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夢のあとさき

小さな民間相談機関だったので、スタッフ育成のシステムがあるわけもなく、研修があるわけでもない。
ただただ、日々いろいろと、どうすればいいかわからないことが多かった。

通ってきている人の話を聞いたり、何人かでトランプしたり、野球したり、カラオケしたりとグループワークで関わっていた。

引きこもっていた青年が働き出したり、勉強しだしたりと、前へ進んで成長するという良いこともあった。
また、中には、利用者間のトラブル仲裁等、話を聴く実践経験をとにかくたくさん積んだ。

でも、専門的な知識や社会と繋ぐ仕組みやノウハウ等が当時はあまりなく、
いわゆる、「壁にぶち当たる」ことが多くなっていった。

そして、最終的には、そこで生きていく覚悟をするか、辞めるかの二択になっていった。

そのような心持ちになっていったのは、その頃にちょうど結婚したことも大きかったし、やりたいことを仕事にしたのに「辞めるという選択肢があるのか?」という、自問自答もあって、決断に時間もかかったし、それはそれは、とても大変なことだった。

最終的には、うつ状態となり、2度ほどカウンセリングに行って話を聞いてもらって、自分の気持ちを整理してもらった。 

この時の体験は、克明に覚えている。本当に助けてもらったし、勉強にもなった。
共感も大事だが、コーチング的に方向を指し示すことで救われることもあると思った。

心の底から感謝している。

土砂降りの雨が降る夜、バスに乗って行ったなあ…。

いろいろ思い悩み、時間を経て…

その頃、体調を崩していた妻との今後の生活を一番に考えて辞めることにした。

一旦離れて、とにかく、心理学やカウンセリングについて勉強したいと思った。

ハローワークに行き、履歴書や職歴の書き方等教えてもらうなどして転職活動を始めた。ようやく自分から動くことができていった。

そうして、クリーニングチェーン(クリーニング工場と配送の仕事)に就職することが決まった。

正直、その時はどんな仕事でもよかった。フツーに体動かして、健全に働きたかった。

引きこもり相談の仕事経験は、今の自分の原点となっている。

どんなに病んでいる理解不能な人や挑発されてしまうような人と対しても、冷静に人との距離等考えて人と関わることができる。

本当に、ありとあらゆることが今に生きている。無駄なことなんて、何ひとつないんだ。

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