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人を介さない自動フィードバックのすすめ

みなさまの職場では、普段からフィードバックを行っているでしょうか。
フィードバックというと、一般的な企業では人事評価時に受けることが多く、昨今では1on1 の場でも取り入れる企業が多くなっています。

今回の記事では、弊社 Ubie で取り入れている一風変わった「自動フィードバック」の導入経緯や方法についてお伝えしていきます。

フィードバックが組織で重要な理由

そもそもなぜフィードバックが重要か、Ubieで実感しているポイントを挙げていきます。

個人と組織の成長を促進させる
一般によく言われるフィードバックのメリットは、個人の成長促進です。フィードバックを他人から受けることにより、個人の足りてない点を認識・変化していくことで、組織全体の成長も加速させることができます。

期待値のギャップを知り、採用を加速させる
フィードバックを受けることで、一緒に働いているメンバーの期待値と自分自身のアウトプットのギャップを知ることができます。これにより、向いていなかったり、ともするとやりたくなかったりすることを期待されていることに気づくこともできます。
急成長企業においては、時には得意でない、やりたくなくても事業を成長させるためにやらないといけないことも山のように発生します。当事者意識が高い人ほど、自分自身でやり続けようとしますが、本来はライトパーソンを見つけて外部から人材を確保したほうが、中長期的には成果につながる場合も多くあります。そのような will と can/must のずれを明らかにして、採用活動をメンバー間で促進させていくことにもフィードバックによる効能と考えます。

組織に率直性を根付かせる
多くの人は、他人に対して率直にフィードバックをする行為により大量のエネルギーを消費します。課題を指摘することで、その人に嫌われないかと考えるからです。
定期的なフィードバックを組織に根付かせると、一時的にはネガティブな気持ちを持つ人がいるかもしれません。しかし、中長期で見たときには、フィードバックのポジティブな効果が組織の共通認識となることにより、組織の率直性も上がっていきます。

自動フィードバックを取り入れたきっかけ

もともとUbie には、フィードバックの機構が弱いという問題がありました。その原因は組織内で人事評価を取り入れておらず、直接個人に対してフィードバックをするという機会が少なかったからです。
そんな課題感を何度か組織内で議論していた2020年9月、たまたま私自身が Google 主催のスタートアップ向け育成コースに参加。そこでフィードバックを受ける経験をしました。リーダーシップ教育の一環で、主催者である Google が私へのフィードバックを同僚から収集してくれるというものです。その際に、仲間から率直なフィードバックを受けられる素晴らしさ、また自分自身が何もしなくても勝手にフィードバックが集まるという素晴らしいUXを経験しました。
それをきっかけに、どういったかたちであればお互いにフィードバックを負担が少なく続けられるかを検討し、自動フィードバックの機構をつくっていきました。

人間を介さないフィードバックのメリット

フィードバック機構を検討する際に真っ先に浮かんだのは、人事担当が中央にいて、フィードバックされる人を選んだり回答者を集めるという従来の機構でした。しかし、常に人が不足しているUbieでは専任の人事担当者がいないため、コストの観点でも大変だなと思いました。また、人が見ていると考えると時にはシビアなフィードバックをする際に気が引けたりする場合もあると考え、フィードバック送信者の心理ハードルを下げるためにも無人で運用できるようにしました。

フィードバックのフロー

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上の図が実際にUbieで運用しているフィードバックの全体フローでます。受領者は、Slack通知からフィードバックを書いて欲しい人を選ぶと、あとは待っているだけでフィードバックが送られてきます。フィードバックを書く側は、Slackで通知を受け取り、5日以内に記入することを求められます。

※ 以前、このシステムが公開アプリを使っているかと twitter で質問されたこともあったのですが、社内ツールとして Google Firebase/Google Cloud Functions/Google Form を駆使して作っています。もしソースコードを公開してほしいという要望があれば検討するので、twitter でメンションしてください。

とにかく項目をシンプルにする

フィードバックをはじめた当初は、人材要件や自社のValueを軸にして、1~5段階のポイントをつけるという運用でした。しかし、「人事評価のようだ」、「考えるのに苦労する」という声も多く、現在では「Change (変化するべきポイント) /Continue (続けていくべきこと)/一言」の3項目をフリーで記述するようにしてもらっています。
特にその中でも、Changeを7割以上にするなどの条件を記述しており、フィードバック受領者にとって意義のある内容になるように工夫しています。


自分でフィードバック相手を選べる

一般の人事評価では、厳密性を担保するために、自分がフィードバックを受け取れる対象者に一定のバイアスがかかります。しかし、Ubie の自動フィードバックでは、受領者が自分自身で5~10人程度のフィードバック送信者を選べるようにしています。そうすることで、フィードバック受領者が本当にフィードバックを受け取りたい人、本心を知りたい人を選べるようにしています。逆にマストもつくっていないので、仮に苦手な人がいた場合には送らなくても大丈夫なようにしています。

良いフィードバックと悪いフィードバックの定義

実際のフィードバックの中身については、 Netflix のカルチャーについて記述されている書籍「No Rules」を大いに参考にさせていただきました。そこに掲載されている以下の4つの原則をベースにしています。

1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)
2.Actionable(行動変化を促す)
3.Appriciate(感謝する)
4.Accept Or Discard(取捨選択)

また、これ以外にも重要なポイントは、特に Change の項目においては「具体例でフィードバックすること」を重視しています。Fact ベースで話さないと、人は納得して行動変化につなげることが難しいからです。

一兆ドルコーチ」のビル・キャンベルを模した Bot で運用
これは少しおふざけな面もあり、ハイコンテキストでもありますが、他者への愛を強調する意味でボットはシリコンバレーの著名なメンターであるビル・キャンベルのアイコンを利用しています。ちなみに、Ubieでは「一兆ドルコーチ」が入社時の課題図書にもなっています。

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※ 定期的に来るBillからのフィードバック依頼

導入後の反応

今までこういったフィードバックを定期に行う仕組みがなかったこともあり、導入後のメンバーからは以下のようにポジティブなフィードバックを得ることができました。

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他にも多くのメンバーから、「自己変革につながった」という声を聞くことができました。例えば自身の専門性や知見を還元していくべきというフィードバックをもらったメンバーが、より経験を学びをチームに浸透させるためにスクラムマスターになりチームにも学びを浸透させたということがありました。
また、自分自身が考えている以上の役割を求められていることを知ったメンバーの一人は自分のやりたいこととのズレを感じて新規の職種応募を始めるといった変化もあり、採用活動の促進にもつながっています。
変化を促す機会が増えたことで、フィードバック以外の部分も含めて率直な意見を言うことが増えたという社員も出てきました。

まとめ

今回取り上げたように、Ubieではフィードバックの機構を取り入れることで、より個人の変化や進化、率直性の向上についても実感することができました。記入者の負担などに関してもまだまだ改善の余地はあるのですが、今後も改善を繰り返しながらフィードバックの文化を根付かせていこうとしています。

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