きみになりたい

ミァハ、マーニー、槙島。
私の憧れの存在は一貫して孤高で得体の知れない雰囲気をまとっている。
彼らになりたいと願ったその時点でその願いが叶わないのが約束されている。
その時点で"彼ら"を希求したトァン、杏奈、咬噛、つまり"彼らになれなかった彼ら"でしかないから。
でも1人だけ等身大の「なりたい」がある。
ジョン・ワトソン、君だ。
私は、ワトソン、君に初めて出会った時から君になりたくて仕方がなかった。愛する友を取り戻すために全てを捧げる君に。
私にも、生き返らせて言葉の先を聞きたかった人が何人かいる。その技術を禁忌の技術を求めて奔走する君が羨ましかった。
私がワトソンに憧れる理由はフライデーには敵わないと最初からフライデーの尊敬や思慕で埋め尽くされていたからだろうか。
凡人に、人間に1番近い才能にも似た苦悩を見せてくれたからだろうか。
トァン、咬噛はあまりにも人間離れした希求しだったから、私の「なりたい」が叶うことのない憧れにスライドしたのかもしれない。

「ワトソンは、生きたい気持ちと、死んだ人と一緒に死者の世界へ行きたい気持ちの間で揺れている。」

フライデーに首を絞められても抵抗しなかったのはこの気持ち故、フライデーになら殺されても良いと本気で思っていたから?
私はあなたに「なりたい」というか重ねていたんだね。

「ただもう一度君に会いたかった。聞かせて欲しかった。君の言葉の続きを。なぜ置いていった、なぜ帰ってこない」

大切な人を永遠に失った全ての人の叫びを代弁してくれたあなたに。

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