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日本人UTMB完走者は制限時間直前にゴールしている

海外レースに参加したときに、出身が同じ人と行動をともにすると、心理的不安を軽減できます。

ペースを確認せずに、自国民が多いボリュームゾーンで行動をともにしたらどういう結果が待ち受けているのか?

UTMB完走者のボリュームゾーンを調べてみました。

・対象レース : UTMB 2019
・対象国 : UTMB 全体参加者数の上位6カ国(日本は6番目)

完走者のボリュームゾーン

完走者のボリュームゾーンをヒストグラムで確認します。

まずは、完走者全体の分布です。

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制限時間の46時間に向けて頻度は上昇傾向にあり、45時間を超えると、大きく切れ落ちています(=関門アウト)。

次に主要国別の分布を確認します。

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完走者の約36%を占めるフランスの分布は完走者全体と似通っています。

日本の分布はかなり特徴的です。
制限時間間際の45時間前後に著しく偏っています。

ポジティブに捉えると、レースを時間いっぱい楽しみながら、にぎやかな時間帯にゴールしているとも言えますが、関門に追われながら2日間を過ごし、脱落するとDNFに直結するリスクと隣り合わせです。

他国のボリュームゾーンを確認すると

・ 完走率が若干高いスペインは 36〜38時間
イギリスは40〜42時間

といった傾向を読み取れます。

完走率の違い

国ごとに完走者のボリュームゾーンに違いがあることがわかったところで、完走率に違いを確認します。

UTMB 2019 _ 完走率

全体の完走率は 61.19%(1556/2543)です。

全体の約1/3(34%)を占めるフランスは完走率が著しく高く64.71%です。
別の言い方をすると、母数の多いフランス人完走者が全体の完走率を押し上げています。

フランスを除いた参加者数上位国に完走率の大きな違いはなく、いずれも平均を下回っています。
その中で、スペインの完走率は若干高め(58.25%)です。

日本とスペインで完走時間帯のボリュームゾーンは大きく異なるのに、完走率に大きな違いがないのは面白いですね。

まとめ

日本人完走者のボリュームゾーンは完走ギリギリペースです。
ペーサーとして利用し、最後まで食らいついていけば、完走を見込めます。

とはいえ、ペーサーから離脱したり、遅いペーサーについていくとDNFに直結するため、関門時間やタイムスケジュールと突き合わせ、適宜集団に先行してペース調整する意思も必要です。

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