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教皇の写真 破ったこともあったなぁ…

今回は、アイルランド生まれの、ポップミュージシャンについて。

シネイド・オコナー 比類なき愛(タブレット、2023年8月3日)

アイルランド・ダブリン生まれのシンガー、シネイド・オコナーが7月末に亡くなりました。56歳でした。英カトリック雑誌のタブレットが彼女の訃報を取り上げています。
ファンでない人間、また音楽シーンに詳しくない人間には分からないことも多い記事ですが、それでも有名な話は、彼女が1992年、サタデー・ナイト・ライブに出演したとき、ヨハネ・パウロ2世の写真をカメラの前で破ったこと。あっと驚く出来事だったのですが、この記事を読むと、当時彼女はすでに、教会内の女性と子どもへの虐待を訴えていたことが分かります。まだまだ、教会は聞く耳をもたなかったんですね(ボストン・グローブによる糾弾は2002年)。いま振り返れば、いかにその訴えが真実で切実だったかがよく分かります。
これも知らなかったことですが、その後彼女は、「アイルランド正統カトリック使徒教会」で司祭に叙階されたり、イスラム教に傾倒したり、と彷徨していたようです。それだけ、神と人への愛が強く、人に裏切られて壊れていったのかもしれません。アイルランドは、日本で言えば長崎のように伝統的で、生活に染み込んだ信仰ですから。人と神に誠実であればあるほど、人生は難しくなるのか。自分の信仰を振り返させられます。
彼女の有名なヒット曲は、90年のNothing Compare 2 U。「あなたの代わりはいないわ」と切なく歌います。これも知りませんでしたが、この曲、オリジナルはプリンスだそうです。ともに、喪失を前にして、立ち尽くす人の後ろ姿を描き出し、それが心に沁みます。タブレットの記事も、「誰も代わりになれない。ありがとう、神の祝福を」と結んでいます。


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