【エネチェンジ】来年度の業績予想(四季報予想は間違っている)
こんにちは。MAKOです。
先日発売された四季報にて次年度エネチェンジ業績予想が載っていました。
2024年度エネチェンジ業績予想
・売上高 :90億円
・営業利益:6億円
・経常利益:5億円
この数字を見て、皆さんはどう思われましたか?
「ついにエネチェンジが通期黒字になった」
「目標の売上高100億円目前」
おそらくこんなところでしょうか。しかし、私はこの数字がかなり過小評価されていると感じたので、今回は私自身の次年度の業績予測を試してみたいと思います。
プラットフォーム事業の業績予想
業績予想を行う際に参考になるのが第四四半期の業績予想(売上高25億円)です。この内訳を推定しながら検討したいと思います。
私の考える25億円の内訳は以下の通りです。
プラットフォーム事業:13億円
EV充電事業 :9億円
データ事業 :3億円
先日の決算説明での城口CEOの発言によれば、「プラットフォーム事業だけでなくEV充電事業もまだまだ伸びる」とありましたので、成長の大半はプラットフォーム事業であると予想しています。さらに次年度は15億円×4四半期くらいは達成すると考え、通期60億円と予想します。
さらに第三四半期の数字(営業利益1.3億円÷売上高8.6億円≒15%)を元に営業利益は9億円(60億円×15%=9億円)を予想します。
なお、営業利益は広告費をどれだけ使うかによるため、多少変動するものであることはご承知おきください。
EV充電事業の補助金予想
EV充電事業を語る上で重要になるのがEV充電インフラ補助金です。今年11月頃に来年度のEV充電インフラ補助金が400億円(以下参照)に決定したことはご存知でしょうか?
昨年度は200億円(以下参照)でしたので単純に2倍に増額となりました。
今年度と同様に、EV充電器(急速、普通基礎、普通目的)と水素ステーション設置に活用されることになるため、400億円から水素インフラ(内訳不明)を除いた額がEV充電インフラの予算となります。次年度のEV充電インフラ予算は、今年度のEV充電補助金175億円の内訳(以下参照)を参考にしたいと思います。
・急速充電 :95億円(55%)
・普通充電(基礎):36億円(20%)
・普通充電(目的):44億円(25%)
なお、こちらの内訳は30億円の予備費分配後の金額になります。詳細は以下記事参照下さい。
検討する際に、多少乱暴な推測ですが200億円から400億円に倍増したことから、次年度の予算を今年度の2倍と仮定します。
・急速充電 :190億円(55%)
・普通充電(基礎): 72億円(20%)
・普通充電(目的): 88億円(25%)
実際には、今年度の申請状況を基に内訳が再検討されると思われます。今年度最も申請が殺到したのは普通充電(目的)だったと記憶しており、そちらの配分が増える可能性がありますが、その場合、急速充電と普通充電(基礎)の配分が減ることになります。
EV充電事業の業績予想
EV充電インフラ補助金のうちでエネチェンジ業績に寄与するのは普通充電(基礎・目的)のEV充電器販売費用です。工事費用は含まないため計算するには以下手順で行います。
①補助金予算からEV充電器設置台数を算出
② EV充電器設置台数に機器費用を掛ける
①EV充電器設置台数
計算するには以下記事でも紹介した経産省発表のkW当たりの申請コスト(15万円/kW)を用います。
エネチェンジが取り扱うEV充電器は全て6kWなので、15万円/kW × 6kW = 90万円が工事費を含む1台あたりの設置コストになります。そして、普通充電(基礎・目的)の合計予算160億円を1台当たりの設置コスト(90万円)で割ることで、6kWのEV充電器を設置可能な台数がわかります。
【計算式】
160億円÷90万円≒1万8千台
② EV充電器設置台数×機器費用
あとはこのEV充電器の設置台数に機器費用(30万円/台)を掛けることで、エネチェンジの業績に寄与するEV充電器の販売費用の最大値を出すことができます。
【計算式】
1万8千台×30万円/台=54億円
これはあくまでも最大値なので、エネチェンジの業績にどれだけ寄与するかは、エネチェンジが1年間でどれだけの台数を設置できるかに依存します。1万台程度であればおよそ30億円になります。
【計算式】
1万台×30万円/台=30億円
補助金は余らせてはいけない
今年秋以降、EV充電インフラ補助金は入札制度に移行しました。それに加え、一箇所当たりの設置台数に制限が設けられるなど、一部のコスト競争力のある業者だけが補助金を獲得できる状況になりました。つまり、エネチェンジが申請台数を制限すると、予算が余る可能性があります。今年度は予算が使い果たされたため厳しい制限が設けられましたが、予算が余ると次年度以降の予算縮小だけでなく、過剰な補助金が新たなモラルハザードを生み出す可能性(以下記事参照)も考えられるため、適切に使い切ることが望ましいでしょう。
個人的には、EV充電インフラ市場で適度な競争力を維持する観点から、次年度にはエネチェンジが1万〜1万5千台程度を目標にすることを希望します。
【計算式】
1万〜1万5千台×30万円/台=30〜45億円
データ事業
2023年は電力データ解放によるエネチェンジ・マイエネルギーサービスの開始などがありましたが、データ事業のTAMとなる電力会社の財務改善にはまだ時間がかかる見込みです。よって、データ事業は今年度から横ばいとして2.5億円×4四半期=10億円と予想します。
次年度エネチェンジ業績予想
以上を元に次年度のエネチェンジ業績を予想してみましょう。
①プラットフォーム事業
売上高:60億円(営業利益9億円)
②EV充電事業
売上高:30億円(営業利益3億円※)
※利益率10%と予想
③データ事業
売上高:10億円(営業利益1億円※)
※利益率10%と予想
①〜③合計
売上:100億円(利益13億円)
プラットフォーム事業とEV充電事業についてはまだまだ情報が不足しているため、来年2月の本決算で詳細が分かれば改めてアップデートが必要だと思われます。
エネチェンジ時価総額予想
次年度から黒字化するとなると、エネチェンジ時価総額はPSRではなくPER (株価収益率)の議論になります。PER20-100倍における時価総額は以下の通りです。
・PER20倍:260億円
・PER50倍:650億円
・PER100倍:1300億円
※営業利益≒純利益として計算
結局はPER次第ではありますが、どのようなPERの評価がされるかは類似する銘柄を参考にするのが手っ取り早いです。
先行指標:弁護士ドットコム
弁護士ドットコムは、グロース市場における時価総額6位に位置し、約1000億円の時価総額を持つ、弁護士業界では誰もが知るほど圧倒的なシェアを持つ最先端のIT企業です。
弁護士ドットコムの今期売上高が87億円であり、営業利益11億円(純利益7億円)と報告されています。弁護士ドットコムの今期業績は来年度のエネチェンジの業績(売上高100億円、営業利益13億円)に類似しているため、一時的な先行指標とします。
すると、来年度のエネチェンジ業績予想(営業利益≒純利益13億円)に弁護士ドットコムのPER(133倍)を掛けると以下の通りです。
・PER133倍:1730億円
まあ、単期の黒字だけではこのような評価は得られないでしょうが、決算を重ねるごとに徐々にこの評価に近づいていく可能性は高いと思います。もし時価総額が1730億円に達すれば、株価は現在の1000円前後から5倍以上の5000円になります。2024年中にそのような光景を見ることができれば… 期待したいですね!
信託SOの会計処理について
ちなみに、一時期話題となった信託SO(-4.3億円)への対応についてですが、エネチェンジは流動負債の未払金に計上した後、これに対する債権を流動資産の未収入金に計上しています。会社は原則として納税負担者(つまり従業員)に対して求償を行い、会社負担とはしない方針とのことです。
信託SOへの対応に関して、大半のケースでは求償権を放棄して会社側が負担(つまり減損処理)するのですが、エネチェンジは従業員負担とするということです。したがって、現時点ではエネチェンジの信託SOに関連して減損処理が発生しないと予想されます。
※会計について私は素人なので間違っていたら指摘してください。
これは私の意見ではありますが、この方針は従業員が納得した上での決定であり、従業員が十分な給与を受け取っていることや、会社の将来性に確信を持っていることを示していると思います。他社であれば従業員が反発して空中分解してしまうでしょうが、エネチェンジは組織の結束力が非常に強いのかも知れません。
まとめ
マイナス金利解除、岸田首相支持率低迷、景気後退など不確定要素はあるものの2024年のエネチェンジは非常に明るいと私は思います。ホルダーの皆さん期待しましょう!
P.S.
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