少しでも多くのいいことをするために

ピーター・シンガー氏の「あなたが世界のためにできるたったひとつのこと」を読みました。
効果的な利他主義のすすめとサブタイトルがついているように、自分にできるたくさんのいいことを行っていくためにどうしたら良いかについて書かれています。
私は、聖人君子とはかけ離れていて、いやしいことも考えたり、つまらぬ欲もあったりする
のですが、それでも世の中から争いや貧困がなくなったりすると良いなと思ったりします。
その一方で、自分の仕事が、紛争解決や貧困の解消などに繋がっているとは思えず、多少は人の役に立っているのかもしれませんが、社会課題の解決からは程遠いと思ったりもしています。
ときどきですが、そんなふうに自分の仕事や職業観でモヤモヤするのですが、この本を読み、少し目の前が明るくなりました。
自分のスキルが最も活かせるところで活躍し、稼いだものを還元していくのも1つの効果的な利他主義ではないかと書かれていたからです。
今の自分の仕事が天職と呼べるほど、しっくりきているかというとそんなことは全然ないのですが、少なくとも自分の持ち味のいくつかは発揮できている点では、まずまずなのではないかと思います。
また、自分が働いているところでは業績に連動した報酬も多少あったりするのですが、短期的な業績に一直線に向かっていくことに、今ひとつ意義が見出せなかったのですが、目の前のことを頑張って稼ぐことが、世の中をよくしていくことに繋がっていくと思えるともっと前向きになれるのではないかと感じました。
スキルが活かせるところに身を置くことの大切さとともに、チャリティやNPOを評価するモノサシがあることも書かれていました。実際の評価方法はこれからいろんなサイトを見ながら確認しないといけないですが、客観的な評価があるのは良いですね。
街中で募金活動をしている人たちを見かけても、本当にこの人たちに寄付することが良いことなのか、とか、誰かの懐に入ってしまうのではないかと疑わしく感じることもあったので、安心できます。
さらに質素な生活を推奨しながらも、自分のことにもお金を使うことを全否定していないことも、救われた感じがします。過度な贅沢や無駄な消費はとがめながらも、自分の楽しみは得ながらも、適度な寄付ができることも示唆していました。そういう暮らしならできそうです。
以前、「世界は贈与でできている」を読んだときも、自然にそういう暮らしができると良いなと思っていたのですが、この本が具体的な考え方を示してくれた気がします。いきなり大それたことはできないですが、自分なりの利他主義の実行に向けて少しずつ動き出すことができればと思いました。

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