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「身内に甘い」のはみんなそうでしょ?

もう風化しているけど吉本芸人の闇営業の問題で、厳しいことを誰も言わなかったり、もう許したってえなぁ、的なトーンに芸人さんたちがなっているとき(特にたむけんはひどかった・・)に「だから芸能界は身内に甘い」と言われたが、正直、芸能人の身内をかばうことよりも本当に問題なのは、警察やマスコミが不祥事をおこした時の報道体制の方。ネットニュースで、どこそこの警察署でセクハラやパワハラがおきました、どこそこの警官が暴行事件をおこしました、どこそこの婦人警察官が風俗店で働いて処分されました、みたいなニュースをほぼ毎週、毎月のように見るけど、それがどこの誰かが発表されることはない。また、テレビ局や新聞社で、社内で不祥事をおこして降格したり異動させられた人の名前が発表されることはない。どちらにも「被害者のプライバシーを尊重して」という注釈がつく。

ふざけていてはいけない。被害者のも加害者のもプライバシーを踏みにじってでも報道の自由、表現の自由、国民の知る権利、などふりかざしてきたじゃないか。それが悪いと言っているわけではなく、人にそうするなら自分たちだけなぜ隠すのかと言いたいだけなのだが。ぼくらが警察署内やテレビ局内という伏魔殿でどんなことがおきたのかを知ることは内部告発が週刊誌にも持ち込まれない限りは知るよしもない。そんなメディアが信頼されるわけがない。

報道ステーションのCPが複数名にセクハラをしたとして処分された。BS朝日にとばされたとのこと。そんなの、一般企業であればただの異動人事。部下である女性アナに無理矢理キスした時点で、厳しい懲戒処分があってしかるべし。3日間の出勤停止とBS朝日への出向、こんなの何の意味もないし、名前も出ないので本人に疵がつくことは(少なくとも対外的には)まるでなし。

メディア側にいた人間として、いま心の中から望むのは、自浄作用をもってほしい、それがメディアの使命だろうということ。TBSがオウム事件をおこしたとき、筑紫さんは「TBSは死んだ」と発言、社員は反発した。勝手に殺すなよ、と。筑紫さんの言っていることの意味を理解できなかった社員は皆、当事者意識も持たず、毎日来る右翼の街宣車に閉口しながらもいつか終わると高をくくっていた。それを僕は同じ局内にいて見ていた。しかも、あれだけの事件に関わりながらTBSは廃業も倒産もしなかった。赤坂サカスの大家さんとしてむしろ、バブル崩壊後の負債を全部返せたのではと言われるまでに業績回復した。いま、TBSを「報道のTBS」とか「良識」「権力の監視人」と期待している人はいない。田さんのハノイリポートや成田闘争、追い込まれて辞めた人たちの想いをこめたテレビマンユニオン設立のエピソードや、さきほどの筑紫さん発言など、いまのTBS社員がどれくらい問題意識を持っているのかははなはだ疑問。

問題意識を持ち、ジャーナリストであろうとして、報ステ内で浮きまくり、追い出され、アメーバに行かされ、結果、テレ朝を離れニュース23に移った小川アナにそこまでの覚悟があるかはわからないが、単なるニュースサロンにするのだけは抵抗してもらいたいなと思う。きっと内外の圧力もすごいだろうけどあきらめないでもらえればとは思う。田丸美寿々や安藤優子や櫻井よしこのような従来の日本型女性キャスターとはまた違うしなやかなキャスター像を期待します。

隠蔽体質だ!と政界や政治家を叩くのもいいし、揉めているあの国のことをあれこれ取り上げるのもいいでしょう。でも発信者にとって一番大事なことは自分達は何者で、どういう存在であるべきかという自己定義です。それをメディアの人、そして身内に甘い筆頭である警察など官公庁のひとりひとりに問いたい。


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