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キルト へそくりパターン

へそくり、してますか?(いきなり(笑))
少額の現金を見つかりにくい場所に保管するイメージがありますが
キャッシュレス時代、へそくり文化はどうなっていくんでしょう?

そもそもへそくりは
「家計とは別に自分のために内緒で貯蓄するお金」です。

家族に気兼ねなく自分の趣味や娯楽のために自由にできるお金。
家事・育児・仕事・介護の合間の自分時間をさらに充実できる
自分がご機嫌でいられるための軍資金。

どの時代の女性たちも大いに共感できるへそくり努力をしてきたのだと最近製作したキルトのパターンから学びました。


リバティタナローン無地とリバティチェックで製作。「砂糖壺」のパターン

パターン名は「砂糖壺」。
壺なので食卓の傍らにあるシュガーポットとは違い、お料理用にキッチンで使用した砂糖用の壺をデザインしたものです。

キッチンにある=主婦しか目が行き届かない
欧米で女性たちがコインを砂糖壺に入れて隠し、貯めていたことから
「へそくり」の意味もあるそうです。

Quilt Diary 特別号「キルトパターン ストーリーブック350」
編集:発行:合同会社キルトプラン


アメリカでは1800年代には女性の地位が低く、既婚女性はまるで夫の所有物のようでした。嫁いだ後、持ち物はすべて夫のものとなり、常に管理さえてきました。もちろん未婚女性も同様です。(父親の所有物)

Quilt Diary(キルトダイアリー)03  2021 winter
「T」のキルトと「ドランカーズ・パス」 Judy Griggs
編集・発行:合同会社キルトプラン

何を買うのも、どこに行くにも夫(父親)の許可が必要だなんて、
考えただけで息が詰まる! だからこそQuilting  Bee(キルティング・ビー)や教会の集まりなどは公然と外出できる数少ない機会だったのでしょう。

Quilting  Bee(キルティング・ビー)とは村の女性達が集まって、ひとつの
ベッドカバーのキルティング作業を一緒にする集まりです。
世間話をしたり、時には夫や子どもの愚痴や相談話でまるでハチの巣のような賑やかさからBeeと呼ばれたそうです。
完成したキルトは教会のバザーで販売されたり、村で結婚する夫婦へのプレゼントだったり。趣味や楽しみで集まるのではなく、社会貢献の大義名分があったので集まりやすかったのでしょう。

そんな不自由な管理された中でもコツコツへそくり…。
砂糖壺だけでなく、裁縫箱に隠したり本人しか読まない本に挟んだり、
きっと涙ぐましい努力をしたんだろうなぁ。


自分が自分らしくあるために自由にできる時間といくばくかのお金は本当に大切です。

どんなに制限されても創意工夫してきた先人たちに敬意を。
そして女性に教育は必要ない等々の凝り固まった価値観を少しずつ壊してきてくれた先人たちに感謝を。

参政権を持ち、自由に仕事を選ぶことができ、どこでどんな風に暮らすことも許される現代。自由がゆえの迷いや悩みはあるにせよ、180度真逆の価値観が長く続いてきたことを知った上で現代の権利や自由を享受すべきだなぁと砂糖壺のパターンを縫いながら思いました。


ちなみに…
パッチワークキルトのパターンには公然と社会に意見できなかった女性たちの意思表示の手段となったものも少なくありません。
同じ屋根の下で暮らしながら、女性達は心の奥底にある強い思いを針と糸で表現しようとしていた訳です。正に「知らぬは亭主ばかりなり」。

キルトって作る楽しさや達成感、使う喜びはもちろん、こういった時代背景があるからこそ面白い!奥深い!!
時代が変わっても針と糸で先代の女性達と繋がっている、彼女たちが応援してくれているような気持ちになります。
(作品と向き合う作業は孤独だけど、ひとりじゃな~いさ~的な感じ)


ちなみに、ちなみに…
砂糖壺のパターンでティーポット用カバー ティーコゼーを製作中。

製作中のティーコゼー。ポットが冷めにくくなるよう素材はコットンフランネルを使用。


へそくりなどのささやかな秘密をこっそり共有するようなウフフな
ティータイムを愉しめるかしら。
温かい紅茶をゆっくりいただく秋が待ち遠しいです。


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へそくりをしているのは 男性 43%  女性 50.4%
平均金額は 男性 123万  女性 183万 
だそうです。「!!」と思うか、「ふ~ん」と思うか、さて…? 

スパークス・アセット・マネジメント㈱ 2021年 ネットリサーチ結果