ドラマ感想 - 鉄オタ道子、2 万キロ

テレ東が、またとんでもないドラマを送り出してきた。

時間帯は、幾多の傑作を生み出した「金ドラ」こと金曜日深夜 0:52 の枠。主演は、出光 CM や「わたしに××しなさい!」や「荒ぶる季節の乙女どもよ。」で M 男を悉く平伏させたあの美の化身、玉城ティナである。

作品の理念は、鉄道でこそ訪れ、目の当たりにできる土地や風景をいかに紹介するかである。したがって、さんざん鉄オタ系の CS 番組や漫画アニメを観てきた層にはけっこうお馴染みで、ドラマで登場する場所は今のところ特に目新しくはない。というか、開拓し尽くされて目新しい場所がない。

しかしながら、玉城ティナやその他の演者が織りなす物語を介して観て、それらの場所は格段に魅力を増した。特に、第三話で舞台となった奥大井湖上駅と大井川鐵道周辺の観光地は、あの全線ノーカットの「みんなの鉄道」はおろか、実際に彼の地を訪れてたことのある自分自身も知り得なかった素敵さに溢れていた。

玉城ティナや各回にゲスト出演する演者たちは、一部の本物 (が登場することがある) を除いて、鉄道にさして興味などないだろう。しかし、ドラマの世界に入り込んでいくと、本気の鉄オタにしか思えなくなってくる。脚本の素晴らしさはもちろんだが、随所に散りばめられたテツ分をくすぐるうんちくや風景が元のロケ地の良さを増幅して、テツ分のない視聴者の興味を引く造りになっている。テツ分があるならもちろん、なくてもちゃんと楽しめる。

登場人物が少なく、とにかく景色多めの構成なので、セリフが少ないのもいい。演者の視線や表情、間の取り方で物語がつながる小気味良さもある。

決して鉄オタだけに阿った内容ではなく、ドラマ好きにも響く良作である。

月 9 や木 10、日曜劇場どこへやらの独自路線を貫き、傑作を造り続けてきたテレ東ドラマ。個人的にそれを知ったのはほんのここ 1 〜2 年で、遅きに失したことは否めないが、それを取り返すべく注視しよう。

https://www.youtube.com/watch?v=OB24S31UJ94&t=4s

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