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がな推しBlu-rayは日向坂版ゲットバックだ。

松田聖子のファンになって以来、現在にいたるまでそれなりにいろんな歌手やアイドルや女優さんのファンになってきたけど、コンサートに行くとか握手会に行くとか写真集を買うとか、映画やドラマを見るとか、その他なんでもかんでもいわゆるオタク的で熱心な支援行動というのは一度も誰に対してもとったことはない。それは自分の年齢があがればあがるほどそういう行動が恥ずかしくなっているからではあるけど、そもそもそこまで熱くなるほどの対象もいなかったというのが正直なところだった。しかし。

日向坂46はいまもっとも推しているアイドル。初めて尽くしが多い。初めて(配信ではあるが)ライブをチケットを買って見た。写真集も関連本も買ったし、雑誌で特集されてたら買った。テレビはキーワード登録して片っ端から録画。彼女たちの人気が出るにつれ、出演番組も増えるのでHDDは日向坂でいっぱいだ。そして例の「がな推し」Blu-ray。これは前回の5枚も買って今回のも買ってるので合わせて5万円以上の散財だ。いい大人が何をやっているのかと思わないでもないがそれ以上に非常に魅力的な円盤となっている。そもそもオンエアはみな録画しているのでそれだけだとあまり意味は無いのだが、未公開映像と座談会とスタジオライブがお得なのである。こういうことで散財するのがファンなのだなとようやく他のアイドルのファン心理を理解できるようになってきた。

Blu-rayを全部見るのはパワーがいるが、これを見てて衝撃を受けるのはいなくなったメンバーや休んでるメンバーと会えること。井口や柿崎や小坂のイキイキした姿がいまみられるのはこれだけだ。ああ井口ってやっぱメンバーの癒やしだったんだなとか、柿崎は本当に周囲をよく見ているんだなとか、小坂はただニコニコしているだけで良かったんだなとかあらためて感じる。仲が良く、まだ無邪気でがむしゃらなメンバーが見れる。この感慨はどこかで最近経験したなと思い出したらそうだ、ビートルズだった。

ピーター・ジャクソンによる「ゲットバック」は伝説のルーフトップコンサートを含め、いままで見たことがないビートルズの様々な姿が見られる8時間にも及ぶ記録映画だ。これを見ると、とてもこの後すぐに解散してしまうバンドとは思えないくらい息の合ったプレイを見せるシーンもあり、ファンなら涙なしでは見られない映画ではある。でも同時に「やはり終わるべくして終わったんだな」と理解できるメンバーの方向性の違いも明確になっている。そのなかでもなんとか理想の姿に戻りたいと思っているポールの叫ぶ「ゲットバック」が悲しく屋上に響くのだ。だがこの後4人がライブをすることは永遠になくなったことを僕らは知ってる。

がな推しBlu-rayも長尺だが、これを見るとデビューしたての初々しい日向坂の姿を見られる。そしてこの頃の雰囲気に戻ることは永遠にない。ある雑誌のインタビューで加藤史帆が「最近、スタッフに昔のがむしゃらさがなくなってきたとか言われるけど、あの頃に戻れるわけないじゃない」とぼやいていたが、ここまで売れてしまった彼女たちがもはや一心不乱になにかをやることはないし、できないことをこのBlu-rayを見てると(当たり前のことだけど)思い知らされる。

今をときめく彼女たちの10代から20代前半の素人同然の姿が見られる貴重な記録として手元に置いておいてもいいのではないでしょうか。


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