ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 #3

ノストラダムスを覚えているでしょうか？ 彼は……かつては日本でも有名な予言者でした。ぼくが思うに、彼が残したもっとも有名な予言はこれです。「1999年、世界は滅びる」

もちろん、この予言は外れました。そうです……今ならぼくはこの予言を笑うことができます。でもぼくが子どもの頃、ぼくはこれを信じていました。理由を言うことは難しいですが、多分「20世紀末」の気分が関係していたと思います。そして、ぼくは1987年を思い出すことができます。その年、ぼくたちはチェルノブイリ原発事故を体験しました。ある人々はノストラダムスがこの事故に言及していたと言いました。ぼくは子どもじみた心の持ち主だったので、世紀末は人類の歴史の終わりだと思ったのです。

チェルノブイリのあと、ぼくたちは様々な出来事を経験しました。湾岸戦争、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、等など……これらの出来事はぼくにノストラダムスを思い出させました。80年代まで高まっていた経済成長は90年代には転落し、人々の心は荒みました。援助交際、オヤジ狩り……そうです。それが90年代でした。

もちろん、20歳になるとぼくはオカルトを捨て去りました。ぼくは理性的に考えるリアリスティックな人間になりたかったです。でも世紀末はぼくにとって生きづらい時代でした。ぼくは大企業に入れなかったので、ぼくは心の平安とともに人生を生きることはできないだろうと思いました。では、なにを信じるべきでしょうか？ オウムはぼくたちに「デカイ一発」を待てないことを教えました。デカイ一発、ぼくたちに「幸せな世界の終わり」をもたらすような……だからぼくたちはこの陳腐な生活を生きなければならなかった。有名な社会学者がそう言ったような。

ぼくたちは80年代を生き、90年代を生き……そして今に至ります。どこかで、ぼくたちはぼくが言ったような事実を忘れ始めました。「全ては過ぎ去るのみ」……これはぼくの大好きなフレーズです。ですがぼくは、真実を求めていたぼくのバカげた日々を忘れません。

Do you remember Nostradamus? He is... no, was once a famous prophet in Japan. I think the most popular prophecy he left is this. "This world will end in 1999".

Of course, this prophecy hadn't come true. Yes... now I can laugh at this prophecy. But when I was a child, I believed this. I can't explain the reason why... but it might be related to the mood of "the end of the 20th century". Also, I can remember 1987. We had experienced the Chernobyl disaster that year. Some people said that Nostradamus talked about this disaster. I thought as the owner of a childish heart that the end of the century meant the end of human history.

After Chernobyl, we had experienced various events... The Gulf War, the Great Hanshin-Awaji Earthquake, the Aum sarin attack, etc... These events reminded me of Nostradamus... Economic growth which grew higher in the 80s fell down in the 90s. People's minds went nasty. Schoolgirls prostitution, businessmen hunting... yes, these were the 90s.

Of course, when I became 20 years old I threw my occult books away. I wanted to think rationally and be realistic. But at the end of the century was a hard era for me. I couldn't join big companies so I wouldn't be able to live with a peaceful mind. Then, what should I believe? Aum told us that we couldn't wait for "a big hit". A big hit which would give us "the happy end of the world"... so we had to live this banal life which a famous sociologist said so.

We had lived the 1980s, the 1990s, and... until now. At somewhere, we had started forgetting the facts I said. "Everything must go"... is my favorite phrase but I still remember my silly days I had searched for the truth.