Mancityの総括と今シーズンに向けて
はじめに
今回の総括では、選手のレーティングは一切しません。なので、レーティングが見たい人にはすみません🙇
レーティングというよりは「全体的なまとめ」をテーマとして今回のブログを書いていきたいと思います。
昨季の成績の評価
まず、昨季の成績を確認しておきましょう。
プレミアリーグ 優勝
FAカップ 優勝
カラバオカップ 優勝
コミュニティ・シールド 優勝
CL ベスト8
こんな感じでした。
国内四冠に満足してる人もいれば、CLでの早期敗退に納得いってない人もいるかと思います。
ですが、個人的には成功したシーズンだったと思います。それは次のような理由からです。
①フェルナンジーニョの後釜を確保できなかった
②新戦力がマフレズのみ
この2点から、シーズン開始前からCLは勝てないと思っていたので、CL敗退は想定内でした。
それよりも、シティとしては初めてのプレミア2連覇や後述のような戦術面での発展もあったので高く評価しています。
では、その戦術面での発展を見ていきましょう。
戦術における発展
昨季の基本フォーメーションは以下の通りです。
昨々季からの進化として前線(WG、IMF)の選手がどこでもできるようになった点が挙げられると思います。
また、他のポジションでも誰がどこをやってもチームとして機能するようになりました。
つまり、全選手のユーティリティ化が進んだのです。
ユーティリティ化が進んだことによって脅威が増したのが前線です。
特に、スターリングとBシウバがWGだけでなくIMFもできるようになったので、相手のDFから見ると尚更守りにくくなりました。
なぜなら、Bシウバのドリブルに慣れたと思ったら、デブライネがポジションチェンジをしてくる。つまり、今度はデブライネのクロスを警戒しないといけなくなります。
同様のことが左サイドでもおきます。スターリングに慣れたら、他の選手がWGに入って…。
この状況が90分続くので、守りにくいったらありません。
ペップは以前から、このユーティリティ化をやろうとしていた節があります。(実際、バイエルンでロッベンがIMFをやったことがある)
なので、現在持ち合わせている駒でできる全選手ユーティリティ化計画の集大成を見せることができたのが今季のシティだと評価しています。
新戦力について
[ロドリ]
フェルナンジーニョの後釜として獲得された待望のボランチ。
正直、アトレティコでのプレーは90分とおして見たことがありません。また、YouTubeでのダイジェスト映像だけでは全てを把握することは不可能だと考えています。
そこで、彼のプレースタイルについては2人の識者のコメントを紹介したいと思います。
まずは、ペップと考え方が似ており、さらに友達でもあるヘスス・スアレスさんです。
スソ(ヘスス・スアレスさんの愛称)さんは自著『レジェンドへの挑戦状』の中でロドリのことを次のように語っています。
『ロドリは身長193センチと大型のMFで、リーチが長く、高さで負けず、なによりボールを失わない。プレーテンポの速さにも目を奪われる。バルサ型のプレースタイルを信奉するチームで、最大限の力を発揮するだろう。』
また、「カリダード(プレーセンス、質の高さを表す)」という表現を用いてこうも評しています。
『カリダードを感じる若手を取り上げるなら、アトレティコのロドリだろうか。(中略)その器の大きさは飛び抜けている。
セルジ・ブスケッツは唯一無二のプレーメーカーと言えるが、現時点でその代わりとなり得るのは彼しかいない。』
次は、木村浩嗣さんです。
木村さんは2018年のfootballistaの6月号で、当時ビジャレアルに所属していたロドリを次のように評しています。
『ブスケッツとプレースタイルだけでなく姿形もよく似ている待望の守備的MF。プレーの先を読みピンチを未然に防ぐインテリジェンスを経験が乏しいにもかかわらず身につけている点でも、ブスケッツのデビュー時以来のサプライズである。』
最後に、彼が加わることで増える戦術プランについて話したいと思います。
ロドリがボランチのスタメンになることで、フェルナンジーニョを単なる「ボランチ」ではなく、ボールを狩ることを基調としたマルチプレイヤーとして扱うことができます。
つまり、ボランチ以外にもCB、SBそして試合を締めるためにIMFとして使うこともできます。
フェルナンジーニョがペップ・バイエルンの時の「ビダル」のようになる可能性があるということです。
なので、ロドリには是非ともシーズンはじめからフィットし、活躍して欲しいですね。
[カンセロ]
カンセロに関する反応を見ると、「なぜ、獲得したのか」「ダニーロを出してまで獲得するべきなのか」というモノがありました。
そこで、プレースタイルではなく、“なぜ獲得したのか“について話したいと思います。
獲得した理由は、大きく分けて3つあります。
まず、1つ目は「ウォーカーに競争意識を持たせる」ことです。
昨季のウォーカーのプレーには、軽いモノが散見されました。特に、年末は酷かったです。
そのような危機意識のないプレーをカンセロを加えることで減らそうとしているのです。
2つ目は複雑です。前提として右サイドのWGとしてBシウバが覚醒したのが昨季。もはや、Bシウバは“小さいメッシ“になってました。
そんなBシウバをさらに活かすためには、攻撃的なSBが必要だったのです。そこで、目を付けられた選手がカンセロでした。
また、カンセロを取ることで、RSBのウォーカーにボールを持たせてラインを下げる作戦を使用させなくします。
つまり、「右サイドの攻撃力強力及びボール出しの向上」が2つ目の理由です。
攻撃的なSBが欲しかったと記載すると、ダニーロで充分だろと思うかも知れません。しかし、僕から見るとダニーロは攻守において武器のないSBと評しています。
ウォーカー程の守備力は持っていないし、右サイドのレーン全てを支配できる程の攻撃力も持っていない。
カンセロには右サイドのレーン全てを任せることが出来ます。
まとめると、「ダニーロはビッグクラブのレギュラーになれるほどの実力がない」ことが3つ目の理由です。
これは、1つ目に繋がりますが実力がなければ、競争意識を煽ることもできないのです。
最後にカンセロの今後について書きます。
カンセロが成功できるか、どうか。
それは、カンセロが右サイドを圧倒的に支配できるアウベスのようなSBになれるのかにかかっています。
もし、カンセロがアウベスのように成長できれば、自ずと成功への道は開けるでしょう。
[アンジェリーノ]
アンジェリーノのPSVでのプレーもシーズンとおして見てはいません。
そこで、今回は海外の記事を参考にしたいと思います。
それが、2019年の6月18日にRofiq NaufalさんがFootball Bloody Hellに掲載した記事です。
そこには、このような内容が書かれていました。
攻撃面では、1試合につき5.25本のクロスを放ち、シーズン全体として36%ものクロス成功率を誇る優秀なLSBです。
また、単なるクロッサーだけでなく、パス能力にも優れており、1試合につき1.89ものキーパスを供給しています。
守備面では、優れたポジショニングと認知力でインターセプトやタックルを行っています。
しかし、特に危険なエリアで相手のマークを緩くしてしまったり、1vs1の状況で簡単に相手に攻撃を許したりと、未だ守備に課題が残っているようです。
※ソース
https://footballbh.net/2019/06/18/angelino-psv-tactical-analysis-analysis-statistics/
なので、高いクロス性能とパス能力を生かして、シティでは偽SBではなく、外のレーン全てを任せてしまう方が良いかもしれません。
アンジェリーノには単なるLSBの控えではなく、是非レギュラーを勝ち取って怪我で出れないメンディと同じ役割を担って欲しいですね。
最後に、2016年のfootballistaの11月号に掲載されていたアンジェリーノの紹介文を載せます。
『攻撃的レフトバックらしく憧れはロベルト・カルロスと語る。(中略)U-21プレミアリーグでは過去にSBながらハットトリックを達成したことも。』
憧れの「ロベルト・カルロス」への道を突き進んで欲しいですね。
[カーソン]
デッドライン・デイにやって来たGK、カーソン。
正直、シティでプレーすることはないでしょう。
では、なぜシティは獲得したのか。
それは、昨季の反省です。
第2GKが怪我をして控えがいなくなってしまう。そのような事態を避けるために獲得されたのです。
第3GKとして、そしてベテランとしてチームを支えて貰いましょう。
今シーズンの結果予想について
昔、ベン・メイブリーさんが
『ペップのチームは3年間のプロセスがあり、1年目は強化、2年目は成功、3年目は洗練。』
とテレビで言っていましたが、シティにおいては少し違うと思います。
正確には
1年目が査定、2年目は強化、3年目が成功で4年目に洗練だと思います。
なぜなら、当時のシティにはペップ好みの選手があまりにも少なかったからです。
なので、今シーズンこそが洗練にあたる。つまり、本当の意味での「集大成」になると思います。
では、その「集大成」の年にCLは取れるのか?
僕は、はっきり言って厳しいと思います。それは次のような理由です。
①ポジショナルプレーはトーナメント制に向いてない
②FWに高さがなく、空中からの攻撃が効果的でない
③ヨーロッパの舞台だと途端に焦りだす
まず、トーナメント制にはストーミングが、リーグ戦に関してはポジショナルプレーが最も力を発揮すると思っています。
実際、CLはリバプール。プレミアはシティが優勝しました。
ですので、ポジショナルプレーのペップでは厳しいでしょう。
それを覆すためにはメッシがいることもしくは、高さのあるFWが不可欠です。しかし、メッシもいなければ、FWに空中戦に強い選手がいないので使えません。
また、シティはヨーロッパの舞台になると途端に脆くなります。これは、ペップ以前からそうでしたし、グループステージでも傾向が出ています。
このような点から、今シーズンもCLに優勝することは困難だと考えています。
もし、優勝したいならアウェイで負けても、逆転できるほどにホームで圧勝する。
これを実践するか、レアルマドリーやバルセロナのようなチームと決勝トーナメントで戦って勝利することで自信をつけ、勢いに乗る。
つまり、breakthroughをすること。
それぐらいしか、ないでしょう。
よって
プレミアリーグ 優勝
FAカップ 優勝
カラバオカップ 優勝
コミュニティ・シールド 優勝
CL ベスト4
が現実的な目標というかノルマだと考えています。
今シーズンの戦術について
昨季起こったチームのユーティリティ化。それが、今シーズンはもっと進むと予想しています。
次にあるデータを示します。
上図は、選手の出したパスの方向と距離を表している「パスソナー」といいます。
この図を参考に結城康平さんは次のように語っています。
『マフレズやサネはパスの方向が内側に偏っているが、スターリングやBシウバは全方向にボールを散らせており、特にスターリングはセントラルMFに近いデータになっている。』
この「MFに近いデータになっている」という部分が、他の選手にも波及していくのでないかと考えています。
例えば、サネやマフレズのような「WG型」の選手にもです。
と言うか、出来ない選手はスタメンになれません。
究極的には、ユーティリティ化進むことで、チームが1つの生き物として顔を変えながら活動していく。
そんな感じになると思います。
個人的には、タイトルももちろんですが、どこまでペップの戦術が発展できるかにとても興味が湧いてワクワクしています。
今シーズンも、ファンの人を楽しませるようなサッカーを披露して欲しいですね。そして、笑顔で終われたら嬉しいです(笑)
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