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小樽で硝子器を買うということ

小樽の硝子屋さんで、抹茶用の硝子茶碗を見つけた。
ベッコウ色で故意的な色むらがあり、透かすととても美しい。
硝子の茶碗で飯を食おうという人は聞かないけれど、あまりにもきれいだし手頃サイズなのでご飯茶碗にしようかと考えた。
旅先のこと、ふたつの硝子器を持ち歩くのも邪魔くさくてグラスだけにしたのだけれど、今少し後悔している。


あの硝子屋さん、八百屋さんみたいに商品を台にズラーって並べてある。
上から俯瞰できるわけだ。
そこからおおよそ代表的なの色の傾向のものをひとつ置いてある。が、実際にカウンターに持って行くと、おねーさんが小さな箱を出してくるんだ。
その中には同じ商品が入っている。
おねーさんはそこからいくつか取り出してカウンターに並べる。
「色やがらが微妙に違うんです。お好きなのをお選びください」と。
たしかに色の濃淡、柄のサイズ、みんな違う。
よく見ればかなり違う。優柔不断なお客の場合、お姉さんが決めることになるのだろうか。


ここの商品を買う時は、物を一個ずつ見極める必要がある。
値段も決して安くはなく、「小樽みやげ」で済ませられる値段ではない。つまり一生ものとして買う覚悟がいる。
「小樽へ行かなければ買えない」とおもうのだ。
何も知らなければ通販でいい。
十分にきれいで納得できると思う。
しかし選ぶ楽しさが提供されている商品ならば、それも値段のうちだ。
放棄するのはあまりにも惜しいし、器に対する気持ち、ひいては街の印象にもつながる。
だから次回小樽に行ったらガラスの茶碗を買う。

なるほど。
それで北一硝子は通販をしてこなかったんだ。

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