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愛人の元手~タントラマンへの道(第75話)

--今日は、前回の続きです。あなたは、お金教からの脱却をしようとしているのでしたね? なぜ脱却したいと思うようになったのですか?

TM:冷静に考えてみたら、「お金」そのものが欲しいのではないと気付いたからです。元はと言えば、欲しい物やサービスと交換する手段としてお金が発明されたのだと思うのです。でも、実際には、本当に手に入れたいものはお金では買えないんですよね。もちろん、お金は非常に便利で役に立つことも多いので、今すぐ一文無しになっても構わないなんてことではないですが。
でも、一文無しでも問題なく幸せに生きていけるのが理想ですけどね。

--一文無しでも幸せに生きることが出来るものなのでしょうか?

TM:できるんじゃない? ほら、僕の足元で寝ているええねん♪を見て! こいつは一文無しだし、一万円札を見せても全く無関心ですよ。100万円の束を見せても変わらない(笑)。こいつにとって、お金は全く不要なものなんです。でも、料理中に挽肉を一粒でも落とそうものなら、眼の色変えて飛んできますよ!(笑)

--それは、ええねん♪くんが、あなたのペットだからでしょう? そして、ええねん♪くんのご飯は、あなたがお金を使って買っているんでしょう?
だから、厳密に言えば、ええねん♪くんは、一文無しで生きているとは言えないのでは?

TM:う~~ん、そうかぁ。そうかもね!(笑) でも、彼と僕との関係だけに限ってみれば、彼はお金を使わずに生きていられていますよね。まぁ、彼が本当に幸せかどうかは彼のみぞ知るなんだけれども。
少なくとも、安全、安心は感じてくれていると信じたいです。

で、彼がそのような待遇を得られている原因というか理由を考えてみると、一文無しでも生きていけるためのヒントが得られるのではないかと。

--確かに。ええねん♪くんは間違いなく一文無しですからね。にもかかわらず、ちゃんと生きていられるのは、やはりあなたが面倒をみているからですよね?

TM:もちろんです。では、なぜ、僕は彼の世話をしているのだと思います?

--それは、ええねん♪くんが、あなたのペットだからですよね?
あ、そうか。ペットを飼うことで、飼い主側も何らかの利を得ているということですね! 確かに、可愛い存在が身近にいてくれるだけでも幸せを感じますもんね。

TM:そうなんです。僕はええねん♪に本当に癒されてますよ。しょっちゅう笑わせてもらってますし。とにかく、彼には邪心がない、文字通り無邪気なんですよ。もう、一挙手一投足、小さなしぐさのひとつひとつが愛しいんです。
そんな彼の存在や行動が僕に癒しを与えてくれて、そのことに僕が幸せを感じるから彼のことを大切にしているわけだし、それが結果として彼が一文無しでも生きていられることに繋がっているというわけです。

--なるほど、そうですね! それなら、人間同士でも普通にあり得ますよね。私の友人で、お金持ちのおじさんの愛人になってる子がいるんですけど、彼女が本当に貯金ゼロかどうかはわからないですけど、自分のお金は一円も使ってないって言ってました。

TM:でしょう? その彼女の場合、生活に必要なものだけでなく、ぜいたくさえも自分で買って手に入れているわけではないですよね? お金で買う代わりに、それなりの何かで支払いをしていると考えるのが普通です。
つまり、彼女はそのお金持ちが欲しいものを与える見返りとして、今の生活を手に入れているんですよね。
一言で言えば、物々交換ってことです。

--彼女はお金持ちの愛人として、おじさんからの要求、欲求かな? に応えることで、ぜいたくな生活を手に入れているんだから、交換しているのは物ではないけど、広い意味では物々交換と言えそうですね。

TM:そう。だから、愛人関係に限らず、普通の人間関係においても物々交換が出来る場合にはそうした方が良いんですよ。
交換するものやサービスの価値について、お互いに納得することができれば、の話ですけど。で、現在は、お互いに納得しやすいようにお金が価値の交換の仲介をしているわけですが、便利な反面、やっかいなこともあるわけです。
つまり、お金を仲介した交換にはコストがかかるんです。
そのコストの代表が税金です。
でも、物々交換には通常、税金はかかりません。
余程大きなもの、例えば不動産などは、少なくとも素人の知識の範囲では難しいでしょうが、日常生活レベルなら可能なのではないでしょうか?

--それは良いですね!

--TM:でしょう? でもね、僕の場合、物々交換の素晴らしさはわかるんですけど、何を交換の元手にしたらいいのか、全然思い当たらなかったんですよ。
で、僕がお金を貯めるよりも大切だと思うようになったのが、交換の元手を手に入れる、身に着けることだったわけです。

これについては、また次回ってことにしましょう。




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