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2022/8/18 14:46 福島県沖を震源とする地震について

※画像をクリックすると引用元ウェブサイトに移動できます。 本記事より、「強震動及び推計震度」と「長周期地震動」の項目を統合して「地震動について」の1つの項目としています。


1.地震の概要

2022年8月18日14:46(日本時間)頃、福島県沖(北緯37.60°,東経141.59°)を震源とする最大震度4のやや強い地震が発生しました。この地震による津波はありませんでした。
震央は福島県沖で、震源の深さは56km、地震の規模はMj5.2と推定されています(気象庁暫定値)。最大震度4を観測したのは宮城県石巻市、福島県相馬市、楢葉町、浪江町でした。

2.地震動について

防災科学技術研究所のK-net強震観測網によると、福島県相馬市の相馬観測点で震度4(計測震度3.5)、三成分合成最大加速度90.6galを、宮城県山元町の山元観測点で震度4(計測震度3.5)、三成分合成最大加速度81.6galを観測しています。

画像2.1 K-net相馬 強震波形

また、同研究所のJ-RISQ地震速報によると、震度4を観測した福島県の相馬市、宮城県石巻市の一部の他、宮城県利府町、登米市、塩竈市、福島県南相馬市、伊達市、いわき市の一部では震度4相当のやや強い揺れがあったものと見られています。
※ただし、これらの推計震度は必ずしも実際の震度と一致しないことに注意してください。推定に用いられている震源要素等はすべて速報値段階のものです。

画像2.2 J-RISQ地震速報より 推定震度頻度分布

気象庁によると、この地震で長周期地震動階級1以上は観測されていません。

3.地震のメカニズム

気象庁のCMT解(国内)(精査後)では、南北方向に圧力軸を、東西方向に走向をもつ逆断層の型となっています(λ=106°[+16°]/77°[-13°]|p軸:12°(傾斜5°))。また、マグニチュードはMw5.1となっています。

画像3.1 気象庁国内CMT解(精査済)

この地震は沈み込んだ太平洋プレート内部(i.e.スラブ内)で発生した地震で、特に二重地震面の上面側(沈みこんだ海洋性地殻の側)で発生しています。

4.緊急地震速報

気象庁は14時46分19.6秒に地震波を検知し、地震波検知から4.6秒後の14時46分24.2秒に緊急地震速報(予報)を発表しています。緊急地震速報第一報提供の段階でS波が到達していた地点はありませんでした。一般向け緊急地震速報(地震動警報/特別警報)は発表されていません。

画像4.1 緊急地震速報第1報提供から主要動到達までの時間及び推計震度分布図(気象庁)

5.過去の地震活動

2022年8月4日の9時48分頃、今回の地震の震源付近を震源とするMj5.6/Mw5.4の逆断層型の地震(最大震度4)が発生しています。4日の地震の精査後発震機構解と今回の地震は走向や圧力軸の方向が数十度ほどズレています。

福島県沖のスラブ内では、2020年以降Mj≧5.5の地震が7回発生しています。2021年2月13日のMj7.3の地震は若干北東の地点で、2022年3月16日のMj7.4の地震は今回の地震から若干北の地点で発生していますが、大きくは離れていません。これらの地震と今回の地震は互いに逆断層の型で深さにも大きな違いはありません。しかし、2022年3月の地震は「走向が南北方向、圧力軸方向が東西方向」、2021年2月の地震は「走向が北北東―南南西、圧力軸は西北西―東南東方向」で、今回の地震の「走向が東西方向で圧力軸が南北方向」という解析結果とはほとんど直交するほどの違いが見られます。

↑2022年3月16日の地震 気象庁CMT解

 ↑2021年2月13日の地震 気象庁CMT解

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