義父母とのランチを助けてくれたChatGPTとシナトラの威力
昨日は久しぶりに用事のない日曜日だったので義両親をランチに呼んだ。彼らは私たちが3年前にハワイ島に引っ越そうと動き出したら、自分たちもハワイ島に住むと言って先に家を見つけ越してきてしまった。お陰で新居の建設が大幅に遅れた時には居候させてもらい大変お世話になった。そのお礼も兼ねてのランチである。
たまたまその日は義両親の結婚記念日だったので、花とカードを用意した。その日の朝、カードにお祝いの言葉を書こうと思ったが言葉が見つからなかった。と言うのも二人はあまり仲が良くないのだ。大きな喧嘩はしないが嫌味の応酬とか皮肉とかが飛び交って、人の気持ちに敏感な私はいつもヒヤヒヤする。その二人にたとえ英語でも「二人の愛が永遠に続きますように」というような歯の浮くことは書けない。アメリカ人の夫に相談するがこういう時夫は全く役に立たない。「おめでとう、だけでいいんじゃない」などと言う。
それでハッと思いついた。ChatGPTに相談してみよう!
早速、次のように質問した。
「義両親の結婚記念日のカードに書くお祝いの言葉を探しています。ただし二人の仲はあまり良くないので、それほどロマンチックでないメッセージを考えてください。」
そうしたらいくつかの例を挙げてくれた。たとえばこのようなメッセージだ。
「お二人が共に歩んできた旅を祝福します。来る年がお互いを支え、理解し合う年となりますように。記念日おめでとうございます。」
英語で読むと「もっと支え合って理解し合ってね」みたいなニュアンスに聞こえたのでこれはやめた。
もう一つはこれ。
「お二人に平和な瞬間と幸せな思い出がある日をお祈りします。記念日おめでとうございます。」
「平和な瞬間」は余計だが、「幸せな思い出を作ってね」と言うのはいい表現ではないか。そこに少し個人的なことを加えてカードができた。
さて二人はいつものように約束の時間きっかりにやってきた。こう言うところは二人して律儀である。そしていつものように義母がマシンガントークを始める。義父が何か言うと義母が批判し、義父が嫌味を言い返す。私はヒヤヒヤしながら仲裁していたら、夫が音楽をかけようかと提案してくれた。
実はお隣さんが音響システムに詳しくて、新居に良いスピーカーを天井につけるのを手伝ってくれたのだ。夫はそれをお披露目したかったらしい。それでフランク・シナトラのマイウェイをかけた。天井からシナトラの声が降ってきて部屋がコンサートホールのような雰囲気になる。
するとさっきまでマシンガントークの義母の目がキラキラと光りだし、急に私の夫の手をとって踊り出したのだ。義母が踊るところなど見たことがなかった私は口をあんぐりと開けて二人を見ていた。少しよろけながらもくるっと回ったりしている。こんな子供のような笑顔の義母を見たのは久しぶりだ。
次に義父と抱き合って踊り出した。二人がスキンシップしているところなど見たことがなかったから、これにはさらに驚いた。義父は満面の笑顔で義母を抱きしめている。「本当は仲良くしたかったのだな」と私まで嬉しくなる。最後に私と習いたてのフラの振り付けで大笑いしながら踊る。
みんなでシナトラの歌に乗って笑いながら踊り、緊張感もどこかに吹っ飛んでいった。これはきっと後から笑顔で思い出すエピソードとなるだろう。ChatGPTの言うように「幸せな思い出」が一つできた。
それにしても義父母世代へのフランク・シナトラの威力には度肝を抜かれた。
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