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財務会計の基礎知識

財務会計とは、
財務諸表を作成し、利害関係者に企業の情報を提供する
企業外部の投資家や債権者に対して会社情報を提供する

会社情報:財務諸表
①制度会計:法令により規制される財務会計
a 金融商品取引法会計(表示基準:財務諸表等規則)
上場企業等が対象・情報提供機能が主
b 会社法会計(表示基準:会社計算規則等)
全企業が対象・利害調整機能が主
c 税務会計
全企業が対象・公平な課税

財務会計の機能
情報提供機能
投資家が経済的意思決定を誤ることのないよう、企業の状況に関する有用な情報を提供する機能
利害調整機能
企業に関わる利害関係者の間に生じる利害の対立を解消または調整する機能
概念フレームワーク
情報提供機能を財務会計の目的と位置づけ、利害調整機能については、情報提供が行われた上での財務報告の副次的利用としている

利害調整機能
1. 株主と経営者の利害調整
株式会社では、株主(委託者)の出資した資金を経営者(受託者)が企業目的に即して適切に運用するという受託委託関係(エージェンシー関係)が成立している。しかし、所有と経営の分離が進んだ現代の株式会社では、経営者が株主の利益を害する行動をとるおそれに対して、株主が経営者の行動を常に監視することは困難である。ここに、株主の出資金の運用に関して、経営者と株主の間に利害対立が生じる。
そこで、株主の資金の運用結果を財務会計を通じて報告することで、経営者は受託責任を果たしたことを説明でき、株主は自らの資金の運用の適切さを判断できる。もって、株主と経営者の利害対立は解消される。

2. 債権者と株主の利害調整
株式会社では、株主は企業の経営意思決定に参加し、経営成績に応じた配当を受ける一方で、出資額を限度とした有限責任のみ負担する。他方、債権者は企業の経営意思決定には参加できず、会社の純資産を最終的な担保として約定利息と元本返済を受けるのみであり、経営の結果次第では債務不履行のリスクを負う立場にある。純資産からの株主への配当は、債権者の担保財産の減少を意味し、債務不履行のリスクに影響することから、純資産の分配と保全に関して株主と債権者との間に利害の対立が生じる。
そこで、株主への配当による純資産の減少が債権者の担保となるべき財産を害することのないよう、財務情報に基づいて配当規制が設けられる。もって、株主と債権者の利害の対立が調整される。

情報提供機能の必要性
1. 情報の非対称性(偏在)の緩和
証券市場において逆選択問題が生じれば、各企業が自社の収益性や安全性に裏付けられた適正価格で証券を発行しても、その品質についての情報の得られない投資家は企業の発行する証券を購入しなくなり、証券の円滑な発行や流通が妨げられてしまう。この問題を解消するためには、企業に対する資金提供者である投資家に対して、企業の状況を適正に反映した会計情報を積極的に提供し、情報の非対称性を緩和する必要がある。

2. ディスクロージャー制度における投資家保護(概念フレームワーク)
企業情報の入手機会には、投資家と経営者の間には大きな格差(情報の非対称性)がある。しかし、企業の発行する株式や社債等の価値の推定には、発行企業の収益性や安全性に関する情報が必要であり、情報開示が十分に行われることで、投資家は自己責任の下に投資意思決定を行うことが可能となる。
従って、経営者による財務諸表の開示を通じて、情報の非対称性を緩和して投資家の保護をし、ひいては証券の円滑な発行や流通を促進することがディスクロージャー制度の趣旨である。

3. 証券市場と財務会計の役割(金融商品取引法の基本理念)
投資家は、証券市場を通じて企業が発行する証券への投資を行う主体であり、投資利益を追求するため、企業が提供する会計情報を利用して意思決定を行う存在である。一方で、企業は自社の会計情報を提供することで、投資家から経営活動に必要な資金を調達し、事業利益を追求する存在である。つまり、財務会計は、会計情報を介して企業と投資家を結びつけることによって、証券市場における市場メカニズムを利用した効率的な資金配分を促進し、経済全体の発展を促すという役割を果たす。

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