非公式のリーダーが企業文化を育んでいく

ジョン・カッツェンバック氏の「最高の企業文化を育む少数の法則」という本を読みました。昨日紹介した「社外取締役の兵法」の中に、カッツェンバック氏の文献を参考資料としているところがあり、気になったので一冊入手して読んでみました。
企業が変革していくうえでも成長していくうえでも企業文化を理解することは非常に大切だと感じています。文化の理解なしに変革しようと思うと、空回りしてしまうこともある気がしています。逆に企業文化を理解したうえで、施策を打つことができたら、末端まで浸透しやすく、変革のスピードも速くなると思います。
しかし、企業文化というのは何とか、文化そのものを変えるためにはどうしたら良いかというとなかなか答えにくい感じがします。
この書籍の元々のタイトルは「クリティカル フュー」となっていて、その構成要素は、「感情に訴えかける形質」、「重要な行動」、「真の非公式リーダー」からなると書かれていました。
形質というのは、社員が共有する仕事上の前提ということです。石橋を叩いて渡る慎重さとか、完璧主義で1つひとつのことにこだわるとか、部下・後輩の面倒見が良いなどのことを指し示しています。
主義とかスタイルと言っても良いのかもしれませんね。
確かに組織で仕事をするときに、この前提を理解していないと、噛み合わないことがありますね。じっくり考えていたら「ラフで良いから早く出してほしかった」などと言われたり、逆に、とりあえずちゃちゃっとやったら「雑だ」と怒られてしまったりなど、お互いストレスを感じてしまいます。
根底の価値観とまでいうと、言い過ぎだと思いますが、仕事を進めるうえでの考え方であれば、それは話し合いを繰り返していけば、きちんと定義ができると感じました。
重要な行動は、行動指針とか、最近だとクレドと言ったりしているものが相当すると思います。やったかやっていないかがわかるような記載になっているもので、「率直に話し合え」
とか「一旦決まったら、反対した人も含めて皆でやっていこう」というようなものです。
普遍的ではなく、都度変わっていくのかもしれませんが、これも定義できると思います。
この本を読んで一番、感銘を受け、共感したのが、真の非公式のリーダーの存在です。その非公式のリーダーが企業文化を育むというのはまさにそうだと感じました。非公式のリーダーについては、だいぶ前の書籍ですが、林理先生の「しきりの心理学 公式のリーダーと非公式のリーダー」でも指摘されていて、非公式のリーダーが仕切ることによって、組織の秩序が保たれることが少なくないことが言われていました。
先が見えない不透明な時代、突発的に予期せぬことが起こる時代、管理職や経営者が全てのことを把握して、的確な指示を出していくことは難しいと思います。非公式のリーダーがその場その場でうまく動くことが、良い結果に繋がり、それが新たな企業文化の形成にも繋がっていくのだと思います。
このような非公式のリーダーは、とても日本的なものだと感じましたが、アメリカのコンサルタントがその価値を認めているのは意外でしたが、嬉しく思いました。
今回のような、不測の事態を乗り切るのも、その後の新しい未来を生き残るのも戦略やシステムだけでなく、企業文化が非常に重要になってくると思います。その文化をどう作って、どう育てていくかの1つの指針が書かれていて参考になる一冊でした。

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