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❁黒いダリアへのエチュード【#VRC_BlackDahlia2_0】

Sound fills the world.…


こんばんは、いつかどこかでお会いしましたか?
いえいえ、お忘れ下さい。冗談です。

あなたがVRChatに長く住まう方でしたら、一度や二度、耳にしたこともおありかとも思いますが、かつてVRCには「Dahlia」と、まことしやかに呼ばれる、不特定多数が関わる不可思議なワールド群がありました。

そしてある時、その総勢数十近いワールドたちは、忽然とVRCの世界から消え去っていきました、墓標にも似た或るワールドを一つ残して。

謎の全てが解き明かされない内に、その存在をロストしたことで、多くのVRC内のファンが悲嘆にくれました。
私もその内の一人でした。

昏く、危険で、冷たく、無機質で、しかし眩いほど美しい。
その世界に魅了された私は、残された言葉の通り、世界の片隅で、世界の帰還を待ち続けました。

ある時は同胞の嘆きをたどりながら、

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The Investigation By ̟̟̟̟

またある時は、その残り香を他の世界に探しながら。

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https://twitter.com/1d3nt1ty

どれほどの時間が経ったでしょう。それはもう忘れ去られ、もう、戻ってこないのかも、と諦めかけた、その時。

VRCの世界に、ひとつのワールドが静かにやってきました。

その内部は、あなたご自身の目で確かめてほしいのですが、過去の実態の否定と、新たな課題の幕開けを示唆するものでした。

昏く美しい、あのDahliaの世界が、今再び、ここに幕を開いたのです。

現時点で、少しずつですが、かつてのDahliaを愛した人々がその胎動に気付き始めています。

しかし、その中には、この再演の様子に戸惑いを覚えた方も少なからず居たのではないでしょうか?

いままでのいい意味で「突き放された」ようなDahliaワールドから、道筋を引かれ、物語の様に仕立て上げられた様相の今回のワールド構造の変化が、その原因のひとつかとも思います。

この事について、仮説ではありますが、この場を借りて少しお話させていただきたいと思います。

今回幕が開いたのは、「BlackDahlia2.0」という世界です。
基本的に、これより以前にあったVRC内のDahliaワールド(いわば1.0)と、世界は分断されています。

それは先の「大量ワールドロスト」そのものも、そのための演出だったのかもしれないと今は思っていますが、この2.0を匂わせる演出が、1.0の世界線にも実はあったことを知る人物は少数だと思います。

前置きが長くなりましたが、私自身が1.0の世界線の探求者、いえあの世界を愛したものとして、その事実を伝えておこうと思い。この文章を打っている次第です。

ただこれから記載することも、2.0の世界線で再浮上することは大いにあり得ますので、その際この投稿が世界を色褪せさせる事につながることがあれば、その時はこの文章自体をまた闇に隠させていただきます。

Dahlia1.0にて、カギとなりえた世界への言及

・「重工」(2022年6月現在は消失しています)

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柱には大きく「天竺牡丹」、壁には「UNIT-2025」と書かれています

Dahliaを追う者たちの前に現れるエージェントによって連れていかれる、Dahliaの最終階層と目されるワールド。

少ない情報からは、現場が相当不穏な場所だという事が伺えます。

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ひと際目につくのは、中央に設置された記録ボードです。

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謎を解けば、解除キーによってゲートが開きます。

謎の人物「Hydran」の指示に従い、最初の区画を抜けると、そこが巨大な施設内のどこかだという事に気が付きます。

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ここでわかるのは、Dahliaというものが巨大な組織で、内部で何か事件が起こっており、我々外来者がそれを動かすカギになっているという事です。

内部構造を見ていただければ気付くと思いますが、2.0に連なる「Farewell」や「Another Version of the Truth」の内部構造、表示物と「重工」のそれが酷似しているという事がわかります。

・Dahlia Bar(2022年6月現在は消失しています)

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こちらは比較的有名なDJイベントでも使用されてきたワールドで、それとは知らずご存じだった方も多いかと思いますが、問題は、バーカウンター裏の番号錠と、VIPルームとは別に設置された最後の部屋への花紋錠の二つです。

長く多くのDhalia探究者を悩ませてきたこの謎は、以外な場所で突破口が判明します。それは他のDahliaワールドのひとつ「Brutalist Office」でした。

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このワールドにも番号錠があり、この解除キーとDahliaBarの番号錠は同じものでした。

さて、DahliaBarに戻って、その番号錠の解読により内部に入ると、そこはそれまでのDahliaワールドの集大成めいた様相でした。(写真は見やすいように画像加工してあります)

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番号錠の先に位置する部屋


どこかで出会った物品や、光景が、そこかしこに見受けられました。

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濁ったハート、散乱した書類、見覚えのあるダンボール、そして…


しかし、一番注目するべきものは、デスクの左下隅に置かれた「テープレコーダー」です。

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雰囲気の違う暗い部屋に、レコーダー。どこかを思い出します

レコーダーを再生すると、とある一文が流されます。これを解くことが、花紋錠解錠への手掛かりとなりました。

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解いた扉の先には、それまでの内装と打って変わって、無機質で人を拒む圧迫感がありした。やはり先ほど紹介しました、「重工」によく似た構造で、そこの部屋だけが異質な空気感をまとっています。

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浮かんだ地球にはプレイヤーの接続場所が浮かび上がっています。

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壁には、これまで他のDahliaワールドで観測された花の意匠を含め、おそらくDahliaに関わる全ての花たちの意匠がありました。そのひとつひとつにケーブルがつながっています。

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中央の壁には、「重工」や「Another Version of the Truth」でも使われている物と同じ記録ボードが佇んでいます。左のボタンのみが、この部屋で唯一反応するものです。

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ボタンを押すと一斉に各花からDahliaのシンボルへ光が灯ります。各花がDahliaに収束されているのか、Dahliaから何かを分け与えられているのかはわかりませんが、何かが起動してしまったことがわかります。

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これは完全な推測妄想ですが、この通電のような行為が、眠っていた「過去」を再起動するトリガーとなっていたり、また逆に各個の世界のエントロピー的な要素をDahliaの何か一つの巨大な機構に流し込むトリガーになっていたのかもしれません。



・Farewell

「Another Version of the Truth」においてその意義が否定されたこの「Farewell」ワールドですが、あえてその「否定」があることで、ワールドに記載された内容が、一連のDahliaを巡る巨大な物語の一端となったのか、それともメタ構造上位のむき出しの発言なのか、更にそのメタ構造すら更に上位構造のメタ・メタフィクションに観測者である私たちが巻き込まれたのかがわからなくなる、非常に厄介なワールドの表情に変化しました。

私自身はいちファンとして、あらゆる多重メタ構造にも、その身をゆだね、踊り続けたいと心に決めています。


・BlackDahlia2.0

・Another Version of the Truth

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さて、現在の世界線に戻り、先の過去のワールド二つを念頭におき、このたび現出した2.0のワールドを読み解くと、判る事がいくつかあるようです。

①「Another Version of the Truth」はDahlia最深部のunitの中にある。

内部構造や、その装飾を見ても、そこがかつての最深部内に作られていることは明白で、最もそれが判りやすいのが壁にあるUnit識別番号です。
「Another Version of the Truth」のUnit識別は「4370」、「重工」は「2025」。故に次に浮上するのは、リビルドされた「重工」の可能性が高いと思われます(2022年6月現在)

②花の意匠には対応するエージェントがいる

これは推測ですが、ワールド内の記録ボードをよく読み解くと、あれは来訪者へのインフォメーションではなく、エージェント同士がメールのやり取りをボード上で行っており。その際の個人の識別にこの花の意匠たちが使われているという事がわかります。

「紫陽花」、「hydrangea」(ハイドレンジア)、対応エージェントは「Hydran」
Dahliaの組織の内部から、何らかの事情でイレギュラーな存在へとなった彼の存在が、今回の2.0の世界の重要な要素となりそうです。
「茉莉花」、「Jasmine」(ジャスミン)、対応エージェントは「Jasmine」?
「Another Version of the Truth」内においてキューブを通し、外来者である私たちに要求を述べてくる存在です。「Hydran」と伴に、2.0の世界を蠕動させる重要人物となりそうです。

「白詰草」、「QUAFOLIUM REPENS」(クアディフォリウムリーペンス)、
対応エージェントは「不明」
「Another Version of the Truth」において、この人物のプランが有効だと指摘されていた。
「月之薔薇」、「WaxRose」(ワックスローズ)、対応エージェントは「不明」
「駒草」、「Dicentra」(ディセントラ)、対応エージェントは「不明」
「Another Version of the Truth」や「重工」の記録ボードに登場している。


③HYDRAN(ハイドラン)とJASMINE(ジャスミン)が対立している

Dahlia内の分裂か、それともイレギュラーな個人の暴走かはまだ判別がつきませんが、おそらく今後の展開いかんによって、私たちは上記の二人のどちらの立場に立って世界を見ていくかが求められてくると推測されます。それが単純な善悪によるものなのか、それとも価値観のグラデーション的選択を迫られるのかは、現時点ではわかりません。


④過去に戻る必要がある

「過去」が何を指すのかが漠然としていますが、おそらく過去のDahliaワールドがリメイクもしくはリブートされて浮上するのではないかと推測します。何故なら、過去へ戻れと言う「JASMINE」当人にとっては、1.0の世界が「HYDRAN」によって不当に消去された。という側面の事実があり、「過去」へ戻り、消失したかつてのDahliaワールドで、手掛かりを探し、「HYDRAN」自身を止めろ、というのが妥当な道筋だからです。


・2.0、更にその先へ

最後になりますが、過去のDahlia1.0の時に追う事が出来ず、悔しい思いをした方にも、ぜひ今回の2.0をよろしければ一緒に追っていただきたい、と思っています。

実は、こんな事を言うと、よりディープなファンに刺されかねませんが、私はこの一連の「Dahliaの世界」は、VRChat内の初心者にもおススメできる、良コンテンツだと、現在までの体感でつかんでいるからです。

もちろん、暴力表現や、ある程度のホラー要素、メモリークラッシュといった、アンダーグラウンド・イリーガル的な要素も内部にはあり、万人におススメとはいきません。

しかし、その世界の緻密さや、何より美しさ、それに加えて大事なことですが、高度な数学の知識や、物理学、教養としての世界史、聖書解釈、ハッキングと情報解析、等々の様な「シケイダ3301」ばりの立ち回りを求められることがほとんど無い、というのも推したいところです。

来訪者は、その危険な香りや、不穏な空気感を、よりセーフティが確保されるVR空間で、「おいしいところだけ」を十全に味わうことが出来るのです。
これが私が、Dahliaワールドを多くの方に推す大きな理由でもあります。

そして、VRC内の世界は、案外一期一会だということは、もちろん作者の都合もありますが、システムのアップデートやアップグレード等々で、何度も過去の世界が壊れていった場面を目撃していた皆さまであれば、想像に容易い事かと思います。

どうぞこの機会に、この昏く、美しい、VR世界の深淵を、ご一緒に探求してみませんか?

それではあちら側で、ご縁あれば、またお逢いいたしましょう。




世界はいつだって、美しく、不思議で、そして愛おしい。

By Quieter(くわいえった)


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