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2021/07/24

朝、海外ドラマ『THIS IS US 36歳、これから』シーズン1の第1話を観る。このドラマは文字通り36歳に差し掛かった数人の男女(俳優の男性、ダイエット挑戦中の女性、ヤンエグな男性といった人たち)の何気ない生活を描いたヒューマン・ドラマだ。私自身の36歳を振り返ってしまった。40代が見えて、急に生きるのがしんどくなった時期のような……もう自分は一生このままこの町で貧乏生活を強いられて終わるのだと思って、腐っていたことを思い出させられた。いいドラマだと思われたので、これからも楽しみに観ようと思う。

豊かさとはなんだろう、と考える。今は豊かな時代なのだろうか。私は、過去(特にバブル経済の時期)は日本は華やかな時代であり今は落ち目である、という物語を信じたくない。過去は過去でキツい時代だったのではないか。男女雇用機会均等法なんてものがなく、セクハラもパワハラも常態化していた時代。スマートフォンも、それどころかインターネットもなかった時代……むろん当時あった金が保証していた「豊かな生活」があるのはわかる。でも、私は今だって充分に楽しい時代だと心のどこかで信じたい。

昼下がり、エミリオ・エステヴェス監督『パブリック 図書館の奇跡』を観る。実に渋い映画だと思った。社会派として、ケン・ローチの映画のようにホームレスたちを応援するのではなく、エンターテイメントとしてホームレスたちを笑うのでもないような「第3の道」を目指した映画のように受け取った。私自身、何事か起きるとそれが自分の知っている既存の枠に収まるものなのかどうか気にする、つまり観たいものしか観ていない人間なのではないかと反省させられた。そんなに手放しで褒めるほどのものでもないとは思うが、立派な映画だと思った。

夜、小西康陽『わたくしのビートルズ』などを読んで寝るまでの時間を潰すもはかどらないので、ジム・ジャームッシュ『ダウン・バイ・ロー』を観る。そんなにジャームッシュの映画の中でも傑作の類に入るとは思わないが、今回観ていて『ストレンジャー・ザン・パラダイス』にも通じる「3人関係」でこの映画が成り立っていることがわかったのは収穫だった。長回しで、破綻すれすれで成り立つヒューマン・ドラマが存在するように思った。ジャームッシュはもっと丹念に観ていかないといけないと思っているので、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を観てみようかと思った。

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