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新型コロナ感染・発症日記

新型コロナウイルスに初めて感染、発症した人間の自分用忘備録。医学的な知見を何も持たないずぶの素人の日記なので、実際に罹患したときのもろもろについてはきちんとお医者さんの指示を仰いでください。


-1日目 連絡

 前日にマスクを外した状態で遊んだ友人から連絡があり、
「夜中に発熱した」「喉がめちゃくちゃ痛い」「病院で検査をしたところ新型コロナの陽性反応が出た」とのこと。
 コロナ感染は落雷や突風などの災害のようなもので、当たってしまうか回避できるかは(消毒や手洗いうがい、マスク装着などである程度対策はできるとしても)運次第……という話を医療従事者の知人から聞いており、私もまったく同意見である。この友人のことは恨んでいない。むしろかなり早い段階で連絡をくれたことで、自主隔離が捗ったので助かっている。

 連絡が来たところで以降の予定をすべてキャンセルし、家族ともできるだけ距離を保ち、やむを得ない場合はマスク越しに会話するようにした。同居している両親はともに元気だがもう若くない(うち一人は基礎疾患持ち、一度感染済みなのでもう一度かかったらどうなるか分からない)ので移せない。
「そんなに心配しなくても大丈夫じゃない?」と二人そろって言っていたが、結果的にこれでよかった。

0日目 喉の違和感

 もともと慢性化した副鼻腔炎持ちなので、喉の痛みや声がれは日常的なことだったのだが、どうも違う何かにやられたような感じがしていた。
 喉の奥が痒い。アレルギーの症状に似ているが、現在自宅周辺にアレルギーを引き起こす草花の類はない。痛痒い感じをごまかしながら喋っているうちにどんどん声がかすれてくる。引き続き警戒し、家族とは距離を取っていた。

1日目 発熱

 この日を逃げ切れば発症しなくて済むのでは……と思っていたその日に発熱した。最初は37℃くらい、微熱にもカウントできないような微熱だったが、その後全身が熱いのに寒い、という矛盾した状態になり、布団に籠って震えていたらあっという間に38.4℃まで熱が上がった。悪寒、関節痛、頭痛もあり、以前処方されて余っていたカロナールを服薬して寝る。起きると、体の痛みは引いていたが、熱は下がらないままだった。翌日の発熱外来行きを決めて早々に寝た。

2日目 のどの痛み、発熱外来

 この頃から喉にかなりひどい痛みが走るようになった。グロテスクな例えで難なのだが、鉄条網が喉の奥にわだかまっているようで、唾を飲み込むだけでびりびりちくちくと痛む。声を出して喋ることがほぼできない。熱は変わらず38℃台。倦怠感もひどかったが何とか起き上がり、自宅近くの病院の発熱外来を受診した。
 5類に分類されたからか、新型コロナの流行初期に家族が感染した際に経験した隔離などもなく、普通に受付され、待合の風邪症状の患者がまとめて座らされているエリアに誘導され、普通にその辺の小部屋で検査を受け、普通に診察室に招き入れられ、医療用のいかついマスクをした先生に
「コロナ陽性、確定ですねぇ」
と、淡々と告げられた。ですよね~という気持ちになった。
 病院に行くだけでいっぱいいっぱいだったので、帰ってから家族に処方薬の回収を頼み、あとは薬を飲んでひたすら寝た。熱は下がったかと思えばまた上がるを繰り返していた。
 この頃ありがたかったのがバニラアイスとプリン。油分と水分を同時に摂取しつつ冷やせたからか、喉の痛みがすこしマシになった。

3日目 発熱、嗅覚障害、鼻水、空咳

 起き抜けは平熱だったが、食事を摂ると一気に38.4℃まで跳ね上がった。おそらく自分の熱が上がりきるのはここまでだろうと分かったため、カロナールを使用。解熱作用はいまいちだが、のどの痛みがマシになるだけでありがたかった。
 この頃から鼻水、鼻づまりと空咳にも悩まされるようになる。寝た姿勢になると鼻が詰まって息苦しくて口呼吸になり、口呼吸になると喉が渇いて咳が止まらなくなるというまあまあ辛い連鎖反応が起きた。座っているとややマシになるので、ベッドの上で座ったままぼうっとし、眠気が来た瞬間横に倒れ、鼻が詰まり始める前に寝逃げするしかなかった。

4日目 微熱、続く嗅覚障害、口渇

 熱は6℃台後半~7℃台前半を往ったり来たりする感じ。一山超えた感覚があったが、咳、鼻水、鼻詰まりは相変わらずだった。
 食事を受け取った時、手元の湯気が立つお椀から何の匂いもしないことに気づいた。手持ちの香水を鼻に近付けて嗅いでみても同じ。嗅覚が機能していない。大体2週間程度で治るらしいと聞いているが不安だ。ものを美味しく食べるために嗅覚がどれだけ仕事をしていたか、失って初めて分かった。匂いがしないと、食べ物の中の塩と砂糖の味しか分からなくなる。
 口の中の乾燥にも悩まされた。鼻づまりで口呼吸になっているからというのを差し引いても口の中が乾きすぎている。唾液が出ない。唾液腺のマッサージをするとよいと書いてあるのを見て、ひたすら顎のあたりを揉んでいた。
だ液腺マッサージ | はじめよう!やってみよう! 口腔ケア

5日目 小康状態

 隔離が解ける日数の直前になって、ようやく体温が平熱で安定するようになった。のどの痛みがなくなり、掠れているが地声に近い声で喋ることもできる。咳はほぼ出なくなった。寝て起きるたびに体が軽くなっていくので、回復の途上にあるのは分かる。ただ、鼻水や痰はひっきりなしに出てくるし、嗅覚は鼻づまりが治ったにもかかわらず失われたままになっていた。 

結論:当たり前だけどかからないに越したことはない/感染対策の精神的な難しさ

 新型コロナウイルスは2020年のパンデミック初めごろに比べて症状が軽くなったと言われており、感染症としての警戒度も引き下げられた。が、かかれば普通にめちゃくちゃしんどいし、引き当てた症状によっては感染前の生活に戻ることが困難になる可能性もある。それに、独り暮らしでなければ療養に集中するだけでなく他の家族に感染させないようにするために恐ろしく気を使うことになる。巷では色々言われているようだが、マスクの着用、手洗いうがい、商業施設に出入りする際の手の消毒などできることはしておいて損はないなと感じた。
 ただ、今回は友人と狭い空間でノーマスクで喋っていたことによる感染で、対処の難しさを感じている。難しさというのは物理的というより精神的なものだ。親しい相手がマスクをしていない時にこちらだけがマスク着用でいることで、自分が相手に対して何か否定的なメタ・メッセージを送っている気になってしまうらしいと分かり、自分でも驚いている。感染症対策としての最適解はマスクをする一択だと分かってはいるのだが……。少しでも体調に変化があれば相手に申告し、その際できればスケジュールを設定しなおし、それが無理ならできるだけマスクを付け、なお駄目だったらおとなしく医師の判断を仰いでしっかり休もう、としか、自分には言えない。人と人の関係にみっちり絡んでくる感染症というものの厄介さがよくわかる体験だった。


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