戻る 旅に 陽は沈んでいく

関節が硬くなった。ちょっと腕を伸ばせば腕が攣る。
段差もないところでつまづく。
代謝が落ちたせいで贅肉が落ちづらい。
年齢を実感する。

吉田拓郎の洛陽に出てくるじいさんのような、フーテンの暮らしに憧れた時期もある。
博徒になりたいわけではないが、世の中の仕組みから抜けたいという気持ちは人より強かったと思う。
バンドマンに憧れるのはそういう感情もあるだろう。

結局、中間管理職で板挟みというどこにでもある人生だが、どこにでもある人生のハードルは意外に高い事も、40を歳を過ぎると実感する。

きっとじいさんは旅路の果てにたどりついたんだろう。
もう振り出しには戻れない。陽は沈んでいく。
もはや賭けるものがなくなってしまったから、サイコロを転がすのだと解釈している。
片や、まだお前はサイコロを振れる、旅ができるんだと土産にサイコロを託すとも感じている。

望みの薄い再会を強く願い、誰にもみえないところでサイコロを振り、旅に戻る。

立場もあり、守る者もいる。
現状に大きな不満はない。周囲への感謝もある。
サイコロをもらった男よりも世を捨ててはいないが、でもどこかで、そういう生き方を諦めた後悔みたいなものはある。

また振り出しに戻る事はできるのか、まだサイコロを振り続けられるのだろうか。

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