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ジョゼフ・メリ 「1月1日」

1月1日
ジョゼフ・メリ

L. G*** へ

目覚めよ、澄みきった日よ、一年の暁よ
目覚めよ、光の王冠に輝く青空を連れて。
冬が、お前の黄金の光で、温まるように。
この片隅の地を東方へ連れていってくれ。
美しく晴れた日よ、夕べにも澄んだ暁を
黄金色の小麦の夏のとりいれ日のように。

新しい年が光の中から浮んでくる。天で
いつもあなたのことを思い、慈しむ神も
森に命を吹き込んだ。川にも、山々にも。
ごらん、優しい太陽が灰色の雲を貫いて
その火で照らしている。夕べに私たちを
いつもの場所へと導いてくれるあの道を。

この最初の暁に空が燦然と輝き、明りを
広げてほしいと思うのは、あなたのため。
夜明けにあなたを起しに、東方の日々の
晴れた愉快な気分がやってきて、枕元で、
霧も暗い雲もなく、新しい年の母となり、
あなたの目覚めに魔法をかけられるよう。

そう、あなたのために、この美しい日は
めでたい。そして一年中が今日と同じく
絹と金、空の青さと蜜で作られるだろう。
あなたにそう予言する者を信じてほしい。
あなたの美しい顔に照る光、この最初の
訪問者は天より贈られた接吻なのだから。

そして今、あなたに贈りたいと思うのは…
魅惑する美と、それに花を添える優美さ?
それは昨日もあったし明日もあるだろう。
私の望みは違うもの。神が天使を遣わし、
あなたの額に空の青を、心に平和を与え、
石の道を、花の絨毯に変えてくれること。
Joseph Méry, Mélodie poétiques (1855)より。友利修訳

何かお正月らしい詩はないかと探したら、見つかったのが Joseph Méryという詩人の Premier Janvier、その名も『1月1日』という題の詩。(2012年にFBに一度投稿したものを改訂)。

正月気分の中で訳してみた。女性に贈った愛の詩のようだが、訳は、男女含めて、新年のご挨拶がわりに皆様へ。読んだくださった方が、めでたい気分になっていただけたらうれしい。

皆様、明けましておめでとうございます。



ジョゼフ・メリ(1797-1866)は、マルセイユ生まれの小説家、詩人、劇作家。音楽の分野で今たぶんいちばん知られているのは、ヴェルディの《ドン・カルロ》の台本作家として。

Premier Janvier を収めるのは、Mélodies poétiques と題する1853年刊の詩集。


詩集は1866年に増補されてPoésies intimes — mélodies として再刊された。2つの版のどちらもGallica にも収められておらず、Google booksにしかない。

Mélodies というからには、歌曲が念頭におかれていると思うが、歌曲が積極的に作られた形跡はなく、序文を読んでもわからない。

Lieder.net で調べたら、改訂版からも含め12曲が付曲されているが、それほど有名な曲はないと思う。その中でたぶん最も人気のあったのは、「L'Émir de Bengador ベンガドールの王様」(Liedr.netによると、作曲者としてVictoria Arago, P. de Crisenoy, Auguste de Croisilles, César Franck, Victor Massé, Ferdinand Poise Perillier, Jean-Baptiste Théodore Weckerlin, Charles Marie Jean Albert Widorの名があがる。探せばもっとありそうだ)。

詩集の表紙のEros (ἔρος) はいったい何だろう?

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