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承認力を得た二次創作というモノ

↑のnoteを読んで、「そういやこんなアニメやってたなあ、放映当時は家ではゲーム優先しててアニメはほとんど観なくなってたし、面白くなるかどうかわからないオリジナルアニメに割く時間無かったけど今になって観てみるか…。」という気にさせられたので2週間程度かけて全22話を視聴した。

結果としてはとても面白かった。プライム・ビデオの星の数だと3.5/5という評価なのだが自身の評価なら4.5はかたい。放映当時の視聴者は約半年かけてゆっくり話を追ったのに対して、一気見したことも評価の差に起因しているのかもしれない。颯太のように諦めて立ち止まってしまったクリエイターに、再び(Re:)クリエイターを目指してもいいんじゃないか、と勇気づけてくれるアニメだったのだと思う。


ここから本題。
物語の敵として最後まで君臨したアルタイルは、もとより作中のとあるゲームキャラクターの設定を、ファンの一人が勝手に付け加えた二次創作であるが故に、それが広まることで承認力が高まり本来の創造主以外が考えた設定までをも取り込んでいった。そして表舞台にこそ出てこないものの、元のキャラクターとは全く別のキャラクターとしてネット上で存在を確立した。実際このようなキャラクターはいるものだろうか?と考え自身の記憶を探り出てきたのが天海春香から生まれた春閣下だ。


恐れよ。平伏せよ。そしてひざまつけ、愚民!


天海春香はゲーム「アイドルマスター」のヒロインだ。彼女はこのタイトルの顔であるがゆえ、強烈な個性などは持っていない。お菓子作りが得意で歌うことが好きという、悪く言ってしまえば地味とも言えるキャラクターだった。10年ほど前、アイマスはニコニコ動画で人気があり多数の動画が投稿されていた。そのうちニコ動ユーザーの一部によって、純粋なアイドルであった春香に"自分のファンを愚民と呼び女王のように振る舞う"という強烈なキャラ付けをした春閣下というモノが生み出された。春閣下にはアルタイルのように明確な創造主こそ存在しないが、その存在は本来の春香ファンとの対立などの要因もあり、じわじわと拡散していった。彼女もアルタイルほどではないが、ファンにより生み出され大きな承認力を得ていったキャラクターなのだ。その承認力は「2011年放送のテレビアニメ版アイドルマスターで、天海春香がハルシュタイン閣下という劇中劇キャラクターを演じた」という事実が物語っている。上記イラストも2017年に描かれたものだ。

春閣下は天海春香とは別のモノとして確立した…しかし彼女は今後どうなるのだろう?あくまで春香の別側面的なものとして扱われ、春香が忘れられると同時に忘れられてしまうのか、それとも残るのか…。彼女にとってのシマザキセツナは存在しないが、明確な創造主の存在しない彼女にも救いの手が差し伸べられることを願うばかりだ。

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