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遠方にいた長男が、うちの近くにマンションを借りて住み始めました 仕事がうまくいっていないのか、精神的に落ち込んでいるのか、ずいぶん心配したのです

ま……まさか

 私は63歳、夫は73歳です。
 子どもは4人いましたが、長男は夢を追って東京へ、長女は結婚して家を出て、次男は就職で関東へ、そして今年三男が就職を決め家を出てしまいました。
 子どもは1人減るたびに心のどこかが持っていかれる感覚に陥り、心に風が吹くような悲しさに襲われます。
 それでも長男の時はあと3人いると思い、長女の時はあと2人いると思い、次男の時はあと1人いると思っていました。
 しかし今春、最後の1人も出ていってしまいました。
 
 さて夫婦2人の生活が始まって1カ月、思わぬことが起こりました。
 長男がうちの近くにマンションを借りて住むことになったのです。
 仕事はどこにいてもできると言いますが心配です。
 仕事が暗礁に乗り上げて、こっちで職を探すのではと思いました。
 しかし仕事は続けるようです。
 精神的に参ってしまって、ちょっと親の近くに来たのかななんて思いました。
 長男は近くに越してくると、月に1度ほどのペースで我が家に来ていたからです。
 大丈夫かなと、そればかり考えていました。
 
 ある日、そう、よく覚えています。
 生ごみを捨て、家に入ろうとした時でした。
 ふいにその思いがわいたのです。
 
 私たち夫婦、心配されてる? と。
 
 長男は2人きりになった私たち老夫婦が心配で、近くに引っ越してきて、ちょくちょく顔を出しているのではないか、と。
 
 うかつでした。
 自分が年取ってるなんて、これっぽっちも思わなかったんだもん。
 でも多分そうです。
 用もないのにちょくちょく来ては(今ではこのnote作成の手伝いをしてくれていますが)食事をして帰っていく長男はきっと、私たちがさみしい思いをしていると思って様子を見に来ていたんです。
 
 30年以上、子どもは守り育てるものだと思っていました。
 一生懸命育てました。
 それがいつからか守られる側にまわるんですね。
 その逆転がそろそろのようです。
 長男の思いがうれしいのか、年老いたことがさみしいのか。
 今の気持ちは複雑です。
 
 

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