見出し画像

夢への近道は回り道


ハローワークで教わった履歴書と職務経歴書が功を奏したのか、クリーニングチェーンに採用された。未だになぜそこへ飛び込んだのか自分でもよくわからないのだが(勢い?)、とてもお世話になった。

といっても、社員として勤めたのは短く、8ヶ月間だったのだが、退職後も約8年間、アルバイトで配送の仕事を続けた。しかも必要とされていたので居心地良くて嬉しかった。

仕事は工場勤務で、とにかく肉体労働で、最初は配送の仕事をした。1日多くて10数件の取次店を回った。道や店名と店の番号を覚えた。
店に入って納品して、洗濯物を引き取り、伝票を受け取り、工場に戻って、洗濯物をチェックして、カッターシャツは液体のりや洗剤をドラム式の大きい洗濯機に入れて回す。そして、石油の溶剤で洗うドライ洗いのセーターやスーツ等を仕分けしていく。

とにかく仕事を覚えて毎日毎日同じ作業を続けた。衣替えの時期は朝早くから夜遅くまで働いた。
とにかく疲れた。でも楽しかった。

人の相談に乗って答えのない毎日で先の見えない仕事ではなく、その日の洗濯物をとにかく仕上げるという、先の見えるわかりやすい仕事で、その目標に向けてみんなが協力して一つになっていることに充実感を感じた。

転職し続けて流れ着いた年配の人、ザ・職人タイプの寡黙な人、数日ですぐ辞めていなくなる人、主のような長老のおばちゃんパート、謎の金髪で子どもがたくさんいる男、元ヤンのシングルマザー、…本当にいろんな人がいた。昼食時や休憩時、また、仕事終わって缶コーヒー飲みながら、いろいろ話して、楽しかった♪

でも、やりたい仕事ではなかった。生活安定のためにしていただけだった。

やりたい仕事は日が経つにつれ明確になっていった。

それは、引きこもり相談機関で働いていた時のように、「人と関わる仕事をもう一度したい」「引きこもり相談のキャリアを生かせる仕事をしたい」ということだった。

そんなある日、勤めていた、引きこもり相談機関のあるビルの隣りの会社(心理検査等扱う出版社)の社長から電話があった。

「うちで働かないか」というお誘いの電話だった。

クリーニングチェーンの仕事から抜け出したいのと、引きこもり相談の仕事に近い、心理検査を扱う仕事ということですぐに転職を決めた。
引きこもり相談の仕事を辞めて、まだ8ヶ月だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?