見出し画像

TDS 2021の完走ポイントを2019年レースのDNFから分析

UTMB TDSは2019からコースが大幅に変更されました。

121km / 7,300mD+ / 33時間制限から 145km / 9,100mD+/42時間 へと、より長く、より山岳なコースになりました。

画像9

Trace de trail : TDS 2020

ITRAのFinisher Levelも390から410へ20ポイント増えています(UTMBは420)。

TDSの新コースはあまり情報がないため、難易度の評価の一つとして、DNF周りを中心に確認してみました。

UTMB系コース別完走率の違い

TDSが新コースになった 2019年のUTMB系レースの完走率を確認します。

前提

livetrail からDNF情報を取得する場合

STATS
Following -> WITHDRAWALS

の2通りがあります。
今回は、より細かい情報を取得できる、後者を正としました。

後者はDNF情報として、DNF地点と以下のDNF理由も取得できます

・ (自分の意志でDNF)Withdrawn
・ (関門オーバー)Exceed cut-off time
・ (大会運営に止められた)Stopped by the organisation

DNF率の違い


コース別DNFは次の表の通りです。

画像1

完走とDNFの内訳

DNF内訳

UTMBTDSはDNF率(約40%)もDNFの内訳率もほぼ同じです。

CCCのDNF率は26%と大幅に下がります。
CCCの特徴はWithdrawnによるDNFが多いことです。

折り返し地点のChampex-Lac@54.3km で 232人(DNFの42%)がDNFし、内訳は cutoff : withdrawal = 29:203 です。
元気なうちにGrand Col Ferret@30.7km からの長い下りで飛ばし、そのまま早々とレースを終えてしまう人が多いのかもしれません。

OCC はレース時間が短く、アクシデントも起きにくいので、DNF率はわずか8%です。

TDS 新コースのDNFポイント

続いて、2019年のTDSではどの関門でDNFが発生したのか確認します。

画像11

画像4

TDSは大きな山を3つ超えます。

DNFは2つ目の山を超える中盤の5つの関門に集中しています。

大量DNFが次の2箇所で発生しています。

・中盤の山中で唯一の食事エイド Cormet de Roselend@66.7km/+4389m
・2つ目の山を登り終え、ドロップバッグのある Beaufort@92.7km/+5850m

中規模のDNFが次の3箇所で発生しています。

・1つ目の山を登り終えた Bourg Saint-Maurice@50.6km/+2466
・Bourg Sainから1200m+登った Fort de la Platte@56.0km/+3618m
・Roselendの次のLa Gittaz@74.7km/+4764m

画像5

この中盤を乗り切ると、完走が見えてきます。

2021年は制限時間が2時間延長

TDS 2019の高いDNF率を受けてか、2021年は制限時間が2時間伸び、44時間になりました。

序盤・中盤・終盤に分けると、

・ 序盤が15分延長
・DNFの多かった中盤が1時間延長
・ 終盤が45分延長

というように調整されています。

特に、中盤のLa Gittaz 〜 Beaufort 間は45分伸びています。

全体的に、制限時間を延長する方向で補正が入っていますが、Roselend 〜 La Gittaz 間のように15分短縮されている区間もあるので、注意が必要です。

画像6

2021年はスタート時刻が変更

スタート時刻が午前4時から午後3時に変更されています。

多くのランナーは完走の分かれ目となる中盤を2日目の日中時間帯に走ります。
例えば、中盤最後のドロップバッグエイド Beaufort の最終関門が 19:00 という具合です。

完走率の向上に寄与するかもしれません。

2021年はウェーブスタート

今年は感染対策のためにウェーブスタートします。
そのため、タイムチャートでは、スタートが15時〜16時になっており、Chamonixゴールの関門は16時スタートに44時間を足した12:00です。

早いウェーブでスタートした選手は、最大で1時間の猶予が追加されることになるのかもしれません。

TDS 2021の完走ポイント

最後に、TDS 2021の完走のためのポイントをまとめます。

・TDSは3回山を超える。
・Bourg Saint-Maurice 〜 Beaufort 間の中盤で多くのDNFが発生
・2021年は2日目の昼間にこの中盤を通過。ここを乗り越えると、完走が見えてくる。
・2021年は2019年より制限時間が2時間伸びた
・2021年はウェーブスタート。最大で1時間分のアディショナルタイムがあるかもしれない。

付録:タイムチャート

将来の検索の利便性のために、公式のTime Chart を貼り付けておきます。

2022年版

画像10

※2021年とはスタート時刻が違うだけで、制限時間は同じ

2021年版

画像7

2019年版

画像8




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?