起終点駅ターミナル(646字)
あらすじを見て、少し悩みました。
裁判官である鷲田(佐藤浩一)が、彼女を追い詰めてしまった過去に負い目を感じると言ったストーリー。
役者が佐藤浩一となると、女にだらしない裁判官が身を滅ぼす話かと思うじゃないですか。
けれど違った。
大学時代の彼女との焼け木杭はなんだったのだろうか。
自分が担当した事件の被告(敦子)が訪ねてきて、ある男を探してほしいと言う。
その前に中村獅童演じるいかにもヤクザな人物が出てくるので、てっきり彼の差金で、女を使ってたらし込もうと言うことかと思ったが、それも裏切られた。
少しこれみよがしな演出からか、自分の目が汚れているだけなのか。
最後の最後までまだ道をを歩踏み外してしまうのではないかと言う不安がつきまとっていたが、自分は鷲田に一笑に付された気がした。
「オレはそんな人間じゃないよ、危なっかしいのはお前自身だろ」って。
確かに。
しかしそうとばかりも言えない。
一見無邪気な面も見せる敦子だが、時々誘うような顔つきもする。だからまんまと騙されたとも言える。
最後はハッピーエンドと言えるか。
伏線だった筋子が最後、きれいに決めてくれた感じ。
とってもいい作品でした。
ただ、その「危なっかしさ」は監督と脚本家による演出なので、原作でどう表現されているかは大変に興味のあるところ。
本当に偶然だけれど、原作者桜木紫乃はホテルローヤルの原作者でもあった。
彼女の書く作品、好きなのかもしれない。
危ういキャラクターっぽいのに、筋は通っているのは、ホテルローヤルの主人公と同じ。
とても惹かれます。
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