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カウィ文字による日本語表記

9月8日は国際識字デーで、インドネシアでは記念日と連動してアクサラの日という記念日を制定しています。
アクサラはサンスクリット語に由来する単語で“文字”や“字母”の意味です。

今回はカウィ文字による日本語表記を取り上げます。

カウィ文字表示のために、Xim Sans HandwrittenNoto Sans Kawiなどカウィ文字フォントやFirefox系ブラウザが必要です。


カウィ文字について

カウィ文字はインドネシアの古ジャワ語の文字体系で、ジャワ文字のルーツです。
ユニコードにおけるカウィ文字の例示字形はミャゼディ文字というミャンマー系文字のルーツに似たものが見られます。

カウィ文字の母音

エ段・オ段は長短の区別がなされないのは北インド系文字と共通で、現行インドネシア諸言語の文字体系における長母音記号の使用は稀です。
エ段とオ段の長音表記はヴィラーマ付き子音字との組み合わせによる推測表記で示します。
ブラーフミー文字AU𑀒》に対応するカウィ字母はユニコード未登録のため、Oと母音記号AAの合成字𑼐𑼴》で示します。
ジャワ文字HA》と同じく、子音字HA𑼲》が母音のみの発音となる場合があるため、母音記号の配置を示します。

  1. A𑼄・𑼲】ア

  2. AA𑼅・𑼲𑼴・𑼲𑼵】アー

  3. AI𑼏・𑼲𑼿】アイ

  4. AU𑼐𑼴・𑼲𑼿𑼴・𑼲𑼿𑼵】アウ

  5. I𑼆・𑼲𑼶】イ

  6. II𑼇・𑼲𑼷】イー

  7. U𑼈・𑼲𑼸】ウ

  8. UU𑼉・𑼲𑼹】ウー

  9. E𑼎・𑼲𑼾】エ・エー

  10. EY𑼎𑼫𑽁・𑼲𑼾𑼫𑽁】エー・エイ

  11. O𑼐・𑼲𑼾𑼴・𑼲𑼾𑼵】オ・オー・オウ

  12. OH𑼐𑼲𑽁・𑼲𑼾𑼴𑼲𑽁】オー・オウ

鼻母音記号と撥ねる音の表記

マレー・インドネシア諸言語共通ラテン文字〈NG〉[ŋ ン]はカ行・ガ行の前の撥音を示し、カ行・ガ行の前の《》に対応するカウィ文字表記は前の音節に鼻音化母音記号アヌスワラを付加する方式で、ジャワ文字ANGꦄꦁ・ꦲꦁ》, バリ文字ANGᬅᬂ・ᬳᬂ》, スンダ文字ANGᮃᮀ・ᮠᮀ》, マカッサル語ブギス文字ANGᨕᨛ・ᨖᨛ》, ルジャン文字ANGꥆꥏ・ꥁꥏ》, バタク文字ANGᯀᯰ /ᯁᯰ・ᯂᯰ/ᯃᯰ/ᯄᯰ》と共通の方式です。
また、日本語の訓令式ローマ字におけるオンキリʼ》を用いたンアNʼA〉やンヤNʼYA〉にも対応し、カウィ文字翻字で単位 /tanʼi/ は〈𑼡𑼁𑼆〉, 金曜 /kinʼyô/ は〈𑼒𑼶𑼁𑼫𑼾𑼴〉となります。

  1. ANG【アン《𑼄𑼁・𑼲𑼁》/アンア《𑼄𑼁𑼄・𑼲𑼁𑼄》/アンカ《𑼄𑼁𑼒・𑼲𑼁𑼒》/アンガ《𑼄𑼁𑼔・𑼲𑼁𑼔》/アンカ゚《𑼄𑼁𑼖・𑼲𑼁𑼖》/アンヤ《𑼄𑼁𑼫・𑼲𑼁𑼫》】アン

  2. ING【イン《𑼆𑼁・𑼲𑼶𑼁》/インア《𑼆𑼁𑼄・𑼲𑼶𑼁𑼄》/インカ《𑼆𑼁𑼒・𑼲𑼶𑼁𑼒》/インガ《𑼆𑼁𑼔・𑼲𑼶𑼁𑼔》/インカ゚《𑼆𑼁𑼖・𑼲𑼶𑼁𑼖》/インヤ《𑼆𑼁𑼫・𑼲𑼶𑼁𑼫》】イン

  3. UNG【ウン《𑼈𑼁・𑼲𑼸𑼁》/ウンア《𑼈𑼁𑼄・𑼲𑼸𑼁𑼄》/ウンカ《𑼈𑼁𑼒・𑼲𑼸𑼁𑼒》/ウンガ《𑼈𑼁𑼔・𑼲𑼸𑼁𑼔》/ウンカ゚《𑼈𑼁𑼖・𑼲𑼸𑼁𑼖》/ウンヤ《𑼈𑼁𑼫・𑼲𑼸𑼁𑼫》】ウン

  4. ENG【エン《𑼎𑼁・𑼲𑼾𑼁》/エンア《𑼎𑼁𑼄・𑼲𑼾𑼁𑼄》/エンカ《𑼎𑼁𑼒・𑼲𑼾𑼁𑼒》/エンガ《𑼎𑼁𑼔・𑼲𑼾𑼁𑼔》/エンカ゚《𑼎𑼁𑼖・𑼲𑼾𑼁𑼖》/エンヤ《𑼎𑼁𑼫・𑼲𑼾𑼁𑼫》】エン

  5. ONG【オン《𑼐𑼁・𑼲𑼾𑼴𑼁・𑼲𑼾𑼵𑼁》/オンア《𑼐𑼁𑼄・𑼲𑼾𑼴𑼁𑼄・𑼲𑼾𑼵𑼁𑼄》/オンカ《𑼎𑼁𑼒・𑼲𑼾𑼴𑼁𑼒・𑼲𑼾𑼵𑼁𑼒》/オンガ《𑼎𑼁𑼔・𑼲𑼾𑼴𑼁𑼔・𑼲𑼾𑼵𑼁𑼔》/オンカ゚《𑼎𑼁𑼖・𑼲𑼾𑼴𑼁𑼖・𑼲𑼾𑼵𑼁𑼖》/オンヤ《𑼎𑼁𑼫・𑼲𑼾𑼴𑼁𑼫・𑼲𑼾𑼵𑼁𑼫》】オン

カウィ文字の子音字

ラテン文字は1972年に制定されたマレーシア・インドネシア共通ラテン文字で示しています。カウィ文字ではザ行・ジャ行, パ行・ファ行, ワ行・ヴァ行は区別されません。

ミャンマー系文字とは子音字と母音記号の構成がほぼ共通で、ビルマ文字KAAကာ》とカウィ文字KAA𑼒𑼴》, ビルマ文字GAAဂါ》とカウィ文字GAA𑼔𑼵》という風にユニコードでは母音記号AA[アー]は字形によって使い分けがなされます。

  1. K【カ《𑼒》/カー《𑼒𑼴》/キ《𑼒𑼶》/キー《𑼒𑼷》/ク《𑼒𑼸》/クー《𑼒𑼹》/ケ《𑼒𑼾》/カイ《𑼒𑼿》/コ《𑼒𑼾𑼴》/カウ《𑼒𑼿𑼴》/ㇰ《𑼒𑽁》/ッカ《𑼒𑽂𑼒》/ンカ《𑼖𑽂𑼒》】[k ク]

  2. KY【キャ《𑼒𑽂𑼫》/キュ《𑼒𑽂𑼫𑼸》/キェ《𑼒𑽂𑼫𑼾》/キャイ《𑼒𑽂𑼫𑼿》/キョ《𑼒𑽂𑼫𑼾𑼴》/キャウ《𑼒𑽂𑼫𑼿𑼴》/ッキャ《𑼒𑽂𑼒𑽂𑼫》/ンキャ《𑼖𑽂𑼒𑽂𑼫》】[kj キ]

  3. KW【クァ・クヮ《𑼒𑽂𑼮》/クィ《𑼒𑽂𑼮𑼶》/クェ《𑼒𑽂𑼮𑼾》/クァイ《𑼒𑽂𑼮𑼿》/クォ《𑼒𑽂𑼮𑼾𑼴》/クァウ《𑼒𑽂𑼮𑼿𑼴》/ックァ《𑼒𑽂𑼒𑽂𑼮》/ンクァ《𑼖𑽂𑼒𑽂𑼮》】[kw クワ]

  4. G【ガ《𑼔》/ガー《𑼔𑼵》/ギ《𑼔𑼶》/ギー《𑼔𑼷》/グ《𑼔𑼸》/グー《𑼔𑼹》/ゲ《𑼔𑼾》/ガイ《𑼔𑼿》/ゴ《𑼔𑼾𑼵》/ガウ《𑼔𑼿𑼵》/ㇰ゙《𑼔𑽁》/ッガ《𑼔𑽂𑼔》/ンガ《𑼖𑽂𑼔》】[ɡ グ]

  5. GY【ギャ《𑼔𑽂𑼫》/ギュ《𑼔𑽂𑼫𑼸》/ギェ《𑼔𑽂𑼫𑼾》/ギャイ《𑼔𑽂𑼫𑼿》/ギョ《𑼔𑽂𑼫𑼾𑼵》/ギャウ《𑼔𑽂𑼫𑼿𑼵》/ッギャ《𑼔𑽂𑼔𑽂𑼫》/ンギャ《𑼖𑽂𑼔𑽂𑼫》】[ɡj ギ]

  6. GW【グァ・グヮ《𑼔𑽂𑼮》/グィ《𑼔𑽂𑼮𑼶》/グェ《𑼔𑽂𑼮𑼾》/グァイ《𑼔𑽂𑼮𑼿》/グォ《𑼔𑽂𑼮𑼾𑼵》/グァウ《𑼔𑽂𑼮𑼿𑼵》/ッグァ《𑼔𑽂𑼔𑽂𑼮》/ングァ《𑼖𑽂𑼔𑽂𑼮》】[ɡw グワ]

  7. S【サ《𑼱》/サー《𑼱𑼴》/スィ《𑼱𑼶》/スィー《𑼱𑼷》/ス《𑼱𑼸》/スー《𑼱𑼹》/セ《𑼱𑼾》/サイ《𑼱𑼿》/ソ《𑼱𑼾𑼴》/サウ《𑼱𑼿𑼴》/ㇲ《𑼱𑽁》/ッサ《𑼱𑽂𑼱》/ンサ《𑼥𑽂𑼱》】[s ス]

  8. SH➡SY【シャ《𑼯》/シャー《𑼯𑼵》/シ《𑼯𑼶》/シー《𑼯𑼷》/シュ《𑼯𑼸》/シュー《𑼯𑼹》/シェ《𑼯𑼾》/シャイ《𑼯𑼿》/ショ《𑼯𑼾𑼵》/シャウ《𑼯𑼿𑼵》/ㇱ《𑼯𑽁》/ッシャ《𑼯𑽂𑼯》/ンシャ《𑼥𑽂𑼯》】[ʃ シュ] - 本来のジャワ文字でシャ行はサ・ムルダ》だが、現行表記ではジャワ語でチュチャッ付きSAꦱ꦳》, マドゥラ語でチュチャッ付きサ・ムルダꦯ꦳》となる。本来のバリ文字ではサ・サガ》だが、現行表記ではバリ語ではシャ行音[ʃ~ɕ]が音素として存在しないためSA》に置き換えられる場合が多く, ササック語ではシャ行音が外来語で用いられるためアシュラ》を用いる。

  9. J・Z【ジャ・ザ《𑼙》/ジャー・ザー《𑼙𑼴》/ジ・ズィ・ヂ《𑼙𑼶》/ジー・ズィー《𑼙𑼷》/ジュ・ズ・ヅ《𑼙𑼸》/ジュー・ズー《𑼙𑼹》/ジェ・ゼ《𑼙𑼾》/ジャイ・ザイ《𑼙𑼿》/ジョ・ゾ《𑼙𑼾𑼴》/ジャウ・ザウ《𑼙𑼿𑼴》/ㇱ゙・ㇲ゙《𑼙𑽁》/ッジャ・ッザ《𑼙𑽂𑼙》/ンジャ《𑼛𑽂𑼙》/ンザ《𑼥𑽂𑼙》】[ʤ ヂ/z ズ] - ザ行音はジャワ文字ではチュチャッ付きJAꦗ꦳》で表す。バリ文字ではバリ語はJA》あるいはSA》, ササック語ではザール》で表す。

  10. T【タ《𑼡》/ター《𑼡𑼴》/ティ《𑼡𑼶》/ティー《𑼡𑼷》/トゥ《𑼡𑼸》/トゥー《𑼡𑼹》/テ《𑼡𑼾》/タイ《𑼡𑼿》/ト《𑼡𑼾𑼴》/タウ《𑼡𑼿𑼴》/ㇳ《𑼡𑽁》/ッタ《𑼡𑽂𑼡》/ンタ《𑼥𑽂𑼡》】[t ト]

  11. C【チャ《𑼗》/チャー《𑼗𑼴》/チ《𑼗𑼶》/チー《𑼗𑼷》/チュ《𑼗𑼸》/チュー《𑼗𑼹》/チェ《𑼗𑼾》/チャイ《𑼗𑼿》/チョ《𑼗𑼾𑼴》/チャウ《𑼗𑼿𑼴》/チ《𑼗𑽁》/ッチ《𑼗𑽂𑼗𑼶》/ンチ《𑼛𑽂𑼗𑼶》】[ʧ チ]

  12. TS【ツァ《𑼡𑽂𑼱》/ツァー《𑼡𑽂𑼱𑼴》/ツィ《𑼡𑽂𑼱𑼶》/ツィー《𑼡𑽂𑼱𑼷》/ツ《𑼡𑽂𑼱𑼸》/ツー《𑼡𑽂𑼱𑼹》/ツェ《𑼡𑽂𑼱𑼾》/ツァイ《𑼡𑽂𑼱𑼿》/ツォ《𑼡𑽂𑼱𑼾𑼴》/ツァウ《𑼡𑽂𑼱𑼿𑼴》/ッツ《𑼡𑽂𑼱𑽁》/ッツ《𑼡𑽁𑼡𑽂𑼱𑼸》/ンツ《𑼥𑽁𑼡𑽂𑼱𑼸》】[ʦ ツ] - ツァ行音はジャウィ文字ではTHEHث》, ササック語バリ文字ではツィル》で表す。

  13. D【ダ《𑼣》/ダー《𑼣𑼵》/ディ《𑼣𑼶》/ディー《𑼣𑼷》/ドゥ《𑼣𑼸》/ドゥー《𑼣𑼹》/デ《𑼣𑼾》/ダイ《𑼣𑼿》/ド《𑼣𑼾𑼵》/ダウ《𑼣𑼿𑼵》/ㇳ゙《𑼣𑽁》/ッダ《𑼣𑽂𑼣》/ンダ《𑼥𑽂𑼣》】[d ド]

  14. N【ナ《𑼥》/ナー《𑼥𑼴》/ニ《𑼥𑼶》/ニー《𑼥𑼷》/ヌ《𑼥𑼸》/ヌー《𑼥𑼹》/ネ《𑼥𑼾》/ナイ《𑼥𑼿》/ノ《𑼥𑼾𑼴》/ナウ《𑼥𑼿𑼴》/ン・ㇴ《𑼥𑽁》/ンナ《𑼥𑽂𑼥》】[n ン・ヌ]

  15. NY【ニャ《𑼛》/ニャー《𑼛𑼴》/ニ《𑼛𑼶》/ニー《𑼛𑼷》/ニュ《𑼛𑼸》/ニュー《𑼛𑼹》/ニェ《𑼛𑼾》/ニャイ《𑼛𑼿》/ニョ《𑼛𑼾𑼴》/ニャウ《𑼛𑼿𑼴》/ニュ・ン《𑼛𑽁》/ンニャ《𑼛𑽂𑼛》】[ɲ ニュ]

  16. H【ハ《𑼲》/ハー《𑼲𑼴》/ヒ《𑼲𑼶》/ヒー《𑼲𑼷》/フ《𑼲𑼸》/フー《𑼲𑼹》/ヘ《𑼲𑼾》/ハイ《𑼲𑼿》/ホ《𑼲𑼾𑼴》/ハウ《𑼲𑼿𑼴》/ㇵ・ㇶ・ㇷ・ㇸ・ㇹ《𑼲𑽁》/ッハ《𑼲𑽂𑼲》/ンハ《𑼥𑽂𑼲》】[h ホ]

  17. HY・◌Y【ヒャ・ャ《𑼲𑽂𑼫》/ヒャー・ャー《𑼲𑽂𑼫𑼴》/ヒィ・ィ《𑼲𑽂𑼫𑼶》/ヒィー・ィー《𑼲𑽂𑼫𑼷》/ヒュ・ュ《𑼲𑽂𑼫𑼸》/ヒュー・ュー《𑼲𑽂𑼫𑼹》/ヒェ・ェ《𑼲𑽂𑼫𑼾》/ヒャイ・ャイ《𑼲𑽂𑼫𑼿》/ヒョ・ョ《𑼲𑽂𑼫𑼾𑼴》/ヒャウ・ャウ《𑼲𑽂𑼫𑼿𑼴》/ッヒャ《𑼲𑽂𑼲𑽂𑼫》/ンヒャ《𑼥𑽂𑼲𑽂𑼫》】[hj- ヒ/-ʲ- ィ] - 現代ジャワ語ではヤ行音[j]に変化するため、カウィ文字における拗音[ʲ]の配置の例示を兼用。

  18. HW・◌W【ホワ・ァ・ヮ《𑼲𑽂𑼮》/ホワー・ヮー《𑼲𑽂𑼮𑼴》/ホイ・ィ《𑼲𑽂𑼮𑼶》/ホイー・ィー《𑼲𑽂𑼮𑼷》/ホゥ・ゥ《𑼲𑽂𑼮𑼸》/ホゥー・ゥー《𑼲𑽂𑼮𑼹》/ホエ・ェ《𑼲𑽂𑼮𑼾》/ホアイ・ァイ《𑼲𑽂𑼮𑼿》/フオ・ォ《𑼲𑽂𑼮𑼾𑼴》/ホワウ・ァウ《𑼲𑽂𑼮𑼿𑼴》/ッホワ《𑼲𑽂𑼲𑽂𑼮》/ンホワ《𑼥𑽂𑼲𑽂𑼮》】[hw- ホワ/-ʷ- ゥ] - 現代ジャワ語ではワ行音[w]に変化するため、カウィ文字における合拗音[ʷ]の配置の例示を兼用。

  19. P・F【パ・ファ《𑼦》/パー・ファー《𑼦𑼵》/ピ・フィ《𑼦𑼶》/ピー・フィー《𑼦𑼷》/プ・フ《𑼦𑼸》/プー・フー《𑼦𑼹》/ペ・フェ《𑼦𑼾》/パイ・ファイ《𑼦𑼿》/ポ・フォ《𑼦𑼾𑼴》/パウ・ファウ《𑼦𑼿𑼵》/ㇷ・ㇷ゚《𑼦𑽁》/ッパ・ッファ《𑼦𑽂𑼦》/ンパ《𑼪𑽂𑼦》/ンファ《𑼥𑽂𑼦》】[p プ/f フ] - ジャワ文字ではチュチャッ付きPAꦥ꦳》で表す。バリ文字ではパ行・ファ行・ヴァ行共にPA》で表し、ササック語ではファ行音はエフ》で表す。

  20. B【バ《𑼨》/バー《𑼨𑼴》/ビ《𑼨𑼶》/ビー《𑼨𑼷》/ブ《𑼨𑼸》/ブー《𑼨𑼹》/ベ《𑼨𑼾》/バイ《𑼨𑼿》/ボ《𑼨𑼾𑼴》/バウ《𑼨𑼿𑼴》/ㇷ゙《𑼨𑽁》/ッバ《𑼨𑽂𑼨》/ンバ《𑼪𑽂𑼨》】[b ブ]

  21. M【マ《𑼪》/マー《𑼪𑼴》/ミ《𑼪𑼶》/ミー《𑼪𑼷》/ム《𑼪𑼸》/ムー《𑼪𑼹》/メ《𑼪𑼾》/マイ《𑼪𑼿》/モ《𑼪𑼾𑼴》/マウ《𑼪𑼿𑼴》/ㇺ・ン《𑼪𑽁》/ンマ《𑼪𑽂𑼪・𑼥𑽂𑼪》】[m ム・ン]

  22. Y【ヤ《𑼫》/ヤー《𑼫𑼴》/イィ《𑼫𑼶》/イィー《𑼫𑼷》/ユ《𑼫𑼸》/ユー《𑼫𑼹》/イェ《𑼫𑼾》/ヤイ《𑼫𑼿》/ヨ《𑼫𑼾𑼴》/ヤウ《𑼫𑼿𑼴》/ィ《𑼫𑽁》/イヤ《𑼫𑽂𑼫》】[j ィ]

  23. R【ラ《𑼬》/ラー《𑼬𑼴》/リ《𑼬𑼶》/リー《𑼬𑼷》/ル《𑼬𑼸》/ルー《𑼬𑼹》/レ《𑼬𑼾》/ライ《𑼬𑼿》/ロ《𑼬𑼾𑼴》/ラウ《𑼬𑼿𑼴》/ㇻ・ㇼ・ㇽ・ㇾ・ㇿ《𑼬𑽁》/アッラ《𑼄𑼂𑼬・𑼲𑼂𑼬》/ンラ《𑼥𑽂𑼬》】[r ル]

  24. L【ラ《𑼭》/ラー《𑼭𑼴》/リ《𑼭𑼶》/リー《𑼭𑼷》/ル《𑼭𑼸》/ルー《𑼭𑼹》/レ《𑼭𑼾》/ライ《𑼭𑼿》/ロ《𑼭𑼾𑼴》/ラウ《𑼭𑼿𑼴》/ㇽ《𑼭𑽁》/ッラ《𑼭𑽂𑼭》/ンラ《𑼥𑽂𑼭》】[l ル] - 外来語表記用。

  25. W・V【ワ・ヴァ《𑼮》/ワー・ヴァー《𑼮𑼵》/ウィ・ヴィ《𑼮𑼶》/ウィー・ヴィー《𑼮𑼷》/ウゥ・ヴ《𑼮𑼸》/ウゥー・ヴー《𑼮𑼹》/ウェ・ヴェ《𑼮𑼾》/ワイ・ヴァイ《𑼮𑼿》/ウォ・ヴォ《𑼮𑼾𑼵》/ワウ・ヴァウ《𑼮𑼿𑼵》/ゥ・ゥ゙《𑼮𑽁》/ウワ・ッヴァ《𑼮𑽂𑼮》/ンワ《𑼣𑽂𑼮》/ンヴァ《𑼪𑽂𑼮》】[w ゥ/f フ] - ヴァ行音[v]はインドネシア語ではファ行音[f]となり、マレー語ジャウィ文字ではVIۏ》で表し、英語と同じヴァ行音[v]となる。ジャワ文字ではジャワ語ではチュチャッ付きWAꦮ꦳》, マドゥラ語ではチュチャッ付きPAꦥ꦳》で表す。ヴァ行音はバリ文字ではバリ語ではPA》だが、ササック語ではフェー》で表す。

特殊表記

ジャワ文字やバリ文字にあるヌクタ記号による子音の発音変化が存在しないため、代用表記を示します。

  1. JH➡Z【ザ・ヅァ《𑼚》/ザー・ヅァー《𑼚𑼴》/ズィ・ヅィ《𑼚𑼶》/ズィー・ヅィー《𑼚𑼷》/ズ・ヅ《𑼚𑼸》/ズー・ヅー《𑼚𑼹》/ゼ・ヅェ《𑼚𑼾》/ザイ・ヅァイ《𑼚𑼿》/ゾ・ヅォ《𑼚𑼾𑼴》/ザウ・ヅァウ《𑼚𑼿𑼴》/ㇲ゙・ッ゙《𑼚𑽁》/ッザ・ッヅァ《𑼚𑽂𑼚》/ンザ・ンヅァ《𑼛𑽂𑼚》】[z ズ] - マラーティー語ナーガリー文字JHA》, マニプーリ文字JHAMꯓ / ঝ》, グジャラート文字JHA》などでザ行音に当てられることに由来。

  2. PH➡F【ファ《𑼧》/ファー《𑼧𑼴》/フィ《𑼧𑼶》/フィー《𑼧𑼷》/フ《𑼧𑼸》/フー《𑼧𑼹》/フェ《𑼧𑼾》/ファイ《𑼧𑼿》/フォ《𑼧𑼾𑼴》/ファウ《𑼧𑼿𑼵》/ㇷ《𑼧𑽁》/ッファ《𑼧𑽂𑼧》/ンファ《𑼪𑽂𑼧・𑼥𑽂𑼧》】[f フ] - ネパール語ナーガリー文字PHA》, テルグ文字PHA》, マラヤラム文字PHA》など多くのインド系文字で英語のファ行音由来の借用語に用いられることに由来。

  3. BH➡V【ヴァ《𑼩》/ヴァー《𑼩𑼴》/ヴィ《𑼩𑼶》/ヴィー《𑼩𑼷》/ヴ《𑼮𑼸》/ヴー《𑼩𑼹》/ヴェ《𑼩𑼾》/ヴァイ《𑼩𑼿》/ヴォ《𑼩𑼾𑼴》/ヴァウ《𑼩𑼿𑼴》/ゥ゙《𑼩𑽁》/ッヴァ《𑼩𑽂𑼩》/ンヴァ《𑼪𑽂𑼩・𑼥𑽂𑼩》】[f フ] - ネパール語ナーガリー文字BHA》, ベンガル文字BHA》, オリヤー文字BHA》などでヴァ行音に当てられることに由来。

インド諸言語の文字体系に近い表記

インド諸言語の文字体系では英語由来のタ行・ダ行そり舌音の字母で表記されるのが基本で、ジャワ文字やバリ文字もこの法則に則った単語が見られます。

  1. TH【タ《𑼜》/ター《𑼜𑼵》/ティ《𑼜𑼶》/ティー《𑼜𑼷》/トゥ《𑼜𑼸》/トゥー《𑼜𑼹》/テ《𑼜𑼾》/タイ《𑼜𑼿》/ト《𑼜𑼾𑼵》/タウ《𑼜𑼿𑼵》/ㇳ《𑼜𑽁》/ッタ《𑼜𑽂𑼜》/ンタ《𑼠𑽂𑼜・𑼥𑽂𑼜》】[ʈ ト] - ジャワ文字TTA》及びバリ文字タ・ラティック》のルーツ。現行正書法制定以前のジャワ語ラテン文字では下ドット付きテーṬ・ṭ》で表記されていた。ジャワ語ペゴン文字ではTHAڟ》で表す。

  2. DH【ダ《𑼞》/ダー《𑼞𑼴》/ディ《𑼞𑼶》/ディー《𑼞𑼷》/ドゥ《𑼞𑼸》/ドゥー《𑼞𑼹》/デ《𑼞𑼾》/ダイ《𑼞𑼿》/ド《𑼞𑼾𑼴》/ダウ《𑼞𑼿𑼴》/ㇳ゙《𑼞𑽁》/ッダ《𑼞𑽂𑼞》/ンダ《𑼠𑽂𑼞・𑼥𑽂𑼞》】[ɖ ド] - ジャワ文字DDA》及びバリ文字ダ・ムルダ・アルパプラナ》のルーツ。現行正書法制定以前のジャワ語ラテン文字では下ドット付きデーḌ・ḍ》で表記されていた。ジャワ語ペゴン文字ではDHAڎ》で表す。