「ベトナム株」について(*5/31時点でのまとめ)

 いわゆる新型コロナウイルスの変異株「ベトナム株」についての報道をまとめて、情報を整理する目的で書いています。色々ご指摘いただければと思います。個人の見解や予想が含まれること、情報源はベトナム語と日本語(英語は含まず)この2点ご留意ください。

「ベトナム株」が日本で認知されるきっかけ

まずはロイター記事。

この記事をソースとしてNewsweek記事や新聞、テレビメディアに取り上げられた。

ロイター記事内で注目したいポイント:
・保健相(Bộ trưởng bộ Y tế)の発表
・5/29 3:45午後 更新の記事
・序盤の「変異株を発見」と「7つの変異体」

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ソースとなったVnExpressの記事を読んでみる

ロイター記事のソースであるVnExpressの記事

ポイント:
・Bộ trưởng bộ Y tế(保健相) が変異株について言及している記事(他には見当たらず)
・5/29 10:17 更新の記事。ロイターがこちらの記事を参照したのでおそらく間違いない。
・ベトナム語記事では「変異体」「変異株」を区別した表記はしていない。biến chủngで統一されている。 

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「変異体」?Biến chủng が7つも?どういうこと?

(ご指摘ありましたら是非是非お願いします。)

そもそも”変異体”という言葉は日本の報道ではあまり目にしない。

あるのは「変異株」「変異ウイルス」。*「変異種」の誤用について

VnExpressの記事をもう一度よく見てみると7つのBiến chủng のうち4つが英国型、3つがインド型と書いてある。

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専門的になってきてよく分からなくなってきた。

でも大丈夫。
ベトナム保健省公式ウェブサイトに解説がありましたので、大事な部分を抜粋、訳します。

①今回流行している新型コロナウイルスは現在世界中で2万8千以上の変異株が存在する。(以後、記事内では「通常変異株」とします。)
②WHOでは変異株の中で特に感染力が強くなっているものをVOCs(Variants of Concern)として指定しており、現在英国型、南アフリカ型、ブラジル型、インド型の4種類が認定されている。(以後、記事内では「VOCs変異株」とします)
③ベトナム国内でも新型コロナウイルスの通常変異株がこれまでにも見つかっており、今後の感染拡大状況次第では新しいVOCs変異株が生まれる可能性もある。


「ベトナム株」が通常変異株なのか、VOCs変異株かどうかは現時点では不明。

時系列をまとめると:
VnExpressの記事では英国型とインド型双方のに似た新しい変異株が生まれたと書いた。

おそらくVnExpress内でベトナム語→英語にされ、ロイターが英語→日本語に

「新しい変異株」が「新しいVOCs変異株」と勘違いされ日本国内に広まった

事実関係としては:
・ベトナムで変異株が見つかった⇦◯
・その変異株は英国型とインド型双方に似ている⇦◯
・その変異株は感染力がとても強い⇦△
(まだ実験室内での話、どの変異株と比較しているかが分からないので確証がない)
・ベトナムで感染が急拡大しているのはその変異株のせい⇦まだ分からん。
・これで新たに「ベトナム型VOCs変異株」が出現した⇦✖️(ただしWHOの分析次第では今後新たに指定される可能性はあり)

ベトナム国内でも「WHOはまだ変異株についての評価をしていない」との報道がある。

個人的な感想

・ベトナムメディアもBiến chủng lai (ハイブリッド株)みたいな表現で国民向けに危機感を煽っている感じもする。それだけ感染が急拡大しているからそれも分かる。その煽りが翻訳を経て、ベトナム株、ベトナム型だ!って恐れられる結果になってるのでは?

・VOCs変異株としてWHOに認定されるかどうか要注目。


想像以上にまとめに時間をかけてしまった…

何かのお役に立てれば幸いです。質問やご指摘はお気軽にどうぞ。
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普段はベトナム語日本語教育と通訳翻訳をやってます。
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