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実証!!「病は気から」~タントラマンへの道(第82話)

--応援団って怖いところなんですねぇ! まるでカルト教団みたいじゃないですか?

TM:まぁ、今から思うと笑い話にできるくらいなんで、カルト教団の被害とは比べ物にならないですけど、当時は絶望してしまいましたね。
講義にも出席できず、アルバイトも出来ずで、私生活は皆無に近い状態でしたからね。女の子と知り合うなんてこともありえませんでした。

--でも、チアリーダーとは知り合ったんでしょう?

TM:まぁ、挨拶くらいはしたかなぁ。でも、チアリーダーの子たちとそんなゆっくり会話してる余裕なんか一年部員にはありませんよ。早く止めたい一心だったので余計にそんなことは優先順位が低くて後回しだったんでしょうね。女性よりも優先順位が高いなんてよっぽどのことですよ!(笑)

でも、上級生の中にはチアリーダーと交際している人もいたので、もう少し応援団生活に馴染むことができていたらチアリーダーとも仲良くなれていた可能性はゼロではなかったでしょうね。

--で、最終的には辞められてんですよね? どうやって?

TM:ものすごく興味深いことが起きたんですよ。僕にとっては天の助け、奇跡の様な出来事が!

先輩の待ち伏せに会って連れ戻されてからも、辞めたい気持ちは募るばかりだったのですが、ある日、急に高熱が出たんです。そして、全身に真っ赤な発疹も出ていました。
で、病院に行ってみたところ、「風疹」と診断されたんです。
当時、風疹なんか全然流行っていなかったのにですよ!

普通なら、風疹になったら嫌だと思うのですが、僕は嬉しくて仕方ありませんでした。
なぜなら正式に練習を休む口実になるからです。
でも、欠席の連絡を入れたにも関わらず、無断欠席の前科があるので先輩は信用しなかったようで、僕の部屋まで押しかけてきました。
ただ、発疹が凄かったおかげで真実だと信用したのでしょう、すごすごと帰ってくれました。
風疹さんありがとう! でしたよ、ホンマに!

では、風疹は全然流行していなかったのに、どうして風疹になったのでしょうか?
当時はまだ潜在意識に関する知識は無かったのですが、「病は気から」という諺は知っていました。
なので、僕が風疹に罹ったのは、練習に行くのが嫌過ぎて過大なストレスがかかった結果、免疫力が落ちたところで風疹のウイルスに感染したのだと推察したのでした。

当時はそう考えて納得していたのですが、後年、潜在意識のことを学んでからこの出来事を振り返ってみると、これはある種の「願望実現」ではないかと考えるようにもなったのです。

なぜなら、もし、風疹のような症状が表面に現れない病気だとしたら、先輩たちは信用しなかったでしょうし、伝染を怖がってすごすごと帰ってくれることもなかったと想像できるからです。
数ある伝染病の中から「風疹」という視覚効果抜群の病気を選んでくれたのは、潜在意識に違いないと確信するようになったのです。

なので、もしかしたら本当は「風疹」ではなかったのかもしれず、潜在意識が「風疹」に似たような症状を作り出しただけだったのかも? といった説も排除しきれていなかったのですが、数年前、役所から「風疹抗体」の有無の検査をするようにとの連絡があったので検査を受けてみたところ、しっかりと風疹抗体が出来ていたので、あの時の風疹は本物だということが判明したのでした。

ということで、謎は解明できてはいないのですが、まぁ、とにもかくにも、僕は風疹に助けられたのでした。

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