飛ぶ
小樽は坂の街。
雪の下り坂を下っていく。
30cmくらいは踏み固められているが、そこを歩くと滑りやすい。
前をゆくおじいさんは鳥が助走するように軽やかに下っていく。
さっさっさっと音がする。
迂回すべきだったと気づいた時にはすでに1/3は下りてしまっていた。
ばさっばさっ
振り返るとカラスが飛んでいった。
体を沈めながら数メートル歩いてきたようだ。
最初から飛べばいいのに。
カラスがニヤッとしたように見えた。
ばさばさっ
今度は鳩だ。
凍った道路に着地した。
何か紙をくわえてる。
頭を振ってこちらに紙を広げて見せる。
婚姻届か。
なんだ、雪が深いから伝書鳩に婚姻届を託したのか。
ばさばさばさっ
珍しい鳥だ、これはコウノトリじゃないか。
小さい子が背中から顔だけひょこっと顔を出してこっちを見ているぞ。
そうか、伝書鳩に託した思いは届いたんだ。
誰か知らないけれどおめでとう!
さて、鳥たち。
おれも救って欲しいな。
もう足腰が限界...
おっ!
あっ!
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