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パリオリンピックのポスターデザイン

パリ2024 公式ポスター発表、ウーゴ・ガットーニがデザイン

Olympics

https://olympics.com/ja/news/paris-2024-olympic-paralympic-games-official-posters-unveiled-ugo-gattoni

先日、パリオリンピックのポスターデザインが発表され、様々なメディアで紹介されていますね。
私は見た瞬間「ウォー●ー」を思い浮かべました。
どのくらいの大きさで描いたのかは分かりませんが、制作時間2000時間は膨大すぎて目眩がします。

このポスターは、イラスト・アートとして、コンセプトを持った素晴らしい作品であることは間違いありません。この作品はきっと縮小版のポスターとしてグッズ販売もされるでしょう。家に持ち帰って、ぜひじっくり眺めてみたいものです。
私もイラストは描きますが、こういった緻密画は描けませんので描ける方を心底尊敬します。


では、デザインとして見た場合はどうなのでしょう??

ビジュアル構成

2つで1つの絵が完成するスタイルは、オリンピック+パラリンピックを現した素晴らしい構成です。これを1枚の作品に収められたことに作家さんの力量を感じます。
しかも、2つに分けた時でも、聖火のシンボルがどちらとも入るように構成されている!!細かく見れば見るほど、本当に考えられた作品なんだと感じます。
そして、1つの作品にフランスらしさ、パリらしさを入れながらも「祭典」のような華やかさもある。見た人に「行ってみたい」と思わせる力を持っているように感じます。

配色

これだけスケールの大きい作品。しかも描かれている人々、街、オブジェの数が多いのに、どこか落ち着いて見えるのは色数を絞っていて、トーンが統一されているところにあるのでしょう。
Ugo Gattoniさんについて、私は全く知らなかったのですが、調べてみるとペン画での作品が特徴的な作家さんのようです。
色つけまでを彼が行なっているのかは分かりませんが、色つけはデジタルなのかなぁと想像します。

ポスターとしての役割

これだけの作品ですから、作品としての訴求力はあります。
原寸大では見ていませんので、実際どのくらいの大きさで見えるのかはわかりませんが、緻密画には緻密画の魅力があり、そこで人を惹きつける役割を持たせているのでしょう。
言葉がわからなくても訴求できるのが、ビジュアルが持っている力です。その力をふんだんに発揮しています。
また、タイトル等のインフォメーションはフッター扱いで入れるに留める大胆さに脱帽です。そしてそれを認めてくれる、決定力のあるポジションの方々の寛大さにも驚いています。さすがアートの国!

ただ1つだけ、個人的な所感で欠点を挙げるならば…
パッと見た時、オリンピック感がない…というとことでしょうか。
オリンピックの力強さ、鍛錬、努力、といったところがビジュアルから感じられるものをどうしても求めてしまいます。
これは、文化の違いからくるものなのかもしれません。


デザインとイラストとアートは似て非なるものです。
デザインやイラストには、クライアントがいて要望に応える、つまりクライアントが抱えている問題をデザインで解決する、ということです。
アートには基本的にクライアントは存在せず、アーティストの思いや思想が込められた作品です。イラストレーターの中には、アーティスト寄りの方も多くいらっしゃいます。

以前、とあるクライアント(国内)から聞いたことがあります。
ポスターやカタログ表紙などに1枚絵を使うと、その作家の宣伝になってしまい、本来の目的が薄れてしまうと。
聞いた瞬間に悲しくなったのを、今でもよく覚えいてます。
それでも、作家の力に頼りたいと思わせるほどの力量があれば、立場は逆転するのでしょう。

日本にも、素晴らしいイラストレーターやアーティストは沢山います。
パリオリンピックのポスターのように、日本の作家たちが、胸を張って活躍できるような社会になっていくことを心底願っています。






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