フルマラソン完走記②~「誘惑にまみれる」編~
”眠ったように”走っていたはずの私が,4時間ペーサーに追いつかれるというまさかの展開に!
その後の私はどうなったのか。
今回は番組再開という噂のN〇K「プロジェクトX」風にお伝えします!
眠りから目覚める
(ナレーション)
それは12キロを過ぎた頃だった。
突然,大きな集団に飲み込まれた。
4時間ペーサー(サブ4集団)だった。
はろるどは,思った。
「少し,付いてみようか」
しかし,キロ5分30秒は,今日の自分には速すぎるペース。
急にペースを上げれば,怪我が再発してリタイアになる恐れだってある。
「やっぱり,やめよう。今回はこのまま,6分ペースを刻んでいくんだ」
すると,風船は50メートル,100メートルと,遠のいていく。
ああ,サブ4はやはり,自分には届かない目標なのだと思った。
その時だった。
「それでいいのか」
突然,自分の内なる声が聞こえてきた。
確かに,今回は眠ったように走ることを目標にしてきた。
しかし,4時間のペーサーに付くことは滅多に来ないチャンスだ。
サブ4がいつまでもできない原因は,こうしていつも先の心配ばかりして,挑戦する前に諦めてしまう自分の弱さにあるのではないのか。
はろるどは,決意する。
「よし,やってみよう!付けるところまで,ペーサーに付いてみよう」
はろるどは,風船をめがけてペースを上げていった。
14キロ地点までには,ペーサーに追いつくことができた。
ハーフ地点では,ペーサーと並んで2時間3分台で通過した。
まだまだいける気がした。
"プロジェクトX"(ささやくように)
ご本人登場(妄想インタビュー)
(スタジオ)
司会者:「今日は,はろるどさんにスタジオにお越しいただきました」
はろるど:「よろしくお願いします」
司会者:「はろるどさんは,どんな思いで4時間ペーサーについていったんですか」
はろるど:「練習不足だったので,長くは付けないことはわかっていました。どこまで行けるかわからないが,ペーサーの胸を借りて走ってみよう。それに,ペーサーについているのはプロの選手みたいで何だかかっこいい,と思っていました」
司会者:「何か勝算はあったのですか」
はろるど:「直前は怪我の治療のため長距離練習ができていませんでした。しかし,ハーフマラソンではキロ平均5分20秒で走れているんです。30キロくらいまで付いていければ,自己ベストも夢ではないと思っていました」
司会者:「それでは,そんなはろるどさんが,その後どうなったのか。続きをご覧下さい」
遠ざかる風船
(ナレーション)
それは,23キロを通過した頃だった。
これまで順調だった足が,突然重たくなった。
はろるどは,焦った。
「そんなはずはない。自分は練習を積んできた」
今シーズンは,真夏も早朝に起きて練習に打ち込んできた。
11月には,ハーフマラソンで自己ベストも更新した。
こんなところで負けてなるものか。
しかし,そんな焦りとは裏腹に,ペースは徐々に落ちていく。
24キロを通過した頃には,ペーサーの50m後方を走っていた。
そして25キロを通過すると,ペーサーの風船はついに見えなくなった。
はろるどのサブ4チャレンジは,あっけなく終わった。
"プロジェクトX"(ささやくように)
(次回へ続く。明日更新)
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