いろいろな文字表記によるアイウエオまとめ2
5/10は【五十音図・あいうえおの日】であることにちなんで、ラテン文字など諸文字によるアイウエオ表記を取り上げます。
5/20は日本の【ローマ字の日】、5/24はブルガリアなどの【キリル文字の日】となっています。
※🔷……基本文字、🔻……補助文字、🔶……特殊文字など。
ラテン文字
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【V・v】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……古代ラテン。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……日本(ヘボン式・訓令式・日本式共通)、ラテン、英、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、アルバニア、エスペラント、マレー、フィリピノ、アイヌ、ハワイ、マオリ、トキポナ。
🔻㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【V・u】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……日本:キリシタン式。
🔶㋐【Ȧ・ȧ】/㋑【Ĭ・ĭ】/㋒【Ụ・ụ】/㋓【Ĕ・ĕ】/㋔【Ŏ・ŏ】 ……英:ウェブスター式 - 1909年の英語研究社・刊『ローマ字の話』に記載された日本語ローマ字の母音字に対応するもの。㋐段はイギリスの容認発音では[ɑː アー], アメリカ英語音では[æ エァ]、㋔段は容認発音では[ɒ オ], アメリカ英語音では[ɑ ア], 日本英語音では[ɔ オ]となる。
🔶㋐【Ɑː・ɑː】/㋑【Ɪ・ɪ】/㋒【Ʊ・ʊ】/㋓【E・e】/㋔【Ɒ・ɒ】 ……英:エヴァータイプ式 - 国際音声記号に大文字を加えたエヴァータイプの音声表記法。アメリカ英語に合わせた表記では㋐段は《Æ・æ》, ㋔段は《Ɑ・ɑ》となる。㋓段のイギリス容認発音は広いエ[ɛ]だが、日本英語音と同じ狭いエ[e]で表記される。㋐段は語頭・語末で《Ə・ə》と示すことが多い。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【OU・ou】/㋓【É・é】/㋔【O・o】 ……フランス。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【Ê・ê】/㋔【Ô・ô】 ……ポルトガル、ベトナム - ベトナム語で㋑は語末で《Y・y》となり、近年は原語を尊重した綴りで示される。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【É・é】/㋔【Ó・ó】 ……カタロニア。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【OE・oe】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……オランダ。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【O・o】/㋓【E・e】/㋔【Å・å】 ……スウェーデン。
🔷㋐【A・ɑ】/㋑【I・ı】/㋒【U・u】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……アイルランド:ゲール文字。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【W・w】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……ウェールズ。
🔻㋐【Â・â】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……ペルシア。
🔶㋐【A】/㋑【AY】/㋒【AW】/㋓【AY】/㋔【AW】 ……中世ペルシア:アラメオグラム - 表語文字としてのアラム系文字翻字。ヘーは《E》、アインは《O》で示す。㋑は語中で《Y》/㋒は語中で《W》。
🔷㋐【A・a】/㋑【Î・î】/㋒【Û・û】/㋓【Ê・ê】/㋔【O・o】 ……クルド。
🔷㋐【A・a】/㋑【İ・i】/㋒【U・u】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……トルコ、アゼルバイジャン。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【Ë・ë】/㋔【O・o】 ……ウイグル。
🔻㋐【A・a】/㋑【Iʼ・iʼ】/㋒【Yʼ・yʼ】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……カザフ - 正書法の案の1つ。
🔻㋐【A・a】/㋑【I・ı】/㋒【Ý・ý】/㋓【E・e】/㋔【O・o】 ……カザフ - 正書法の案の1つ。
🔷㋐【A・a】/㋑【Î・î】/㋒【Û・û】/㋓【Ê・ê】/㋔【O・o】 ……パーリ。㋐は語中・語末で《Ā・ā》。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【OE・oe】/㋓【É・é】/㋔【O・o】 ……インドネシア:旧正書法。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【É・é】/㋔【O・o】 ……ジャワ。
🔷㋐【A・a】/㋑【YI・yi】/㋒【WU・wu】/㋓【Ê・ê】/㋔【O・o】 ……中国 - ピンインの字母名から。㋑は語中で《I・i》/㋒は語中で《U・u》。
🔷㋐【Ā・ā】/㋑【YĪ・yī】/㋒【WŪ・wū】/㋓【Ê・ê】/㋔【Ō・ō】 ……中国 - 注音符号の字母名からで、発音は第1声調。㋑は語中で《Ī・ī》/㋒は語中で《Ū・ū》。
🔷㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【U・u】/㋓【E・e】/㋔【O͘・o͘】 ……台湾:教会ローマ字 - ㋔はユニコードに採用されなかった字母で、U+0358を付加して示す。
🔻㋐【AA・aa】/㋑【JI・ji】/㋒【WU・wu】/㋓【AAI・aai】/㋔【O・o】 ……広東:粤ピン。㋑は語中で《I・i》/㋒は語中で《U・u》。
🔷㋐【ɁA・ʔa】/㋑【ɁI・ʔi】/㋒【ɁU・ʔu】/㋓【ɁE・ʔe】/㋔【ɁO・ʔo】 ……沖縄 - 語中・語尾で子音字の後の場合、グロッタルストップ―字母名は〈ハムザ〉―を付加しない。
🔻㋐【A・a】/㋑【I・i】/㋒【E・e】/㋓【IE・ie】/㋔【O・o】 ……彝
🔻㋐【Ꜣ・ꜣ】/㋑【Y・y】/㋒【W・w】/㋓【Ꞽ・ꞽ】/㋔【WꜢ・wꜣ】 ……古代エジプト - ㋓段は長らくユニコードに採用されなかったため、《J・j》などで代用される。㋓段が子音のみの場合、表記されない。
キリル文字
🔷㋐【А・а】/㋑【И・и】/㋒【У・у】/㋓【Е・е】/㋔【O・o】 ……ブルガリア、セルビア、マケドニア、アブハズ、アゼルバイジャン。
🔷㋐【А・а】/㋑【И・и】/㋒【У・у】/㋓【Э・э】/㋔【O・o】 ……ロシア、タジク、ウズベク、キルギス。㋓は語中で《Е・е》。
🔻㋐【А・а】/㋑【И・и】/㋒【У・у】/㋓【Э・э】/㋔【O・o】 ……日本。㋓は語中で《Э・э》。
🔷㋐【А・а】/㋑【И・и】/㋒【Ѹ・ѹ】/㋓【Є・є】/㋔【O・o】 ……古代教会スラブ。
🔷㋐【А・а】/㋑【І・і】/㋒【У・у】/㋓【Е・е】/㋔【O・o】 ……ウクライナ。
🔷㋐【А・а】/㋑【І・і】/㋒【У・у】/㋓【Э・э】/㋔【O・o】 ……ベラルーシ。㋔段はアクセントなしの場合、㋐段の《А・а》に変化する。
🔷㋐【А・а】/㋑【И・и】/㋒【Ү・ү】/㋓【Э・э】/㋔【O・o】 ……モンゴル。
ギリシャ文字とその派生
🔷㋐【Α・α】/㋑【Ι・ι】/㋒【ΟΥ・ου】/㋓【Ε・ε】/㋔【Ο・ο】 ……現代ギリシャ。
🔷㋐【Ἀ・ἀ】/㋑【Ἰ・ι】/㋒【Ὀϒ・οὐ】/㋓【Ἐ・ἐ】/㋔【Ὀ・ὀ】 ……古典ギリシャ - 語頭形、語中・語末は㋒の《Οϒ・ου》。全文大文字ではプシリは表記されない。
🔷㋐【Α・α】/㋑【Ι・ι】/㋒【ϒ・υ】/㋓【Ε・ε】/㋔【Ο・ο】 ……古代ギリシャ。当時、小文字は存在しなかった。
🔷㋐【Ⲁ・ⲁ】/㋑【Ⲓ・ⲓ】/㋒【ⲞⲨ・ⲟⲩ】/㋓【Ⲉ・ⲉ】/㋔【Ⲟ・ⲟ】 ……コプト。原則的に全文小文字で表記。
🔷㋐【𐌰】/㋑【𐌹】/㋒【𐌿】/㋓【𐌴】/㋔【𐍉】 ……ゴート。
ラテン文字の派生
🔷㋐【ꓮ】/㋑【ꓲ】/㋒【ꓴ】/㋓【ꓰ】/㋔【ꓳ】 ……リス。
🔷㋐【Ꭰ・ꭰ】/㋑【Ꭲ・ꭲ】/㋒【Ꭴ・ꭴ】/㋓【Ꭱ・ꭱ】/㋔【Ꭳ・ꭳ】 ……チェロキー - 原則的に全文大文字で表記。
🔷㋐【𐒰・𐓘】/㋑【𐒻・𐓣】/㋒【𐓎・𐓶】/㋓【𐒷・𐓟】/㋔【𐓂・𐓪】 ……オセージ。
古イタリア文字
🔷㋐【𐌀】/㋑【𐌉】/㋒【𐌖】/㋓【𐌄】/㋔【𐌏】 ……古代ギリシャ、カルキス、古エトルリア、古ラテン、ファリスク、レポント:古イタリア文字。
🔷㋐【𐌀】/㋑【𐌉】/㋒【𐌖】/㋓【𐌄】/㋔【𐌖】 ……エトルリア - ㋔段の《𐌏》が廃字となった後の表記。
🔷㋐【𐌀】/㋑【𐌉】/㋒【𐌖】/㋓【𐌝】/㋔【𐌞】 ……オスク - 英語版ウィキペディアによると、㋓段は《Í》, ㋔段は《Ú》に当たる。
🔷㋐【𐌀】/㋑【𐌉】/㋒【𐌖】/㋓【𐌄】/㋔【ꞏ】 ……南ピケーノ:古イタリア文字 - ユニコードでは古イタリア文字は言語に関係なく全て字形が統合されたことにより、ラテン文字翻字で《.》となる㋔段の点など正しい表記が現時点で不可能のため、ラテン拡張-Dブロックにある点で代用。
🔷㋐【𐌀】/㋑【𐌉】/㋒【𐌖】/㋓【𐌉𐌉】/㋔【𐌏】 ……ヴェネト - ㋓段は本来ローマ数字の《Ⅱ》のような1字扱いの連字だが、ユニコードでは《𐌉》の連字で代用。
人工文字など
🔷㋐【ᐊ】/㋑【ᐃ】/㋒【ᐅ】/㋓【ᐁ】/㋔【ᐅ】 ……クリー。
🔷㋐【ᐊ】/㋑【ᐃ】/㋒【ᐅ】/㋓【ᐃ】/㋔【ᐅ】 ……イヌイット。
🔷㋐【𐐈・𐐰】/㋑【𐐆・𐐮】/㋒【𐐋・𐐳】/㋓【𐐇・𐐯】/㋔【𐐉・𐐱】 ……アメリカ英:デセレット文字 -
㋐段はイギリス容認発音に合わせた表記では長音の《𐐂・𐐪》[ɑː アー]となる。ユニコード字母名で“SHORT O”は㋐段語頭・語末のあいまい母音A[ə
ア]又は短音U[ʌ ア]を示す《𐐊・𐐲》である。
🔷㋐【𐑭】/㋑【𐑦】/㋒【𐑫】/㋓【𐑧】/㋔【𐑪】 ……英:シェイヴィアン文字 -
㋐段は語頭・語末ではあいまい母音の《𐑩》[ə ア]で示され、アメリカ英語音に合わせた表記では㋐段は短音の《𐑨》[æ エァ]となる。
🔷㋐【𐑨】/㋑【𐑦】/㋒【𐑪】/㋓【𐑧】/㋔【𐑩】 ……エスペラント:シャーヴァ文字 - 本来のシェイヴィアン文字と発音が異なり、日本語ローマ字表記とほぼ同じ発音となる (関西弁など西日本の方言音では[a, i, u, e, o]全てが一致)。