見出し画像

この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義 世界篇・池上彰

この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上彰教授の東工大講義 世界篇・池上彰・文春文庫・2015年3月25日第二刷刊行、を読んだ。


2012年、東京工業大学リベラルアーツセンター教授となった池上彰。東工大の二年生以上を対象にした「現代世界の歩き方」という講義をまとめ、講義後に生起した問題などに関してのコラムを加えたものが書籍化、2012年11月に刊行された。その後の情勢変化に合わせて加筆修正されて文庫化、2015年3月10日に刊行された。


日本、世界のさまざまなことをテーマにした15のLectureが収録されている。池上彰お得意のわかりやすい講義内容で、それぞれ10ページ〜20ページほどの短いものとなっていて(Lecture 15のみ32ページ)、図版も多く掲載、理解しやすく読みやすい(しかも、学校の教科書のように、文章中に太字やあみかけまである!)。15のLectureの半数ほどに挟まれる池上教授と学生のやりとりも、大学なんかに縁のないただの読書趣味の僕に、あーこの本たしかに授業してんだなーと、再認識させてくれて(そりゃ講義を本にしたんだからあたりまえなんだけど)、なんかとてもうれしかった。この感動のような変なうれしさは、高い学費なしの、たったワンコインほどの軽い文庫一冊を開くだけで自宅にいながら大学の池上講義を横掴みできるからだけではなく、僕自身大学に行けなかったコンプレックスからかもなぁ。


さて。そんな学生とのやりとりのところを読んで、思ったことを、ちょっとだけ以下に。


「銀行の銀行」と呼ばれる日銀、私たちは日銀に預金することはできないが、日銀の窓口に行ってできることがある、それはなにかわかる人は? そう問われ、ある学生「交通違反の反則金を払う」と正答。すると教授「よく知っているね。やったことあるの? そうじゃないのか」なんてことをいう。池上彰、案外毒を吐くぞ(笑)。


ある高給の人の親族が生活保護を受給していたことがマスコミに取り上げられて話題になったことについて、どう思うか問われる学生たち。学生たちはそれぞれ、自分の思うことを述べる。僕はこう思う、国の財源は限られているとかいうけど、これだけ国民から税金たらふく取っておいて、国め、ふざけたこというな、月に数万円ほどの生活保護費なんて国からしたらぜんぜんたいした額じゃないだろーが、と。

まあ、財源足りないとかいうんならさ、まずはいろんなダメダメな使い方こそを見直そうね。


★ この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう 池上教授の東工大講義 世界篇・池上彰・文藝春秋・2012年11月刊行。文春文庫・2015年3月10日発行。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?