記がそれぞれ異なっています。
・AI【𑌐《ऐ》/𑌕𑍈《कै》/𑌗𑍈《गै》/𑌸𑍈《सै》/𑌶𑍈《शै》/𑌜𑍈《जै》/𑌤𑍈《तै》/𑌚𑍈《चै》/𑌤𑍍𑌸𑍈《त्सै》/𑌦𑍈《दै》/𑌨𑍈《नै》/𑌨𑍍𑌯𑍈《न्यै》/𑌹𑍈《है》/𑌫𑍈《फै》/𑌬𑍈《बै》/𑌪𑍈《पै》/𑌮𑍈《मै》/𑌯𑍈《यै》/𑌰𑍈《रै》/𑌵𑍈《वै》/𑌨𑍍𑌐《न्ऐ》】アイ/カイ/ガイ/サイ/シャイ/ザイ・ジャイ/タイ/チャイ/ツァイ/ダイ/ナイ/ニャイ/ハイ/ファイ/バイ/パイ/マイ/ヤイ/ライ/ワイ・ヴァイ/ンアイ - 本来のサンスクリット語AI《ऐ➡𑌐》によるアイ音表記。ヒンディー語では発音がアェー[ɛː]に変化している。
・JH【𑌝𑌾《झा》/𑌝𑌿《झि》/𑌝𑍀《झी》/𑌝𑍁《झु》/𑌝𑍂《झू》/𑌝𑍇《झे》/𑌝𑍈《झै》/𑌝𑍋《झो》/𑌝𑍍《झ्》/𑌝𑍍𑌝𑌾《झ्झा》/𑌞𑍍𑌝𑌾, 𑌨𑍍𑌝𑌾《ञ्झा, न्झा》】ザ/ズィ/ズィー/ズ・ヅ/ズー/ゼ/ザイ/ゾ/ズ/ッザ/ンザ - マラーティー語JHA《झ➡𑌝》[ヅァ]によるザ行音表記。沼津市はヒンディー式では〈नुमाज़ू➡𑌨𑍁𑌮𑌾𑌜𑍂〉[ヌマーズー], マラーティー式では〈नुमाझू➡𑌨𑍁𑌮𑌾𑌝𑍂〉[ヌマーヅー]と表記される。
・Ṭ【𑌟𑌾《टा》/𑌟𑌿《टि》/𑌟𑍀《टी》/𑌟𑍁《टु》/𑌟𑍂《टू》/𑌟𑍇《टे》/𑌟𑍈《टै》/𑌟𑍋《टो》/𑌟𑍍《ट्》/𑌟𑍍𑌟𑌾《ट्टा》/𑌣𑍍𑌟𑌾, 𑌨𑍍𑌟𑌾《ण्टा, न्टा》/𑌟𑍍𑌯𑍁《ट्यु》/𑌟𑍍𑌯𑍂《ट्यू》】タ/ティ/ティー/トゥ/トゥー/テ/タイ/ト/ッ・ㇳ/ッタ/ンタ/テュ/テュー - インド諸言語でTTA《ट➡𑌟》は、東京の〈टोक्यो➡𑌟𑍋𑌕𑍍𑌯𑍋〉[トーキョー]など英語経由による日本語の借用語を示す場合に用いられる。
・Ḍ【𑌡𑌾《डा》/𑌡𑌿《डि》/𑌡𑍀《डी》/𑌡𑍁《डु》/𑌡𑍂《डू》/𑌡𑍇《डे》/𑌡𑍈《डै》/𑌡𑍋《डो》/𑌡𑍍《ड्》/𑌡𑍍𑌡𑌾《ड्डा》/𑌣𑍍𑌡𑌾, 𑌨𑍍𑌡𑌾《ण्डा, न्डा》/𑌡𑍍𑌯𑍁《ड्यु》/𑌡𑍍𑌯𑍂《ड्यू》】ダ/ディ/ディー/ドゥ/ドゥー/デ/ダイ/ド/ド/ッダ/ンダ/デュ/デュー - インド諸言語でDDA《ड➡𑌡》は、北海道の〈होक्काइडो➡𑌹𑍋𑌕𑍍𑌕𑌾𑌇𑌡𑍋〉[ホーッカーイドー]など英語経由による日本語の借用語を示す場合に用いられる。
・BH【𑌭𑌾《भा》/𑌭𑌿《भि》/𑌭𑍀《भी》/𑌭𑍁《भु》/𑌭𑍂《भू》/𑌭𑍇《भे》/𑌭𑍈《भै》/𑌭𑍋《भो》/𑌭𑍍《भ्》/𑌭𑍍𑌭𑌾《भ्भा》/𑌮𑍍𑌭𑌾, 𑌨𑍍𑌭𑌾《म्भा, न्भा》/𑌭𑍍𑌯𑍁《भ्यु》/𑌭𑍍𑌯𑍂《भ्यू》】ヴァ/ヴィ/ヴィー/ヴ/ヴー/ヴェ/ヴァイ/ヴォ/ヴ/ッヴァ/ンヴァ/ヴュ/ヴュー - ネパール語方式のBHA《भ➡𑌭》[バ]によるヴァ行音表記。ワ行音を示すVA《व➡𑌵》[ワ・ヴァ]と明確に区別される。
・L【𑌲𑌾《ला》/𑌲𑌿《लि》/𑌲𑍀《ली》/𑌲𑍁《लु》/𑌲𑍂《लू》/𑌲𑍇《ले》/𑌲𑍈《लै》/𑌲𑍋《लो》/𑌲𑍍《ल्》/𑌲𑍍𑌲𑌾《ल्ला》/𑌨𑍍𑌲𑌾《न्ला》/𑌲𑍍𑌯𑍁《ल्या》】ラ/リ/リー/ル/ルー/レ/ライ/ロ/ㇽ/ッラ/ンラ/リャ - 固有名詞に用いる。
・VH【𑌵𑍍𑌹𑌾《व्हा》/𑌵𑍍𑌹𑌿《व्हि》/𑌵𑍍𑌹𑍀《व्ही》/𑌵𑍍𑌹𑍁《व्हु》/𑌵𑍍𑌹𑍂《व्हू》/𑌵𑍍𑌹𑍇《व्हे》/𑌵𑍍𑌹𑍈《व्है》/𑌵𑍍𑌹𑍋《व्हो》/𑌵𑍍𑌹𑍍《व्ह्》/𑌭𑍍𑌵𑍍𑌹𑌾《व्व्हा》/𑌮𑍍𑌵𑍍𑌹𑌾, 𑌨𑍍𑌵𑍍𑌹𑌾《म्व्हा, न्व्हा》/𑌵𑍍𑌹𑍍𑌯𑍁《व्ह्यु》/𑌵𑍍𑌹𑍍𑌯𑍂《व्ह्यू》】ヴァ/ヴィ/ヴィー/ヴ/ヴー/ヴェ/ヴァイ/ヴォ/ヴ/ッヴァ/ンヴァ/ヴュ/ヴュー - マラーティー語方式の合成子音字VHA《व्ह➡𑌵𑍍𑌹》[ヴァ]によるヴァ行音表記。