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夢の途中

先生になることを決めて、某大学通信教育部に入った。
毎月末にレポートを提出し、その次の月に、地域ごとに決められた試験会場で、試験を受け、合格すれば単位取得となる。

最大4教科を一度に提出できる。最初は張り切って4教科提出した。でも4教科連続テストはキツかった。暗記ものもわりとあったので…。それからは2、3教科にした。

自分のお金であること、妻と幼い息子がいること、最短2年で取得できるということ、自分がやりたくて始めたことであること、それらのことが明確なので、大変とか煩わしいとか面倒くさいとか、あまり思うことなかった。

思ったより勉強するのが楽しかった♪

初めて出かけたその試験会場で出会いがあった。テスト終わりに灰皿の前で、同い年の音大卒のチェロ弾きの男性と看護師をしている女性と出会った。

2人は友達ではなく、今、出会って初めて話したらしい。そこへ、看護師の女性の友達が来た。ちゃきちゃきした派遣会社で働く女性だった。

その4人でお茶をすることになり、珈琲館でお茶をして、それぞれの仕事、なぜ先生になりたいかなど話し合った。

メルアドを交換し(当時はまだLINEが一般的ではなかった)、それからは、一緒にテストを受けたり飲みに行ったりするようになった。

また、夏や冬にはスクーリングがあった。直接、大学に行って授業を受けるのである。そこでもいろいろと出会いがあった。同じ目標をもって勉強する、それぞれ違う仕事をしている仲間がいるというのは本当に心強かった。

よく覚えているのは、音楽、図工、体育のスクーリングである。それぞれ何と!5日間、朝から夕方まで授業があるのだ。

その中でも良き思い出は音楽♪
8人ぐらいの班に分けられ、ザ.ピアノの先生(見るからに気のキツそうな)の個別指導と練習の繰り返し。アップライトピアノを横に2台並べたぐらいの幅で、ピアノの後ろに椅子が横に6脚ほど置ける奥行きの狭い小さな部屋に押し込められ、1人ずつ弾かされ、指導されるのである。

班のメンバーは、同年代の主婦を除いて自分より若い男女が多かった。毎日朝から夕方までその人達と過ごし、仲良くなった。

その中の、ウェディング会社で働く、学級委員タイプのひまわりのようなかわいい女の子が最後に集合写真を撮ろうと言い出し、写るんですを買って撮って、現像屋さんに出して1時間後にできてみんなに配るという、今では時代を感じさせる良い思い出があった。

そして、その音楽スクーリングの5日間の次の日、大学で毎月ある、単位を取る試験があった。その日の朝、始発電車に乗り、いつも降りる手前の駅で降りて、繁華街にある24時間営業のマクドナルドに行って、最後の悪あがきのテスト勉強をしていた。

そしたら、急に目の前の席に女の人が座った。なんだ!?とビックリして顔を上げると、音楽で一緒だった、ひまわりのようなかわいい女の子だった。彼女もテストを受けるべく、勉強していた。しばらく喋って各自勉強した。そして一緒にバスに乗って大学へ向かった。それだけなのだが、偶然の出来事が嬉しかったのと、一緒に大学へ向かうという学生気分が、とっても楽しかった♪

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